田中目八

俳句雑誌『奎』同人。バミューダ新入り。短時間労働者。即興演奏者。人魚アンソロジー『海界…

田中目八

俳句雑誌『奎』同人。バミューダ新入り。短時間労働者。即興演奏者。人魚アンソロジー『海界』寄稿。「島アンソロジー『貝楼諸島へ』」参加。イグBFC3同着優勝。

最近の記事

週刊俳句 第907号【週俳7月8月の俳句を読む】に寄稿しました。

「俳句に鑑賞文は必要か」という身も蓋もないタイトルで4名4作計40句の鑑賞文と毎度まいどのムダに長いうろんな前書きを寄稿しております。 もはや常連。

    • 加藤知子『情死一擲』

      御縁あってご恵贈いただきました。 充実の第四句集。 好きな句がたくさんあって選句に迷う楽しさ嬉しさ。 加藤知子『情死一擲』ジャプラン 滝壺に蛇を投げれば花群るる 夕薄暑どの風向きも異教なる 雷に打たるる鬱も水の音 春の馬超えて女に脚六本 魂洗う水の繊きに雁渡 鶴唳に鬱翁の面打ちにけり 羊歯のもと日蝕の楽園へ行く 薄暑光夢を溶かして子を攫え 耕して天に遊べば失語症

      • オカワダアキナ『ゴジラの子』

        オカワダアキナさんとえもさんのネットプリント「すよすよおまた 水上タクシーの巻」収録のオカワダアキナ『ゴジラの子』にむせび泣きました。 父ねむる間に茄子の牛に乗せ 狐火を咥へて父よ寝たまへり 父ねむる上を寒鴉のダンスダンス 『ゴジラの子』は↓からもお読みいただけます。

        • 俳句短歌誌『We』第18号に寄稿しております

          縁あって俳句短歌誌『We』第18号に寄稿しております。 私は前号俳句選及び二句鑑賞、そして急逝された故竹岡一郎さんへの挨拶三句を書きました。 私はともかく、楠本奇蹄さんの新作、斎藤秀雄、早舩煙雨両氏の兜太現代俳句新人賞応募作も読めてしまう! 読もう!『We』第18号(コミックビームふうに)

        週刊俳句 第907号【週俳7月8月の俳句を読む】に寄稿しました。

          八月の俳句など

          産みたてのプリンわらふよ蟻地獄 太宰忌のプリンカラメル零れ止まず あたらしき地獄はじめによき八月 バースデーケーキの時間鵙高音 幼子に膚を吸はるるレモンパイ ヨーグルトサラダキヨフテに日焼子に ポツサムを包むに所作や涼新た 鱧の出ていよいよ宴らしくなり 子を止める術なく桃のカプレーゼ 女子会に招かるる客連子鯛 連子鯛ほどなをのこと思ほゆる 焼茄子や魔女みな白き膚を持ち 原爆忌老人集ふモーニング トースト切られ広島忌長崎忌 たまごよく煮抜かれ爆心地に

          八月の俳句など

          ことばとつくる

          山口斯さん主催の「ことばとつくる」第2回のネットプリントを出してきて、私もお題で句を作ってみました。 難しかった〜! 以下。 うっちゃる みちのくに打棄られたる稲妻よ 紙水晶、瞬間(ときのま) 蝶睡るときのまをこそ紙水晶 亀節、黄なる涙 亀節の黄なる涙へかへりけり 金花(きびたき)、七生 七生にこの金花のこゑや降る 沐浴 登校の前の沐浴バレンタイン 物狂ほしい ぼくたちにもの狂ほしき夏休み 雇われマダム 失踪の雇われマダム宝船 ふらここ ふらこ

          ことばとつくる

          『俳句四季』9月号「精鋭16句」に寄稿しております

          『俳句四季』9月号「精鋭16句」に連作「いをのてん」を寄稿しております。 精鋭とは遠く鈍亀のごときですがよろしければ。 しかし円錐新鋭に続きまたも環さんとご一緒の嬉しく。

          『俳句四季』9月号「精鋭16句」に寄稿しております

          2024/08/18 カラオケ吟行句会@塚口

          あまり振るわず12句作って7句投句。 万緑に煩悩ひとつ燃やしては バステイーユ牢獄ここは木下闇 ↓推敲案 バステイーユ呑み込んでこの木下闇 またひとつ水玉沈むサンジェルマン ↓推敲案 水玉に沈むサンジェルマン伯よ 鱗粉の肌に冷たきオーデコロン ↓推敲案 鱗粉や肌に冷たきオーデコロン 金銀糸あまた天より虫の闇 ↓推敲案 虫の闇天よりあまた金銀糸 夏の雲ひるこを天の写し絵と ↓推敲案 笹の露ひるこを天の写し絵と 鱗剥ぐかに足あとを下り月 ↓推敲案 短か夜の足あと鱗は

          2024/08/18 カラオケ吟行句会@塚口

          恋の俳句大賞受賞しました

          きごさい主催の『恋の俳句大賞』、その存在を知った17回から応募を初めて、毎回入選に取られてはいましたが、特選にも至らず。 それが今回飛び越えて遂に、念願の、待望の、悲願の、大賞を手にしました。 しかも三人の選者それぞれの特選、入選も取っていて十分過ぎる誕生日プレゼントのようになりました。 以下コレまでの入選歴。 毎回5句投句しています。 17回 長谷川櫂入選 夏シヤツの濡れて意外な筋肉質 18回 松本二本入選 レモンスカツシユそれから新しい恋も 趙栄順入選 ぶら

          恋の俳句大賞受賞しました

          『円錐』102号に作品寄稿しています

          第八回円錐新鋭作品賞で小林恭二氏の推薦句に選ばれた関係で五句寄稿しております。 賞に出したのと同質の新作になります。 よろしければ。

          『円錐』102号に作品寄稿しています

          七月の俳句など

          あつあつを呉れる肉屋が手の汗よ 揚げたてのコロツケといふ五月晴 香水のひともいざなふ揚油 コロツケにのどごしのある水無月尽 盤上を歩むがごとし甲虫 甲虫PPバンド手締めして 段ボール箱に締め跡かぶと虫 片蔭の奥より伸びてくるチーズ 炎帝へ母の求めしピザトースト トーストの皮剥がれたる夏の雲 ピザへ手を伸ばせば蜘蛛の糸なりし ステージや鬼火の千変万化しつ きみいろの鬼火に埋るドームかな 空蝉にプロメテウスは火を蔵し エデンとは空蝉のなかくぐり抜け

          七月の俳句など

          『言葉の舟』刊行記念140字小説コンテスト応募作

          流れて来たのは余りにも小さい舟。 今日は五月五日で流し雛ではない。 舟は意志があるやうにこつちに来て止まつた。 葦舟と云ふものか。 中には皿の上に丸い石が一つと箸が一組あるだけ。 なんとなく石を手に取ると、代はりに持つてゐた柏餅を置く。 するとそれを待つてゐたやうに舟はまた流れて行つた。

          『言葉の舟』刊行記念140字小説コンテスト応募作

          7月15日海遊館吟行/観覧車吟行

          横浜より俳人のパイセンであるところの星野いのりさんの来阪を関西勢で歓迎しての二日間。 たくさん俳句の話ができて愉しかったです。 私は俳句でも引きこもりなので俳句界隈に疎く、知合いも少ないので貴重な時間でした。 長くなるのでこのくらいにして早速以下吟行句。 今回は推敲なしの、いわゆる撮って出しで。 ちなみに海遊館へは私は仕事で行けなかったので皆さんの写真やパンフレットからの実景で(実景だよ?) 観覧車は降りるまでに作らねばならずでかなり焦った。 海遊館 夜がくるじんべゑ鮫

          7月15日海遊館吟行/観覧車吟行

          5月3日カラオケ吟行句会

          ようやっと。 このとき22句作ったんだったかな。 その内7句投句。 よき推敲案、添削あればよろしくお願いします。 君がこゑ花束にして光る風 ↓推敲案 君がこゑ花束にして初嵐 ↑ こうこさんより季語がとのことで。原句はキラキラさせ過ぎたあざと感はあるか 花陰を戻れぬ身体鳥と化す ↓推敲案 花陰を戻れぬ身体化して鳥 ↑ 沙織さんより鷹化して鳩の例をご教示 鳥籠に泉は人を思考する ↓推敲案 鳥籠の泉は人を思考する ↑ えぬさんより「の」ならわかる(だ

          5月3日カラオケ吟行句会

          竹岡一郎さんの

          俳人の竹岡一郎さんの訃報。 私は面識はなかったのですが、縁あって竹岡さんの参加されていた雑誌『We』の加藤知子さんよりご連絡いただきました。 少し前に加藤さんから、私が週刊俳句に寄稿した、竹岡さんの連作『敬虔の穹』と『敬虔の乳』の鑑賞文を御本人がお読みになり、喜んで下さっていた由聞き及んで驚きつつ、ほっとしていたところ。 竹岡さんが大阪在住と知って、じゃあいつかお会いできるかしら、と勝手に思っていたのでした。 そしてこの度の訃報に、加藤さんより竹岡さんが私の作品も読んで下さっ

          竹岡一郎さんの

          六月の俳句など

          家族てふ不気味の谷を三光鳥 青梅雨のモーニングへと参らうか 梅雨入のトースト沈む深さかな 喫茶店出づれば常の梅雨晴 小鳥くるつぶあんぱんの見分けかた ものを食ふための公園梅雨晴間 朝すずのものを食ひをる前を猫 濡れ砂をよろこびとしつ猫涼し ため息を模倣してゐる草かげろふ 献身のしらべを薄翅蜉蝣と たんぽぽや名店なべて老い仕舞 たんぽぽの絮の残るをレクイエム 水まんぢゆう阪堺線を重くして 天瓜粉ことりことりと阪堺線 阪堺線追い抜くソーダ水の泡 白夜

          六月の俳句など