【掌編小説】プロポーズ
「あのさ」
「なぁに?」
「この前、僕に言ってくれた気持ち……、変わってない?」
「えっ、やだ、もう~、改めて聞かれると、恥ずかしいィ~ッ!」
「ごめんごめん! でも、ほんと、変わってない?」
「変わってないよ♪」
「分かった! じゃあ、改めまして……。僕と……、結婚して下さいッ!」
「えっ? 何で?」
「『えっ? 何で?』って、逆に、何で?!」
「いや、何であんたと結婚しなきゃいけないの?」
「えーッ?! いや、だって、この前、僕に、『私、あなたのことが好きなの♪』って、ハッキリ言ってくれてたじゃん!」
「言ったわよ」
「でしょ~♪ あ、プロポーズって、展開が早過ぎちゃった?」
「いやいや、私さぁ、そもそも、あなたのこと、結婚の対象とかって、思ってないし」
「えーーーッッッ!!! じゃ、何であんなこと、僕に言ってくれたの?」
「だから~、『私、あなたのことが好きなの♪』って言ったんじゃなくて~、『私、あなたの"琴"が好きなの♪』って言ったのッ!」
「はぁっ?!」
「だから、私に、あなたのお琴、ちょ~だい♪」
「ニャ~~~ッッッ!!!」
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