田中目八

俳句雑誌『奎』同人。バミューダ新入り。短時間労働者。即興演奏者。人魚アンソロジー『海界…

田中目八

俳句雑誌『奎』同人。バミューダ新入り。短時間労働者。即興演奏者。人魚アンソロジー『海界』寄稿。「島アンソロジー『貝楼諸島へ』」参加。イグBFC3同着優勝。

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第8回円錐新鋭作品賞実はこっそり黙って応募してました笑 なにも期待してなかったので結果発表にも目を通さず、ツイッターのTLなどで受賞者の方々の名前や応募されたかたの作品に目を通しただけでした。 でも円錐第101号が届いたので早速読むと、ナンと私の名前と一句が載ってたんですね。 小林恭二さんの推薦5句の中に入っていて選評ももらいました。 以下当該句。 ころされたぼくの神さまありがとう 田中目八 その内容が個人的には賞に選ばれるより最高のもので、思わず笑ってしまった。 以下

    • 第八回円錐新鋭作品賞応募作『虹の横顔』田中目八

      『虹の横顔』田中目八 さようなら時間は止めておきました 知っている鬼だとばかり思ってた 枯野から覚めて素敵に野蛮しよう 着膨れてもう心臓になってます いなづまと恋するための眼鏡買う おおかみの中でねずっと恋しよう 芥川忌どっちの私も選んでね 海市まで婚姻届出しにゆく 逃水のぼくでも抱いてくれますか ねえあなたホットミルクにさせてよね 蝉がらと一緒にぼくも壊してよ 壊れても花になるだけだからナァ そうやって顔をそむけて虹にして ふじゆうな言葉といっし

      • 4/12カラオケ吟行句会@十三

        春光のいまを古びゆく世界 ↓推敲案 春光の中やあまねく古ぶいま 春光の枷をあなたの薬指 徒花の才をこはして盛んなる ↓推敲案 徒花や才をこはして盛んなり 旅人の黄砂ひきずるやうに街 イヤフオンのくちづけよりも青葉風 ↓推敲案 イヤフオンのくちづけ青葉風よりも 幻想を脱ぎしものより卒業す 波乗の鼓動まき散らして崩る ↓推敲案 星うたたサーフボードに音の消え 夜明けとは旅団の果の花茨 薔薇研げば宝石となる眼となりぬ ↓推敲案 白さうび研ぎて玉とも眼とも クレーム

        • 四月の俳句など

          初花や目当てのパンにあらざれど ラムレーズンバター零れて花の粧 街ゆくに風強ければ三鬼の忌 三鬼忌の実りの大き引きこもり ガリバーに群がるエイプリルフール のっぽさんみたいな指で万愚節 エイプリルフールに拾ふシーグラス 詩人のための早起き入門 姉妹抱いて春愁ほどなりし 自販機に春暁の五分かな 飲み干して缶長閑けしや雨上る 馬酔木咲くひとくちぶんの冷やご飯 ゆつたりと水吸ふ米や花あせび 幼子へ眼さづくる雪だるま 雪達磨もがれし眼もてあなた見る 仕事し

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          春キャベツ大賞

          https://ameblo.jp/sakadachikaba/entry-12844313496.html 野菜欲しさに応募して見事にスベった句がコチラです。 関係に名前をつけて春キャベツ 好きな子の好きな子のことふきのとう アスパラガスより漏れるイギー・ポップ やはり欲をかくとよくありませんな(シャレにあらず) でもアスパラガスなんかめちゃくちゃ美味しそうよね?! 以下当選、佳作のかたおめでとうございます!

          春キャベツ大賞

          マイクロノベル『発掘調査のアルバイト』1

          古いアパートの一室のドアを開けると社長と先輩がもう仕事を始めていた。 私も軍手を嵌めて移植鏝、竹箆、手箒を手に取る。 半年前から始めた遺跡発掘調査のアルバイトだが、まさか現場が室内だとは。 この間だけでも辞めたバイトは数知れず。 いや、行方知れずというべきか。

          マイクロノベル『発掘調査のアルバイト』1

          三月の俳句など

          春の風邪いきいき乳酸菌特売 春光のまぶたぴくぴくむぴよこぴよこ 春陰の微熱映りてルイボステイー 微熱なる春闌を子らのこゑ ねてさめてねてさめて春さめて夢 雛壇の裏に沈んでゆく童 雛壇の天地をあそぶたづが音や 雛壇の奥へ奥へとのべる闇 皇后の口密満ちたり梅ふふむ 皇后の棺あらはなり梅にほふ 梅ひらく石窟に妃の睡りあり 葬られてひとり皇后梅一輪 姫舞うて梅散りぬるを月夜かな ルイボスティ寝るしかなくて寝てました 啓蟄の無人駅内喫茶店 啓蟄の金平糖をよ

          三月の俳句など

          第20回恋の俳句大賞

          第20回恋の俳句大賞結果出てましたね。 相変わらずではありますが今回もひとまず入選に滑り込みました。 長谷川櫂さんの入選。 失恋を未だ知らざる虹なりき 田中目八 他の投稿句は 差入れの聖菓の君や帰りたる ほら見てと急に親しき冬の虹 着膨れて育てる恋といふ魚 夏落葉どこでも探す君の名を でした。 ありがとうございました。

          第20回恋の俳句大賞

          2023年末法隆寺吟行

          去年末の法隆寺吟行での吟行句です。 よき推敲案、アドバイスあればよろしくお願いします。 冬天ををろち最後のひともだえ 冬館のぞむ古墳のあにいもと ↓推敲案 あにいもと眠る丘あり冬館 光背のこがらし抱きてかへすなり ↓推敲案 光背のこがらし抱いてかへすなり 求ればみな凍てたまふ夢殿よ 回廊の中の回廊冬の蛇 煮凝や千躯の胎内仏ゑまふ ↓推敲案 煮凝のゆるぶあなたや胎内仏 地衣類のいつきかしづく実南天 ↓推敲案 しろがねの地衣の曲輪や実南天 凍て割るるくわんのん漆黒

          2023年末法隆寺吟行

          カレーVSラーメンマイクロノベル応募作『拉蛇』

          ラーメンが嘗て銀河と呼ばれてゐた頃、神々は徒に麵を持ち上げては羣がる巨人達を見て快樂としてゐた。 しかし繰り返してゐる閒に巨人達は鍛へられ、ついに麵の柱を登りつめ神々へ反亂を起こすと、たちまちに取つて代わつた。 そして忌々しい麵を蛇に變へると神々は贄として捧げられた。 最後の神が蛇に呑まれるとき、巨人達へ呪いをかけたので、巨人達はその大きな身體を失つた。 蛇達が腹を滿たして眠つたので食べられることはなかつたが、同時に言葉も失つた。 その内に一人が蛇の皮の模樣に言葉を

          カレーVSラーメンマイクロノベル応募作『拉蛇』

          二月(弥生)の古墳吟行

          お誘い頂いて二月のはじめ頃に高槻のいましろ大王墳墓へ吟行に行ってました。吟行は二度目、その時の句です。吟行句は基本的に実景で作るようにしています。 土室より出たまふ春の暁よ 春暁のはにわ街道老子くる バスといふ春のうれひを乗りまちがひ どんぐりの遊ぶ大王墳丘墓 大王の踏まぬ落葉やわれの踏む 埴輪みな空を向きたる揚雲雀 むめがかや埴輪の骨の鳴るたびに 土筆生ふ弥生の空を愛しめり おぼろなる埴輪祭の夜や明くる 鴨の引く埴輪のこゑや奥処へと あなたへと鴨引きゆ

          二月(弥生)の古墳吟行

          二月の俳句など

          春宵をぎゆうつと抱いてカヌレ夫人 うつぼ食むここも瀬戸内和泉灘 寒暁や空缶の山動きたる 梅が香の路地を守りたる龍神さん 初梅の目で見る部屋のたたずまひ 梅暦ぜんざい食ふに間にあうて ぜんざいの食べおさめより探梅行 鶯餅ひるも電飾ついてゐる 逢ひたくて鶯餅となりぬらむ 稲荷鮓指へひかりの移りたる 光庭の愛をあつめて稲荷鮓 ドンのゐる部屋の閉ざされ稲荷鮓 稲荷寿司オセロゲームの必勝法 いなりすし猫も一匹混じりをり 北窓をひらくカルロス・サンタナへ サ

          二月の俳句など

          中山観音寺梅吟行

          七分咲ということでしたが、なかなかよいところでしたね。 広いので梅林とその周辺しか観れませんでしたが、またゆっくり行きたい寺前の団子も食べたい。 以下吟行句。 梅で縛ったけれどやっぱり難しかったナァ。 句数はそれなりに作ったけれど内容が奮わずスケッチに終わってしまった。 よき推敲案あればご教示願います。 紅梅やひるこに消えぬ蒙古斑 観音を慕うてしなる花の兄 ↓推敲案 観音を慕うてしなふ花の兄 観音の掌のしなやかに梅ふふむ ↓推敲案 観音の掌のたをやかに梅ふふむ 明王

          中山観音寺梅吟行

          「コンゲツノハイクを読む」二月分

          今年は皆勤賞を狙う「コンゲツノハイクを読む」二本目無事に投稿しました。 今回は「海原」所属の高木水志さんの句の鑑賞を書きました。 蜩を纏えば響く僕の骨達 高木水志 よろしくお願いします。

          「コンゲツノハイクを読む」二月分

          第12回俳句四季新人賞応募作『トーキング・アバウト』

          『トーキング・アバウト』田中目八 ここよりを歳改むるその暴力 極楽てふ偽史のいろどる去年今年 初東雲あまねき瓦礫の天蓋 西口の恵方東口の戦場 ふくわらひ国家は顔をもたざりし 春水のいま戦争のかたちして 国民総カンダタ時代龍天に さへづりの縮みゆく平均寿命 黙祷をやぶる沈黙夏ごほり 蛇亀象大地死体の上の死体 箱庭にどれほどの命ありしか 西瓜人家街国の割れにけり きざはしを跣でゆける子どもたち 夏草をにじる歴史の灰かぐら 万緑の圧倒的な軍事力 来し

          第12回俳句四季新人賞応募作『トーキング・アバウト』

          一月の俳句など

          孫運ぶじいじばあばの淑気かな 友なるは檸檬のゆびを嗅ぎあうて 一行をおろそかにせず百舌の贄 一行のゆるぎなくあり百舌の贄 一行へ刺したるもずの磔刑餌 ↓推敲案 行間にもずの早贄ありにけり 人日やわれより他人多かりし 朝早きわれの七種粥の夜 はつばなし祝祭広場を見下ろして 淑気満つ大階段で珈琲を 初仕事終えて観るアキ・カウリスマキ 豚玉とモダンと友と春永し 御慶なくいつも通りを遊びけり 歓楽を得てはうじ茶と甘味かな 初売を抜けて一日の遊初 コロツケの

          一月の俳句など