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表紙イメージ解禁!白黒表紙あれこれ。

『ほんとうのランニング』の2018年米国版(District Vision Publishing)の白い表紙には、アーティスト、フィリップ・パゴウスキ(コム・デ・ギャルソンの赤いハートマークを描いた)のイラストが描かれている。力強い線で構成され、ふたりのランナーが走っているように見える。ひとりではなく、誰かと走っているというのがとても良いですね、と翻訳者の近藤隆文さんがおっしゃった。

『ほんとうのランニング』第1章には、その人なりのアートフォームであるランニングを通じて「あなた自身のビートを見つけよう(run to the drummer that is you)」と書かれている。走りながら何を感じるのか、どんな新しい世界をみんなで見つけるのか。近藤さんのコメントを聞いたこともあり、日本版でも何人かが走っているイラストを表紙にしたいと考えた。

具体的には、「amble(ゆっくり歩くこと、進むこと)」という、ゆっくり走りながら身体や心の状態を観察し、先に進んでいく重要なプロセスをイラストにしたくなった。「先に進み」、そこで見える「それぞれの色合い」を白黒のイラストの余白に思い浮かべてほしいと思った。

そんな時に、デザイナーのtsukurusのかおるさんが、アーティスト、ニシクボサユリさんを紹介してくれた。ニシクボさんは、アディダスやスヌーピーなどたくさんの広告やキャンペーンを手掛けられている。ブラック&ホワイトで構成される線が力強い。それでいて、不思議な余白を持った作品にもなっている。昨今は、東京都現代美術館のゴッホ展のクリエイティブを担当されたり、海外展開も視野に入れ、アーティストとしての作品づくりをされている。

「白黒白黒」と唱えながら、ニシクボさんに最初にコンタクトしたのが夏頃だ。とはいえ、恥ずかしながらスピーノの作品の読み込みもまだ浅く、版元としての考えたことやお願いしたい内容を、わかりやすい言葉でニシクボさんに伝えることもままならなかった。自分の浅はかさがいやになったが、ニシクボさんは、身体の動きやトレーニングについての関心がかなり強い、とストレートなフィードバックを最初のメールの返信でくださった。

そして、イラストは、やはり豊かなイメージが感じられるものにしあげてくださった。どのディテールを見ても、余白の中に毎回違う感触を感じられる作品だ。

そして、tsukurus・かおるさんは、たくさんのドラフトを作りつつ、最終的には米国版の表紙に負けないくらい”何もない”デザインにしてくれた。素人ながら、要素を足すより何もなくする、というほうが難しいのではないかと思う。何かを感じる余地をどう残すかという設計は、デザイナーとして勇気のいることだったと思う。

印刷は、藤原印刷さんが紙や塗装など細かなアドバイスをくださり、黒についてはスーパーブラックのインクを使って仕上げてくださる予定だ。

ぜひ12月にこの本を手に取っていただき、表紙もたくさん眺めていただけると嬉しいです。

『ほんとうのランニング』マイク・スピーノ 表紙イメージ

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表紙にはカバーがつき、そのうえに帯がつきます。帯は、ひとめでわかる鮮やかなピンクでお届けします。

2021年12月18日書店発売、12月20日Amazonなどウェブ発売。10月25日ごろ以降、書店様またはAmazonでの事前ご予約にてお求めください。(ISBN978-4-910567-41-9)

お問い合わせは:Instagram @mokusei222 又は books@mokusei.pub へ。

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