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金の糸(ジョージア映画:監督:ラナ・ゴゴベリゼ)【はじめました。私が映画感想でした】

かつてグルジアと呼ばれていた国。
ロシアと争って以来、グルジア語がロシア語発音なので、
今後はジョージアと我が国を読んでほしいと世界に要請を出し、
結果としてジョージアと呼ばれている国。

そのジョージア映画。
あなめずらし。これは紹介してみましょう。

まずラナ・ゴゴベリゼ監督はかなり向こうでは有名監督らしいです。
その監督が27年ぶりにメガフォンをとった。
だいぶ前の人ですね。
ご両親はスターリン時代の被害者として亡くなられているそうですから、そういう世代です。
しばらくの間、独立後のジョージア国会議員などをしてらしたようです。
監督の情報は日本ではあまりよくわかりませんでした。
この辺にして作品の方に行きましょう。

監督自身がモデルと思われる老婆エレネが主人公。
娘とその夫。孫娘。と一緒に首都トビリシの中庭のある集合住宅に住んでます。
娘の夫(婿)側の母親がアルツハイマーの症状が出始めたということで、こちらに引き取られることになりました。
彼女、ミランダとの関係はあんまりよくありません。
エレネは気骨あるアーティストでしばしば体制とケンカしてきた人生だというに。
あちらは旧党幹部なのです。(ジョージアは元ソ連です)
まあでも娘夫婦の手前、あんまり角突き合わせるわけにもいかない。
というか誕生日を忘れてる娘夫婦との関係も実はそんなに。
バルコニーに育てた植物を眺めながら、孫娘(こちらもエレネ)に抱きしめて充電してもらうことを癒しにしています。
そしてたまにかつての恋人(現在は車いすのじいさま)から電話がかかってきます。こっちのじいさま(名前はアルチル)は誕生日を忘れてないね。ただ結ばれはしなかったというか。

そんな穏やかな日々。
過去のとある真実がいくらか明らかになり、老エレネは感情を害します。
ただしミランダの症状はいよいよ悪化していき・・・

タイトルである金の糸は、日本の金継ぎの技術のことです。
割れた茶碗とかを金で接着して修復する。
割れたこと自体は取り消せませんが、金継ぎの修復を行うことで、それ自体が追加された価値を持ち、以前とは違った価値をもって再生される。

ジョージアでは数千年前の割れた花瓶などを金継ぎで復旧させたとか。

これは何のメタファーでしょうか?

老エレネに、信念を貫き通して拒絶するのがいいのか、過去を忘れて赦すのがいいのか。
率直に問われて、じいさま(アルチル)は言います。
「俺だったら赦すと思うよ」

・・・・・
要は嵐が過ぎ去った後、かつては敵だったかもしれない国民同士の和解の必要があるということです。
旧共産圏や旧全体主義国の民主化後の悩みとして共通するところです。
同じ敗戦国民でも、日本人はこの辺りの切実さが、ないというか、さっぱり経験がありません。会津と薩摩くらいじゃないのか。和解したという話も聞いてないし。

まあ、この辺を隠喩だけで説明してくれると芸術度はもっと上がるのでしょうが、それは難易度が高すぎる。
映画として、もう少し分かりやすさを重視するために、直球でじいさまに語らせたというところでしょうか。
誤解の余地がないですね。
日本の金継ぎがメタファーとして、出てくるのはそういう理由です。

主題だけではなく、演出もそれなりこだわっています。
老エレネにだけ見える花瓶の花とかね。
芸術映画の枠、とはいえ芸術度はそこまで高くなく。
大衆向けに抑えた理解しやすい作品となっているようです。
この感想で大丈夫かな?
もしかしたら私の目が節穴かもしれませんので、できれば皆さん自身で確認なさってみてください。

トビリシなんて初めて見たし、ジョージア文字がまたミャンマー文字に似てる感じなんですね。
映画での時間当たり情報量は非常に多い。
本よりも映像の方が、情報量が圧倒的に多いので、知識獲得には外国映画とか悪くない感じだと勝手に思ってます。百聞不如一見。

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