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女帝エカテリーナ(著:池田理代子)【まず、マンガ感想を禁止します。BLも禁止。百合も(おやおや、女帝陛下のご寝室に積んでおられるものばかりでは)(しぃ、めっそうなことを言うではない。首が飛ぶぞ。文字通りの意味でな)】

伝説的作品「ベルサイユのバラ」の作者。
その後に絵柄が変わってしまいましたが、

今回はフランスではなくロシアの話。

アンリ・トロワイヤの本が元ネタらしい。

古い作品なので、
歴史解釈も古いかもしれません。
最新のエカテリーナ女帝の新事実とは食い違うかも。

全体的に顔が四角味を覚えるようになりましたが、
まあ、内容は欧州宮廷物語です。

ただし、ベルばらと違って、
君主の話ですから、政治的な話が色濃く描かれています。

アントワネット様は、あんまりそういうの、関心なかったですもんね。
オスカルもたかだか一将校に過ぎないわけで。

それに対して、
本作は主人公からして女帝。
政治、外交、軍事、謀略、陰謀、裏舞台の話ががっつり出てきます。
政治オタの人には嬉しいですよ。

最初は皇太子のお嫁さんとして来るのですが、
まあ不幸な結婚でして、
そういう雌伏の時代を序盤に耐えている話が続きます。

ですが。
やがて自ら軍服を着こんで近衛連隊を動かし、
夫を追い落とすクーデターを起こすまでに成長するのです。
女帝の治世のはじまりだっ

***

歴史的にみて、女性の君主は、
帝王学の教育を受けたかどうかで、評価がかなり変わります。

古来、女性に権力をゆだねると亡国につながるなどと言われましたが、
この一番の原因は、実際問題として、彼女たちが政治のイロハを知らないまま登極してしまうからです。

長い世界史の中では、女性は教育を受ける機会がどうしても少ないのですよね。

しかし、父親、夫、愛人、だれでもいいから政治を教えてくれる教育者に恵まれた場合、見違えるように名君となる女性君主が現れます。

お隣、オーストリア女帝マリアテレジアは女ながら後継者として育てられたため、父から。

中国の則天武后は夫である太宗李世民から。

パルミラのゼノビアは夫から。

クレオパトラは愛人のカエサルから。

エリザベス一世は腹心のセシル・ウォルシンガム。

北条政子は父である時宗から。

そして我らが女帝エカテリーナは、愛人のポチョムキン公から。

逆に、教えてくれる人がいないと、高確率でコケる人が見られるような気がします。

最近では田中角栄氏の娘、田中真紀子氏。
選挙までは実力でどうにかしましたが、政権入りしてから途端にぼろが出てしまいました。
本来なら角栄氏が教えるところでしたが、残念ながら病気でそれができなかったのだと思われます。

***

そうです。
女帝は、夫とは不幸な結婚でしたが、
愛人には次から次へと恵まれるのですね。
最初は色男ばかりだったのですが。
(要するに男の色気はあるけど女帝に比べるとバカばっかり)

そこへ知勇兼備のポチョムキンが現れると、
肉欲の面でも、知性の面でも。
ようやく対等に話し合える存在が現れたというわけで、
エカテリーナの治世は安定と強勢を強めていきます。

ピョートル大帝から受け継いだロシアを、世界帝国にしたのは、彼女の時代なのです。

***

また彼女はフランスの革命思想にかぶれます。
まあロシアは専制国家なので、
やってることは正反対なのですが。

「遅れた国の進歩ぶった怪物」とは、
女嫌いのドイツのフリードリヒ大王につけられた皮肉のようですが、

むしろ実際にはエカテリーナの方に、もっと強く当てはまります。
フランス革命が起こったとき、
啓蒙思想をすべて禁書扱いしますが、
ロシアで最も啓蒙思想の本が置かれていたのは、女帝の私室ですから。
いやはや。

権力者としての女性を主人公にした王朝絵巻。
あんまり人気が出なかったのかもしれません。

この辺の話、また出ないかなあ。
マリアテレジアの話は藤本ひとみ先生が書いていたし、
最近ではポンパドゥール夫人のマンガが描かれているようだけど。
やっぱりこの辺はイイな。


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