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2012年の読書記録

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2012年に読んだ本の読書記録です。
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#小説

【読書感想】「ヤッさん」原宏一

【読書感想】「ヤッさん」原宏一

読了日:2012/11/16

銀座の街の片隅で、ホームレスとなっていたタカオは、 ある朝、ガタイのいいおじさんにたたき起こされる。 おじさんは「ヤッさん」と呼ばれる孤高のホームレス。
ホームレスながら、築地場内の人々と高級料理店の間を結ぶ コーディネータとして信頼を得ており、タカオにうまいものを食わせてくれる。
そんなヤッさんの人柄と心意気にひかれたタカオは、彼に弟子入り。
都会の街を走り

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【読書感想】「研ぎ師太吉」山本一力

【読書感想】「研ぎ師太吉」山本一力

読了日:2012/12/11

包丁研ぎの太吉は無口で腕の良い職人。
ある日、彼の長屋にかおりと名乗る若い女が訪ねてくる。聞けば殺された父の肩身である包丁を研いでほしいとのこと。太吉はその依頼を受ける。
その数日後、今度は太吉のもとに岡っ引きが現れ、彼を番屋に連れて行く。太吉は番屋で同心の堀部から、かおりが人殺しの疑惑をかけられ捕まったと聞かされる。
かおりの無実を感じた太吉は、7日間という期限の

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【読書感想】「つるかめ助産院」 小川糸

【読書感想】「つるかめ助産院」 小川糸

読了日:2012/9/26

夫が突然失踪し、茫然自失の主人公、小野寺まりあは、過去に夫と訪れた南の島に降りたった。
そこで出会ったつるかめ助産院の先生から、まりあは妊娠していることを告げられる。
島の人たちとふれあい、子をお腹に育みながら、頑なで内向的だったまりあは少しずつ変わってゆく。

人との優しいふれあいと、いのちの話。
優しくてあったかい気持ちになった。

ストーリーのなかで、主人公は妊

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【読書感想】「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎

【読書感想】「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎

読了日:2012/9/21

人気首相、金田貞義が地元仙台でのパレードの最中、爆発物により殺されてしまう。
民衆やマスコミが騒ぐなか、容疑者として手配されたのは、青柳雅春という青年。
全く身に覚えのない事件の犯人にしたてあげられた青柳は、見えない大きな力に抗いながら、逃げる道を探す。

映画になるだけあるなぁ。
ボリュームある内容だったけど、あっという間に読めた。
面白〜〜い。

伊坂幸太郎作品は

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【読書感想】「ロスト・シンボル」ダン・ブラウン

【読書感想】「ロスト・シンボル」ダン・ブラウン

読了日:2012/9/18

ハーバード大教授ロバートラングドンは、ある朝、恩人であり親友でもあるピーターソロモンから代理講演を依頼される。
しかし、会場に着いたラングドンはそこでピーターの切断された手首と、自分がそこに呼ばれた意味を聞かされる。
CIAも絡み複雑化する事態のなか、ラングドンはピーターを救うべく奔走する。

本作では、秘密結社のなかでも最もメジャーなフリーメイソンがストーリーの中心

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【読書感想】「八朔の雪」~「夏天の虹」みをつくし料理帖シリーズ 高田郁

【読書感想】「八朔の雪」~「夏天の虹」みをつくし料理帖シリーズ 高田郁

読了日:2012/9/7

時は江戸。
主人公はさがり眉が特徴の娘、澪。
生まれは大坂だが、諸々の不幸が続き、訳あって江戸の長屋で 暮らしながら神田お台所町の蕎麦処「つる屋」で奉公人として働いている。
料理が好きで、大坂で奉公していた店の主からも、その腕を期待されていた澪だが、 大坂と江戸の食文化の違いに戸惑い、苦悩する日々。
優しいつる屋の旦那種市や、大坂時代の店の女将であるお芳、 長

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【読書感想】「ホルモー六景」 万城目学

【読書感想】「ホルモー六景」 万城目学

読了日:2012/8/22

前作「鴨川ホルモー」の続編。
いろんな人たちのあれこれが描かれた短編集。

しっかり楽しむために前作も時々読み返しながら読んだ。
やっぱり万城目さん、大好き。
すごく面白かった。

なにが素敵って、前作「鴨川ホルモー」と、今回の短編6つが、全部ちゃんと繋がってること。
その繋がり具合がいい。
短編に散りばめられた伏線も、別の短編で回収されてたり、読んでて「おっ!」と嬉

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「英雄の書」 宮部みゆき

「英雄の書」 宮部みゆき

読了日:2012/8/2

平凡な小学五年生友理子には、成績優秀・運動神経抜群、周囲からの人望も熱い中学2年生の兄がいた。
ある日、先生からすぐに帰宅するよう言われた友理子は、母から「兄が同級生を切りつけ失踪した」と告げられる。理由がわからない両親は、失踪した兄の帰還を待ちわび、悲嘆にくれている。
兄の行動が信じられない友理子は、兄の部屋でおかしな本に話しかけられる。本は友理子に「兄は英雄に憑かれ

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【読書感想】「インビジブルレイン」 誉田哲也

【読書感想】「インビジブルレイン」 誉田哲也

読了日:2012/7/27

女刑事姫川玲子シリーズ第4作目。

中野でチンピラの刺殺体が発見され、姫川班も捜査にあたる。
直後、「犯人は柳井健斗」というタレコミ情報が入る。柳井健斗は9年前、姉を何者かに殺されており、当時容疑者として疑われていた彼の父親も自殺していた。
殺害されたチンピラは当時の姉の交際相手。
警察上層部は、柳井は真犯人であるチンピラを復讐のために殺害したと推測。9年前の捜査ミス

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【読書感想】「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン

【読書感想】「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン

読了日:2012/7/25

仕事でパリを訪れていたハーバード大学教授ロバートラングドンは、深夜、警察の来訪で目を覚ます。
その日、面会する予定だったルーブル美術館館長ジャックソニエールが館内で死体となって発見されたという。
刑事とともに現場を訪れたラングドンはそこで、警察の暗号解読官ソフィーヌブーと出会う。
ソフィーから「ラングドンは容疑者として疑われていること」を伝えられたラングドンはソフィー

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【読書感想】「嘘をもうひとつだけ」 東野圭吾

【読書感想】「嘘をもうひとつだけ」 東野圭吾

読了日:2012/7/6

刑事加賀恭一郎シリーズの6作目。
長編だと思っていたら短編集だった。

・嘘をもうひとつだけ
とあるバレエ団の事務員がマンションから自殺。加賀は同じマンションに住む元バレリーナを訪ねる。

・冷たい灼熱
自宅で奥さんが絞殺されて死亡。一歳の息子は行方不明になる。
加賀は失意の夫をある場所に連れていく。

・第二の希望
母子家庭の親子の部屋で、母親の交際相手が殺される。

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【読書感想】「きよしこ」 重松清

【読書感想】「きよしこ」 重松清

読了日:2012/6/27

語り手の元に1通の手紙が届く。
『テレビ番組であなたのことを見て、吃音があることに気付いた。
小学校低学年の自分の息子も吃音で、いつもうつむき、元気がなく可哀想でたまらない。
息子に励ましの手紙を書いてくれないか』
という内容のもの。
語り手は悩んだ末、手紙を出さなかった。
かわりに、ある少年が主人公の物語を作った。
これは、吃音をもつ少年の、小学校から大学生になるま

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【読書感想】「イニシエーション・ラブ」  乾くるみ

【読書感想】「イニシエーション・ラブ」  乾くるみ

読了日:2012/6/29

人数合わせで合コンに参加することになった鈴木。
その席で成岡繭子という女子と出会う。
何度かグループデートを重ねるうちに二人は接近していくが…。

又吉直樹のエッセイ「第二図書係補佐」でも紹介されていた作品。
本の帯には
『「王様のブランチ」をはじめ各所で話題の恋愛ミステリー』「読み返したくなる」
など書かれている。
確かに又吉もエッセイの中で「読み返したくなる」とい

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【読書感想】「のぼうの城」和田竜

【読書感想】「のぼうの城」和田竜

読了日:2012/6/20

戦国時代。
豊臣秀吉は天下統一を目指し、関東の北条氏勢に対して攻め入る計画を立てる。
石田三成は、秀吉から忍城(おしじょう:現埼玉県行田市付近)攻略を命ぜられ自身の武を試すべく2万以上の大軍を率いて忍城へ赴く。
対する忍城では、武士・百姓から木偶の坊の「のぼう様」と笑われる成田長親と、血気盛んな武者たちが、圧倒的な豊臣勢の兵力に、苦い思いを抱きつつ開城やむなしとの結論

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