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第三回ブンゲイファイトクラブ応募作 マイクロノベル×俳句連作『蝶をあつめて』

●第三回ブンゲイファイトクラブ、BFC3に応募した作品です。

『蝶をあつめて』
         田中目八
 
 てふてふが道に橫たはつてゐたので、死んでゐるのかしらと近寄るとふい、と起直り、はたはたと飛んで行つてしまつた。
 なんだ生きてたのか、とまた地面の方に目を遣るとさつきのてふてふがまた橫になつてゐる。
 さうか、さつき飛んで行つたのはてふてふの半分で、つまりてふなのだ。


蝶が來て明るい部屋となりにけり

てふと風てふと景やてくらがり

ハンカチは笑ふ未來としてありぬ

しづもりてきづく命や夜の秋

失へばまたおとづるる秋の夜

殘酷が無ければ味氣なき秋果

オルガンの壽命盡きせぬ秋の蝶

秋天に於ける天使の占める率

白秋のオール・シングス・マスト・パス

折紙の黃色のにほひ秋の風

八月をかるがる越えてゆく少年

九月には屆かぬままの君でゐて

越年蝶たしかに記憶された街

凍蝶や去れば水平線殘る

ナント!
詩人を名乗る小説書き、こい瀬伊音さんが本作から素晴らしい詩を詠んで下さいました!あざます!

いとさんは小説ばかりでなく詩や短歌も素晴らしいのでゼヒ他の作品も読んでみて下さい。因みに人魚アンソロジー『海界」でもご一緒させて頂いております。

詩「せなか」|こい瀬 伊音 (こいせ いと) #note

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