海東青 摂政王ドルゴン(著:井上裕美子)【好機!今こそ読書紹介の時!「おじさん、まず食事中は座ってください」・・・うちのおじさんでした】
大清帝国は中華最後の王朝ですが、
もともとは辺境民族の国で中国ではありませんでした。
しかし時勢に乗って全中国を征服。
いわゆる征服王朝になった国です。
初代ヌルハチ、2代ホンタイジ、
それぞれ名君ではありましたが、この時にはチャンスがありませんでした。
チャンスが出てきたのは、幼君である3代皇帝フリンの時代。
もちろん子どもが国家を指導することはできないので、
実質的な最高権力者が、好機到来とばかりに、
その機会を生かし切ったのでした。
その最高権力者は、皇帝の叔父。
摂政王、ドルゴン。
彼自身はついに帝位につくことなく、
ただ後に親政を始めた少年皇帝からいろいろと嫌われていたので、
「おじさん、僕の兄さんを処刑した」
「おじさん、母さんと不倫してた」とか。
死後、名誉剥奪されてしばらく忘却されてました。
今回の話はその摂政王ドルゴンのお話。
****
女性作家の先生だからか、
辮髪の男の人がダンディに見えてくる。
とかいうアオリがどこかに書いてありました。
戦士であり、男の中の男。
政治もでき、頭もよく、未来を見晴るかすこともできる俊才。
ほどほどの野心とほどほどの優しさ。
(しかも満州族は美女イケメンぞろいなのだ)
いや、美形になったのは後世の事かもしれないけど。
(やはり権力を握ってると家系図がイケメンと美女ばかりになる)
そんな感じなので、まあ男女ともに読んで楽しめる小説になっています。
私は歴史ものとして読みましたけど。
海東青とは満州の辺りで採れるハヤブサのことで、
かつて遼王朝の時代、苛斂誅求に苦しめられていた満州族の先祖が、
(当時は女真族)
帝国に収めていた貢物です。
名産らしいのです。
しかし支配はあまりにも過酷であり、
ついに女真族は反乱決起して金王朝を建国。
遼を滅ぼしたのですが、
その金も中国全土を征服する前にモンゴルに滅ぼされました。
それから数百年、ふたたび女真族は勃興し、
今度は名前を満州と替えて、
(満州とは民族名なのです)
そこから再び中華征服に今度は成功した。
そういう展開です。
なので海東青は、彼らの民族にとっての、
因縁の存在なのですね。
まあ女真を苦しめた遼王朝は、
どちらかというとトルコモンゴル系の王朝なのですが。
****
印象としては・・・
可もなく不可もなし。
という感じ。
中華歴史小説に求めるものとしては及第点であると同時に、
それを超える要素は、それほどでもない。
期待通りですが、期待を上回る厚かましさもない。
中華ものでありながら、それ以上を目指すというのが、おそらくは異常でしょうからね。
ただ、「昔、かっこいいおっさんがいたんだな」
くらいに思ってもらえれば、成功だと思うんですね。
あ、現在でも中国の東北地方(満州の辺り)は美人の名産地として有名ですよ。
じゃあ次はドンベイ(東北)美人をヒロインにした漫画を紹介しますか。
(タイトル画像はトンビだと思います・・・日本だとね)
#読書感想文 #世界史 #中国史 #清王朝 #満州族 #辮髪の男性
#イケメン #イケオジ #女性作家 #中華征服 #満州旗人 #皇族
#愛新覚羅 #中国東北地方 #その時歴史は動いた #ターニングポイント
#決断 #世界史の曲がり角 #皇帝にはなれなかった #摂政王
#名誉剥奪 #不倫 #少年皇帝 #価値観の相違 #シロハヤブサ
#鷹狩り #歴史