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のど自慢はピアノ・マン

日曜昼にのど自慢で聴く『ピアノ・マン』はなんだかよかった。
 
のど自慢がのどじまんになった。
ロゴだけじゃない。司会者も代わり鐘のおじさんも代わり、生バンドもなくなった。
 
新年度から司会者が変わることはニュースで知ってたし、
鐘の名物おじさんが居なくなることは3月最後の放送の発表で知らされた。
でも生バンドがなくなることは知らず昨日番組が始まる直前に知人から聞く。
え、ないの。カラオケになるの。それはどうなの。
ちょっと検索したら同じ戸惑いを持っている人は少なくないみたいで
「リズムについていけないお年寄りがますます置いていかれる」
ほんまやなあ。ということで気持ちの整理がつかないまま番組を観ることとなる。
 
12:15、あたらしい司会者の「どなり」、あ、どなりってなんて言ったらいいんや、「日曜お昼はのどじまんっ!」っていう番組開始の呼びかけに「お、おお」。
そりゃそうだよね、頭はもう前の司会者の声でインプットされている訳だもん。
違和感ない訳ないよねリニューアル初回なんだし。それは、しゃあない。
たぶん観た人のほとんどがそない思っている?
うーん、もしかしたらあたらしいことを受け入れるのが苦手なことが多い年配者とかだとその疑いすらせず、できず、「前のほうがよかったわー」のまま、しばらくもしくはずぅーっといくのかもなあ。
でもそれもしゃあないよなあ。前の人、めっちゃ愛されキャラだったし、10年くらいも務めてた訳やしなあ。
 
最初こそ違和感を感じはしたものの、でも、あれ、
そこまでの違和感はなく、「いいやん」ってなった、番組が進むうちに。
プレッシャー、めっちゃあったやろうなあ、大変やったやろうなあ。
でも、いいな。明るいし、変に変な圧がない。変に人情べったり押しつけ感がない。
はきはき爽やかって、なんか、いいんじゃないか。
出演者の歌へ託す物語と出演者の背景がとてもとても色濃くあまりに情報量の多い番組として、はきはき爽やか司会は、これはまた、すてきかも。
交代制でもうひとりあたらしい司会者がいるということでそれもちょっと楽しみにもなった。
 
でも「生バンド」は。
そうやんなー、いろいろ効率イイよなー、カラオケのほうが。今風ってか、今やなー。
キャバレーの生バンドとかもなくなったりしていったんやもんなあ。
せやけど、日曜昼にテレビで生バンドでの歌唱を観慣れていたから、
まず画面にあの人たちが居ない「絵」はちょっとびっくりでなかなか慣れない。
がらーん、と、なんだかより「文化祭感」がして、うーむ、うむむ。
出演者も生バンドの演奏で歌う楽しみってあったんちゃうかなあー。とも考えた。
あの生バンドの人ら、普段なにしてはるねやろってずっと思ってたんやけど、あの人ら何してはるねやろ。
ハキハキ爽やかも相まって、なんだか淡々とさくさくと進むように感じ、
「ちょっと脳内が追いつかないなー」と観ていたのは正直本音。
 
でもね、「追いつかない」が、なんか〝ピタッと〟きたのは、
おかあさんと娘さんが歌う『プリキュア』の歌(『DANZEN! ふたりはプリキュア』)のステージでだった。
知ってる? プリキュア。いわゆる「魔法少女」アニメ。
長いよね? って思って今調べたら2004年から放送されているらしい。
学生時代に友人が「親戚の子と観てるねん、おもろいねん」と言ってカラオケで歌っていて覚えていた、一緒に歌ったりしてた(笑)
出演者のおかあさんと娘さんはおねえさん(長女)への応援ソングとして2人で出場してこの歌を歌ったと紹介される。
「なんでプリキュアやねん(笑)」
でも、おかあさんと娘さんが歌うあっかるく元気な魔法少女songは、
あっかるくて、前向きさしかなくって、ほんとうにプリティでキュアキュアで。

ああ、この選曲と、歌う姿、この舞台に元気をもらった人、きっと、めちゃおる。
 
ああ、のど自慢はのどじまんになっても、変わらない。変わった。でも、変わらない。
 
そんなことを思っていたら、アリゾナ州出身、結婚してこちらに来たという人がビリー・ジョエルの『ピアノ・マン』を歌った。
「マジか(笑)」
合格の鐘が鳴り、その人は、義母がこの番組が好きで(すすめられて?だったかな?)出場したというようなことをはにかむように話した。
「なんだよー、もー、このピアノ・マンは反則やないか」
なんの反則やねん(笑) でも、この言葉、使おう、めっちゃエモかった。
いやさ、それも、この曲の背景と、ここでこの曲を歌うってこととを、わたしが勝手に重ねてエモくなっているだけですよ、うん、ですよ。
でもね、リニューアルした番組の1回目にね、コレはね、
すてきなまでにエモーショナルさを感じてしまって、
なんだか「ああ、いいものを観たなあ」「観せて(聴かせて)もろたなあ」ってなんだかしみじみ昨日1日〝ふわぁっ〟とうれしかったのです。仕事もきもちよく捗りました、今日も捗ります。
 
変わるもの、変わらないと、なもの。変わっても、変わらないもの。
のど自慢は、のどじまんになったけど、のど自慢。
 
歌の物語と歌い手の物語、
二重のそれが、舞台から届けられることで、
聞き手は自分と照らし合わせたり合わせなかったり、
それぞれさまざまなメッセージや感情を受け取ったり受け取らなかったり、
いいこともわるいこともいろんな勝手なことを思ったり言ったり。
そんないろいろでいろんな人の心が通い合ったりつながったりもする。
人間はひとりとして同じ人間は居ないけれど、
さまざますぎる人が集まる場が「舞台」によってその瞬間一体となる、テレビの向こうまでも広がる。
 
一期一会の、一瞬一瞬のまるで奇跡のような物語と、一体感。
 
この奇跡のような瞬間と舞台とハコの中の空気を
わたしは、劇場で、中でも特に、今一番大好きな踊り子さんの舞台から醸し出される空間でとても感じているのだけど、そんなだからかな、なんかね、ああ、いいなって改めて思ってね。
変わるもの、変わらないと、なもの。変わっても、変わらないもの。
いろんなことをふわぁっと思い、「わぁ」とか「ふふふ」とか、じぃん、となったのでした。
 
だって『ピアノ・マン』やで?
 
のど自慢のピアノ・マン。のど自慢はピアノ・マン。
 
 

前回の記事が重い本だから重い話だった?ので今回はふわっと。(かな? )
 

あ、ひさしぶりの酒場エッセイも、もうすぐアップされますよー!


何回書いてるねんのど自慢話(笑)


この動画、めっちゃええなあー!



以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。パソコンからみていただくと右上に連絡用のメールフォーム✉も設置しました。

現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。

と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての話。

2023、復活。先日、新作が出ました🆕

以下は、過去のものから、お気に入りを2つ。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
あ、小道具の文とかも(笑)やってました。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中
(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。
皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気でね。


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