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【読書感想】「のぼうの城」和田竜

読了日:2012/6/20

戦国時代。
豊臣秀吉は天下統一を目指し、関東の北条氏勢に対して攻め入る計画を立てる。
石田三成は、秀吉から忍城(おしじょう:現埼玉県行田市付近)攻略を命ぜられ自身の武を試すべく2万以上の大軍を率いて忍城へ赴く。
対する忍城では、武士・百姓から木偶の坊の「のぼう様」と笑われる成田長親と、血気盛んな武者たちが、圧倒的な豊臣勢の兵力に、苦い思いを抱きつつ開城やむなしとの結論を出そうとしていた…。

おもしろい。
さすが本屋大賞候補レベル。
映画になるだけある!!

戦国時代の小説なんてほぼ読んだことがない。
最初、名前だけ知ってる戦国大名がたくさん出てきて
「あぁもっと詳しかったらもっとおもしろかったのになぁ」
「名前、わかりにくいなぁ」
とか、ちょっと苦い思いを抱きながら読んでいた。

ところが!
だいたいの人物関係が把握できて、「いよいよ開戦!!」となったあたりからはもう夢中。
基本的に読書は電車内でだけなんだけど、この小説に関しては子供を寝かしつたあと、我慢できず読んでしまった。

江戸時代が舞台の時代物小説で描かれる武士とはまた違った武士像。
新鮮な空気感だったけど、この空気感も悪くない。
いい本があったら戦国時代モノも読もう、と自分の中のハードルが下がった。

戦いの中にもちゃんと礼儀とか守るべき漢(オトコ)としてのルールみたいなのがあって、そういうのが行きわたってるってのはすごい社会だな、と思った。
現代の人が時代モノに惹かれる理由のひとつは、こういう、今は絶対にない空気感なんだろうな。

男もステキだし、女もかっこいい。
誰でもすぐ死んでしまう時代は、男も女も生きる覚悟が違う。

ワタクシ的名文

「武あるものが武なきものを足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」
「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」

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