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雑文集 #2

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雑多な文章の集積の二個目です。
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#雑文

雑文 #305 新しい私

雑文 #305 新しい私

「新しいmomongaさんになるんですよ」
とその人は言った。

新しい私?
何か殻を破るような、蛹が蝶になるようなイメージが一瞬浮かんだが、それが自分に当てはまるような気にはならなかった。

ただひとつ、思い出した。
私は3年くらい前、ある音楽ライブを観ていた際に、はっきりと「私は変わらなきゃいけない」と思ったことを。
でもそれから3年、ちっとも変わらなかったように思う。

変わるというか、新し

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雑文 #304 淋しさ

雑文 #304 淋しさ

針金のような素材のもじゃもじゃしたかたまりが、すぐ目の前にあった。
30㎝ぐらい先に。
それはひどくこんがらがっていて、何か不快なオーラを放っていた。
私はそれから遠く離れてみた。
遠く遠く、300mぐらい離れるとそれは見えなくなり、不快さも消えた。
目の前はすっきり。
スカスカしていると言ってもいいくらいだ。

すっきりさっぱりしたものの、私は虚しくなってきた。
虚しくて淋しい。
心に悲しみの風

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雑文 #303 トゲトゲ

雑文 #303 トゲトゲ

時々現れるトゲトゲ。
たくさんの尖った突起が付いていて、真っ赤で、熱い。
トゲトゲは怒ってる。
熱くて暑くて、イライラしてるのだ。

熱いし痛いし、触れない。
なんとかなだめたいけれど、どうしたものか。
まずこのトゲを溶かそうと思った。

無色透明の、ひんやりとした、とろりとした液体。
水飴みたいなこの液体を、トゲトゲにかけてみよう。
ゆっくりそろりと、かけてゆく。
水飴みたいな液体の、何かのエキ

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雑文 #302 3.11以降

雑文 #302 3.11以降

11年前の3月11日14時46分頃、私は母と秋田の家の居間にいた。
何ということもなく、ぼんやりソファに座っていたと思う。
私は無職で主婦もやらず親の世話になっていて、要は療養中の身であった。
療養もずいぶん長引いていて、途方に暮れていた。
やることもなくぼんやりしていたら、突然激しく地が揺れた。
父は仕事に行っていたのだろうか。私は母とふたりきりだったが、「猫を守り、外に出る」べきだという思いは

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雑文 #301 温もり

雑文 #301 温もり

私の中に何か丸くて白いものがあったので、私はそれを取り出してみた。
ピンポン玉が大きくなったみたいな姿をしていた。
質量もピンポン玉みたいに軽く、おそらく中はほとんど空洞だと思われた。

その空洞に耳を澄ますと、中から小さな声がしている。
言葉にならないような声を発している。
どこか苦しそうで、何か訴えてるみたいで、私は何とかしなきゃと思った。

ピンポン玉のような硬い表面に触ると、ひんやりと冷た

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雑文 #300 ぼやぼやくん

雑文 #300 ぼやぼやくん

ふと気がつくと、私の中に、ぼやぼやくんがいた。

ぼやぼやくんは、輪郭が曖昧で、どういうかたちをしているのかわからないので、私はそれを取り出してみた。

ぼやぼやくんはひどく軽い。
取り出して見ると、丸くて、クリーム色で、表面に苔のようなものが生えている。
触るとむにゅっとしていて、ゴムボールのよう。
中身はほとんど空洞で、冷たかった。

私はぼやぼやくんが不快ではなかったが、かと言って好きでもな

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雑文 #299  インプットもアウトプットも

雑文 #299 インプットもアウトプットも

こんばんは。寒いですね。

ここのところ、ずっと、停滞気味で、何をする気も起きません。
何か見ててもうわの空。何か聴いていても耳スルー。話す言葉は出てこない。トンチンカンな間違いばかりしてしまいます。
携帯忘れるのは日常茶飯事。仕事で「あれ覚えてる?」とか訊かれても、「私に記憶力を期待しないで。すべてすぐ忘れるんだから」と言ってしまう始末。

気力の低下と刺激のなさと、カラダもアタマも動かぬせいで

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雑文 #298 黒ラベル

雑文 #298 黒ラベル

サッポロ黒ラベルがビールの中でいちばん美味しいと思い続けてきた。

今回岸田繁さんがサッポロのwebで広告をしているが、岸田さんもかねがね「黒ラベルがいちばん好き」と公言されていた。

でもそれを知るずっと前だったのよ!私の黒ラベル好きは。
私はじつは20代前半はそんなにお酒が好きじゃなかった。弱かったし。
会社に入って飲み会みたいなのが増えるにつけ、秋田出身ということで先輩などに飲まされ、いつの

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雑文 #297 包む

雑文 #297 包む

私の中から何か取り出すとしたら、どんなものかと訊かれて私は岩のようなものだと答えた。

その岩は心臓くらいの大きさだがとてつもなく重く、持てない。力持ちの人ならギリギリ持てる。
例えばそれは何キロぐらいかと訊かれ、100キロぐらいあるかもと適当に答えた。

色はどんなかと言うと黒っぽいけど黒じゃない。灰色みたいな色。ゴツゴツしている。

それを私はどうしたいのか。どこに置きたいのか。
私は間髪入れ

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雑文 #296 雪玉

雑文 #296 雪玉

数日前、東京に雪が積もったよね。
私は雪玉を作って、猫にお土産にしたら、ぺろぺろ舐めてた。小さくなるまで。
美味しいんだね。ぎゅっと固まりやすい雪だった。

私は積もった雪を踏むのが懐かしかった。転びやしない。
そう言えば四年振りの積雪警報だと言っていたけれど、四年前の2018年のその時は、私が秋田から東京に越してきたばかりのときだった。
家の前の日の当たらない道路が、つるつる滑っていつまでも氷が

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雑文 #295 こちら側・あちら側

雑文 #295 こちら側・あちら側

私の心の中に、あちら側とこちら側というものがある。

私はいま、こちら側にいる。

あちら側のほうが、正直言って、楽しい世界だ。
あちら側に行きたい。
でも行ったら行ったでまた問題がある。

こちら側は、総じて苦しい。
ほとんどの期間こちら側にいた今年も、総じて苦しかったが、あちら側に行ったとしてどうなんだろう。
そもそも行けるんだろうか。
どうやったら行けるんだろうか。私はいまだにわからない。

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雑文 #294 焦るな、私

雑文 #294 焦るな、私

久しぶりに二連休をもらったが、急な休みだったため、どこにも出かけなかった。
というか、予め決まっていてもどこにも出かけなかったのだろう。
仕事以外で外へ出ることはほぼなく、引きこもっている。
文字通り引きこもっていて、外に出るのはゴミを捨てる一瞬だけだ。

調子が悪い。

こないだ深夜0時まで仕事したが、ヨロヨロだった。
頭がうまく回らなかったので、歯痒さと疲れとで参ってしまった。

「年末はいつ

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雑文 #293 アップルパイ焼きたい

雑文 #293 アップルパイ焼きたい

朝方、車に轢かれて海で溺れた夢をみた。

苦しくて痛い夢かと思いきや、そんなに悲壮感はなくて、溺れているときは、大波に揺られて気持ち良くすらあった。

そういう夢に悪い意味が予知されているとは限らない(むしろこれから良くなる意味を含んでいる)、みたいなことを聞いたような聞かないような…

私はむしろ、過去幸せだったときの夢を見たほうが、苦しむのだ。いまとなっては失われたことに、哀しみを感じる。

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雑文 #292 不安は風の中

雑文 #292 不安は風の中

風が強い。

このわけのわからない不安をどうしたらいいのだろう。

風がなくても不安だ。

仕事をしていても、誰かと一緒にいても、ふとした瞬間に大きな不安に襲われる。
具体的に何が不安なのかはわからないまま…

笑いたい、と思う他方で、ひとを笑わせたい、と思ったりする。
そんな冗談を言う自分に戻りたいと思う。
たまに私の言ったことで誰かが笑ってくれると、無性にホッとする。

こんだけボケーっとして

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