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その街とその場所 もっきり・街歩き・昼の銭湯

土曜日の午前中に自転車を走らせていて、
商店街で降りてそのまま押して歩いた。
一軒の酒屋の前でジャージ姿のおっちゃんが自転車を降り、停め、そのまま店に入った。
中からお仲間たちの迎える声「おはよー」
酒屋の店のちいさなカウンターで駄菓子だとかおかみさんが拵えるちょっとしたおかずなんかをつつきながら呑むアレ、角打ちというやつだ。
じろじろ見るのも失礼やし、通る際にちらっとだけ見たら、
数人のおっちゃんらがいわゆる「もっきり」を並べてわいわいやってた。
桝の中に置いたグラスに日本酒を思いっきし注いだやつ。
「おはよー」「待ってたでー」「ええ天気やなー」
ちょっとにんまりしながら自転車を押して歩き去った。
 
その帰り、謎の「街歩きツアー」に遭遇した。
なにあれ。なぜあれ。土曜だから?
川沿い? の石碑の前でガイドとやらが十数名の男女に説明をしていた。
なんだ街歩きツアーって。街は歩くもんや。街を歩けばそれはもう街歩きや。あれ幾らとってるねやろ。幾ら土地に還元してるねやろ。てゆうかガイドって何、何者。
通り過ぎた。
 
先日、知らない街の銭湯にほぼ開店と同時に入った。
午後15時すぎ。ぽーんと飛び込んだ。
むかしからあちこちの風呂によく行くが開店間際は初のこと。
早い時間の銭湯は、たぶん毎日この時間に来ているであろう年配の方々が4人ほどで、入った瞬間、「ちら」と見られ、緊張はしたけれど、排除の空気はなかった。
近年は「黙浴でおねがいします」の貼り紙もあるため、常連同士のおしゃべりもなかった。
皆がそれぞれ自分のやり方時間の使い方で他人に干渉をしすぎずでもガードを張りすぎるでもなく、な、そんな空気が、ああ、ええな、と思ったし、心地よかった。
近所の銭湯(コテコテな地域)などではかなりの確率で知らんおばちゃんに湯舟の中だろうと脱衣所だろうと話しかけられる。
でも違う地だからか、早い時間だからか、ふしぎな感覚と心地よさもあった。
「皆が干渉せず、でも、それぞれ、皆で」な空気。
いやいや、話すんも話されるんもめちゃ好き。でも、こういうのも、ああ、いいな、いいね。
 
以前にも書いたしいつも書くけれど、
銭湯ってなんだかちいさな〝コミュニティ〟だと思ってる。
何時頃に誰々さんが来はるとか、その洗い場のその場所は誰々さんの席や、とか、なんやろうな、もう家とか生活の一部で、
せやから「なくしてはならない場所」とかと違って、もうたぶんそのレベルとかではなくて、なくなったらマジで困るというか生きていかれへんひとがいっぱいおる場所、でも、それらが時代によってなくなりつつあるのが現状。
 
せやから近年は「愛好家」な若者をはじめとするひとたちの良くも悪くも自意識や自己顕示欲や承認欲求と表裏一体っぽくもある啓蒙活動が、ほんまのところはどうかはわからへんが、それはそれでひとつのやり方として認められていたりもしている。
でも実際は一見や〝よそもの〟に対する警戒感や「何者っ?!」感もすくなくなく、ちいさくないようにも思う。
裸の場所という意味も大きいと思うし、
それくらいその地域のひとたちの大事な、いや、大事なすら通り越した〝場所〟なのだろう。
本当に切実な、切実な。

で、でも。でも、で。
近年は脱衣所に「カメラの撮影・取り出しも禁止」的な貼り紙のある場所が増えたことも興味深い。

考えさせられる出来事だなあ。

と、思った土曜日でした。

同じこと書いたというか言いたかった、昨年末の銭湯話と、とある本を読んで考えた話、このあつくるしい2つ(よろしければ以下から)とかぶるので今日はさらっと。

わたしの立ち呑みの師匠は「路地裏写真家」(プロ)のおっとこまえのおっちゃんです。
街や下町の猫を撮る際に頭を下げる人、ちゃんと頭を下げてから撮る人です。
変わった人やけど、そこがとても好きで、だから尊敬しています。

 *
最近note書けてなかったからちょっとまたぼちぼちと。
ついすぐ語りすぎてまうねんけど、語りすぎも語りすぎないのもいろんな感じのんにしたいような書きたいような今の気分。です。



以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。


と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての話。

以下は、過去のものから、お気に入りを2つ。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
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あ、小道具の文とかも(笑)やってました。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


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