田中目八

俳句雑誌『奎』同人。バミューダ新入り。短時間労働者。即興演奏者。人魚アンソロジー『海界…

田中目八

俳句雑誌『奎』同人。バミューダ新入り。短時間労働者。即興演奏者。人魚アンソロジー『海界』寄稿。「島アンソロジー『貝楼諸島へ』」参加。イグBFC3同着優勝。

最近の記事

『言葉の舟』刊行記念140字小説コンテスト応募作

流れて来たのは余りにも小さい舟。 今日は五月五日で流し雛ではない。 舟は意志があるやうにこつちに来て止まつた。 葦舟と云ふものか。 中には皿の上に丸い石が一つと箸が一組あるだけ。 なんとなく石を手に取ると、代はりに持つてゐた柏餅を置く。 するとそれを待つてゐたやうに舟はまた流れて行つた。

    • 7月15日海遊館吟行/観覧車吟行

      横浜より俳人のパイセンであるところの星野いのりさんの来阪を関西勢で歓迎しての二日間。 たくさん俳句の話ができて愉しかったです。 私は俳句でも引きこもりなので俳句界隈に疎く、知合いも少ないので貴重な時間でした。 長くなるのでこのくらいにして早速以下吟行句。 今回は推敲なしの、いわゆる撮って出しで。 ちなみに海遊館へは私は仕事で行けなかったので皆さんの写真やパンフレットからの実景で(実景だよ?) 観覧車は降りるまでに作らねばならずでかなり焦った。 海遊館 夜がくるじんべゑ鮫

      • 5月3日カラオケ吟行句会

        ようやっと。 このとき22句作ったんだったかな。 その内7句投句。 よき推敲案、添削あればよろしくお願いします。 君がこゑ花束にして光る風 ↓推敲案 君がこゑ花束にして初嵐 ↑ こうこさんより季語がとのことで。原句はキラキラさせ過ぎたあざと感はあるか 花陰を戻れぬ身体鳥と化す ↓推敲案 花陰を戻れぬ身体化して鳥 ↑ 沙織さんより鷹化して鳩の例をご教示 鳥籠に泉は人を思考する ↓推敲案 鳥籠の泉は人を思考する ↑ えぬさんより「の」ならわかる(だ

        • 竹岡一郎さんの

          俳人の竹岡一郎さんの訃報。 私は面識はなかったのですが、縁あって竹岡さんの参加されていた雑誌『We』の加藤知子さんよりご連絡いただきました。 少し前に加藤さんから、私が週刊俳句に寄稿した、竹岡さんの連作『敬虔の穹』と『敬虔の乳』の鑑賞文を御本人がお読みになり、喜んで下さっていた由聞き及んで驚きつつ、ほっとしていたところ。 竹岡さんが大阪在住と知って、じゃあいつかお会いできるかしら、と勝手に思っていたのでした。 そしてこの度の訃報に、加藤さんより竹岡さんが私の作品も読んで下さっ

        『言葉の舟』刊行記念140字小説コンテスト応募作

          六月の俳句など

          家族てふ不気味の谷を三光鳥 青梅雨のモーニングへと参らうか 梅雨入のトースト沈む深さかな 喫茶店出づれば常の梅雨晴 小鳥くるつぶあんぱんの見分けかた ものを食ふための公園梅雨晴間 朝すずのものを食ひをる前を猫 濡れ砂をよろこびとしつ猫涼し ため息を模倣してゐる草かげろふ 献身のしらべを薄翅蜉蝣と たんぽぽや名店なべて老い仕舞 たんぽぽの絮の残るをレクイエム 水まんぢゆう阪堺線を重くして 天瓜粉ことりことりと阪堺線 阪堺線追い抜くソーダ水の泡 白夜

          六月の俳句など

          小池さんの

          今日6月25日は『奎』代表だった小池さん、小池康生さんの二度目の命日、つまり三回忌。 早い…。 第一句集『旧の渚』より。 蜘蛛の囲やかかはりのなき死をならべ 合掌は言葉をつつむ寒北斗 住職が梅のこの世に向きなほる 水に棲むものに届けよ若葉光 かたつむり旧き時間を寄せ集め 第二句集『奎星』より 澄みてなほ水は面をうしなはず 狼の絶滅といふ守り方 あの世へは少し遅るる日向ぼこ 凍滝を星一枚の剥がれ落つ 無傷なり蝶々にまとひつかれても 囀てふ一部屋がある森

          小池さんの

          小説の監修をしました

          敬愛する、大ファンである小説家の冬乃くじさんの新作短編であり、先日千秋楽を迎えた音楽イベント『IMAGINARC 想像力の音楽』に書き下ろされた五作の内の一作でもある『火星の音』の監修を中の人がさせていただきました。 と言っても約得〜!と下読みさせてもらって面白かった!と言っただけですが…笑 素晴らしい作品なのでぜひ読んでいただきたいです。

          小説の監修をしました

          五月の俳句など

          鳥の悲の置かるる光ゆきのした 母星へと翅振るはする畸人草 青びかるアレスの膚柏餅 柏餅ひらくマルスの誕生に 豚骨スープより女神生れ夏霞 青葉潮豚骨スープ腑を満たし ↓(推敲案) 腑に満つる豚骨スープ青葉潮 鬼蓮や炙り叉焼とは溶くる ↓(推敲案) 叉焼の溶くるに任せ蓮の花 たなまたに甘ゆる影や夕化粧 抱かれてはアザレア殖るる瞳 香りとはあをいとり追ふ翌なき春 おしやべりを焙じて舌の待つ残花 オムライスたまご一個や薄暑光 海老フライ二尾付くランチ麦の秋

          五月の俳句など

          『豆の木』28号に有瀬こうこ「磁石」評寄稿しました

          俳句同人誌『豆の木』28号に寄稿しております。 有瀬こうこさんの第13回百年俳句賞最優秀賞にして句集『磁石』評を書かせてもらいました。 書けるか不安でしたがいざ書き始めるとそれによって、書くことで初めて見えるものがあるなとあらためて。 マァそれと評論になってるかは別ですが、それは読んでご指摘ご批判いただければ幸いです。

          『豆の木』28号に有瀬こうこ「磁石」評寄稿しました

          心配されました

          第8回円錐新鋭作品賞実はこっそり黙って応募してました笑 なにも期待してなかったので結果発表にも目を通さず、ツイッターのTLなどで受賞者の方々の名前や応募されたかたの作品に目を通しただけでした。 でも円錐第101号が届いたので早速読むと、ナンと私の名前と一句が載ってたんですね。 小林恭二さんの推薦5句の中に入っていて選評ももらいました。 以下当該句。 ころされたぼくの神さまありがとう 田中目八 その内容が個人的には賞に選ばれるより最高のもので、思わず笑ってしまった。 以下

          心配されました

          第八回円錐新鋭作品賞応募作『虹の横顔』田中目八

          『虹の横顔』田中目八 さようなら時間は止めておきました 知っている鬼だとばかり思ってた 枯野から覚めて素敵に野蛮しよう 着膨れてもう心臓になってます いなづまと恋するための眼鏡買う おおかみの中でねずっと恋しよう 芥川忌どっちの私も選んでね 海市まで婚姻届出しにゆく 逃水のぼくでも抱いてくれますか ねえあなたホットミルクにさせてよね 蝉がらと一緒にぼくも壊してよ 壊れても花になるだけだからナァ そうやって顔をそむけて虹にして ふじゆうな言葉といっし

          第八回円錐新鋭作品賞応募作『虹の横顔』田中目八

          4/12カラオケ吟行句会@十三

          春光のいまを古びゆく世界 ↓推敲案 春光の中やあまねく古ぶいま 春光の枷をあなたの薬指 徒花の才をこはして盛んなる ↓推敲案 徒花や才をこはして盛んなり 旅人の黄砂ひきずるやうに街 イヤフオンのくちづけよりも青葉風 ↓推敲案 イヤフオンのくちづけ青葉風よりも 幻想を脱ぎしものより卒業す 波乗の鼓動まき散らして崩る ↓推敲案 星うたたサーフボードに音の消え 夜明けとは旅団の果の花茨 薔薇研げば宝石となる眼となりぬ ↓推敲案 白さうび研ぎて玉とも眼とも クレーム

          4/12カラオケ吟行句会@十三

          四月の俳句など

          初花や目当てのパンにあらざれど ラムレーズンバター零れて花の粧 街ゆくに風強ければ三鬼の忌 三鬼忌の実りの大き引きこもり ガリバーに群がるエイプリルフール のっぽさんみたいな指で万愚節 エイプリルフールに拾ふシーグラス 詩人のための早起き入門 姉妹抱いて春愁ほどなりし 自販機に春暁の五分かな 飲み干して缶長閑けしや雨上る 馬酔木咲くひとくちぶんの冷やご飯 ゆつたりと水吸ふ米や花あせび 幼子へ眼さづくる雪だるま 雪達磨もがれし眼もてあなた見る 仕事し

          四月の俳句など

          春キャベツ大賞

          https://ameblo.jp/sakadachikaba/entry-12844313496.html 野菜欲しさに応募して見事にスベった句がコチラです。 関係に名前をつけて春キャベツ 好きな子の好きな子のことふきのとう アスパラガスより漏れるイギー・ポップ やはり欲をかくとよくありませんな(シャレにあらず) でもアスパラガスなんかめちゃくちゃ美味しそうよね?! 以下当選、佳作のかたおめでとうございます!

          春キャベツ大賞

          マイクロノベル『発掘調査のアルバイト』1

          古いアパートの一室のドアを開けると社長と先輩がもう仕事を始めていた。 私も軍手を嵌めて移植鏝、竹箆、手箒を手に取る。 半年前から始めた遺跡発掘調査のアルバイトだが、まさか現場が室内だとは。 この間だけでも辞めたバイトは数知れず。 いや、行方知れずというべきか。

          マイクロノベル『発掘調査のアルバイト』1

          三月の俳句など

          春の風邪いきいき乳酸菌特売 春光のまぶたぴくぴくむぴよこぴよこ 春陰の微熱映りてルイボステイー 微熱なる春闌を子らのこゑ ねてさめてねてさめて春さめて夢 雛壇の裏に沈んでゆく童 雛壇の天地をあそぶたづが音や 雛壇の奥へ奥へとのべる闇 皇后の口密満ちたり梅ふふむ 皇后の棺あらはなり梅にほふ 梅ひらく石窟に妃の睡りあり 葬られてひとり皇后梅一輪 姫舞うて梅散りぬるを月夜かな ルイボスティ寝るしかなくて寝てました 啓蟄の無人駅内喫茶店 啓蟄の金平糖をよ

          三月の俳句など