英国の小麦粉について語る
小麦粉にはその品種や粉の挽き方のよっていろいろな種類がある。
イギリスのお菓子作りで使われるのは、
プレーンフラワー/Plain Flour
粉に含まれるたんぱく質含有量を日本の粉を比べてみると、
日本の中力粉 8.5-10.5% *¹
イギリスのプレーンフラワー 8.5-10%
となる。日本でイギリスのお菓子を作る場合は、中力粉で作るといいかもしれません。私も日本でお菓子(スコーンやキャロットケーキなど)を焼くときは、うどんを作るための地粉で作ると、イギリスと同じような食感になります。
*¹参考:https://www.profoods.co.jp/flour_top
では、イギリスの小麦粉についてお話していきましょう!
【色々なメーカーの商品がある】
イギリスでは粉を買う人が多いせいか、幅広い品揃えで消費者のニーズに対応している。例えば、とにかく安さを求めている人には「お買い得用」、健康志向の人には「オーガニック」、環境問題に意識の高い人には「国産商品」「リジェネラティブ」など、ラインナップが多種多様。その中でも、価格を抑えめにしたスーパーマーケットの自社ブランド製品の人気は高い。
①老舗製粉メーカーの小麦粉
ブランド名で売るタイプの小麦粉。現在まで残る老舗の製粉メーカーといえば、McDougallsとHomeprideだ。どちらもパッケージが可愛い。McDougalls社のものは、「粉が細かく振るってある」「ペイストリー(粉で作るお菓子全般)やソース向き」と書かれている。
②お買い得な自社ブランドの小麦粉
大手スーパーマーケットには、各社で価格帯の低い粉を置いてある。たいていは、老舗メーカーのブランド商品の半額以下。
③オーガニックの小麦粉
イギリスではオーガニックの食品が気軽に買える。値段は、2割増しぐらいの印象である。私も牛乳、卵、小麦粉などよく食べる食品はオーガニックにしている。粉は、スーパーの自社ブランドからでているオーガニック小麦粉を買えば、それほど高いと思わない値段である。
④国産小麦100%
驚くなかれ。英国では消費されている85%の粉が国内産である。正規登録している国内製粉メーカー30社が、51の製粉工場で製粉した商品を販売している。(海外からの製粉済みの小麦粉(商品)を輸入して販売する場合には、英国の基準に満たしていないと販売できない。)
この国ではすでに小麦粉の地産地消を実現しているのだ。
しかし、パッケージに「英国産」と表記してある商品は比較的すくない。これは、各製粉所が使いやすいように海外産の粉を少量ブレンドしているからだそう。しかし、実際はほとんどの小麦粉が国内産である。
その中でも英国産の小麦粉だけの商品には、英国産の表示がある。表示がなくても小さな製粉所で挽いた粉には国内産100%のものが多い。原産国は、パッケージに表記されているので見てみよう。
パン用に使うたんぱく質が特に多い、ベリー・ストロングフラワーという強力粉には、カナダ産小麦と表記がある。
⑤リジェネラティブ
再生型農業と呼ばれる製法で作る小麦粉は、リジェネラティブとパッケージに表記されることがある。しかし、リジェネラティブで小麦粉や古代小麦を作っているメーカーのほとんどにその表記はない。たぶん、この考え方がまだ消費者に浸透していない、リジェネラティブを審査する正式機関がない(現在のところ自己申告制?)からかもしれない。
しかし、1,900年後半からオーガニックやリジェネラティブの作物を作る農家は増えており、これから需要も増えていくのではないかと思われる。
【小麦粉の種類】
粉に含まれるたんぱく質含有量によっていくつかに分けられる。
プレーンフラワー 8.5% から10%
ストロングフラワー 11% から12.5%
ベリーストロングフラワー 12.5% から15%
セルフレイジングフラワー プレーンフラワーにベーキングパウダーを配合したもの。
さらに粉の挽き方によっても分けられる。
ホワイト 内側にある胚乳部分だけ、全体小麦の75%を粉にしたもの
ブラウン 小麦全体の85%を粉にしたもの。ブラン(皮が含まれる)、胚芽部分(種にあたる部分)は含まれる場合と含まれない場合がある。
ホールミール 小麦全体100%を粉にしたもの。
ストーングラウンド 石挽の粉(英国で製粉される粉の1%以下)
用途は、
英国内で製粉される粉の65%が製パンに使用されます。
ビスケットに11%
私たちが店頭で買う
パック入りの粉は全体量のわずか5%です。
【私の個人的な感想/日本との違い】
イギリスの粉は、日本で手に入るものと少し見た目が違います。
粗目に製粉してあるような感じがします。もしかすると、たんぱく質含有量が多めなのでボソッとした感じに見えるのかもしれません。
気候が乾燥しているので常温で保管しても「だま」になることはほとんどありません。ボロボロして見えるのはそのせいかもしれません。
少し灰色/黄色味がかっているのは、ミネラルが多いから?なのかな・・とも思います。が、胚乳部分しか含まれていないので日本で手に入る小麦粉と小麦の原料部分は変わりません。小麦の種類でしょうか?
ちなみに英国とEUで販売されている粉は、すべて無漂白です。
外皮と胚芽の部分をそのまま挽いたホールミールフラワーには、ミネラルが含まれ栄養価が高いので人気があります。細かく挽いてあるので使いやすく食べやすいです。
味についてですが、粉の風味がします。スコーンにすると、めちゃくちゃおいしいです。イギリスに来てからお菓子作りをして実感しています。プレーンフラワーでシフォンケーキなどを作ってもちゃんと作れるので、工夫すれば日本で作っていたようなお菓子は作れます。逆に、イギリスで作るようなお菓子を日本で再現したい場合は、無漂白の中力粉が向いているかもしれません。
これからも私の探求は続きます!
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①スコーンについて語る 材料調達編/粉 (2023年11月講座)
スーパーマーケットのウェイトローズとテスコで買える小麦粉について比較します。オーガニック、リジェネラティブの粉について。
②英国の粉について (2024年1月新講座)1月15日から!
プレーンフラワーの、たんぱく質含有量の比較。スコーンの材料に欠かせないベーキングパウダーについても熱く語ります。成分比較、歴史について。
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