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時の子供たち(上下)【これも読書紹介だとしたら、どうする?】(著:エイドリアン・チャイコフスキー)

今回の読書紹介は、今回もSF長編。今回も上下分冊でよろしくお願いします。あとなんかい今回を言えるかな。

紹介するのは「時の子供たち」です。
私が買った単行本は黄緑色の目がチカチカするやつです。

長いです。これを読んでやろうと思われた方はがんばってください。
本好きならなんてことないんでしょうけど。

このSFは、人類が到達した偉大なる銀河文明がなんでか崩壊するところから始まります。
その後、物語は2つにわかれます。

一方は。
滅亡した人類文明の最後の生き残り。最後の一隻の世代間宇宙船に乗り込んで、新天地を求めてあてどもなく放浪している。帰る場所のない旅。

もう一方は。
人類の科学者が残したハエトリグモの文明。期待されてたのは違う種族。原始時代から歴史時代へ。他の文明(ハエトリグモ以外の文明種族がいるー!)との戦いや通商。やがて絢爛たる王朝文化から科学革命の時代を経て、宇宙ロケットの時代へ。

ちなみに、
ハエトリグモ文明は、メスの方がオスより体が大きいです。メスはオスを食べてしまうことがあり、それは文化的に容認されてたりします。
そう、ハエトリグモ文明ではフェミニズムはオスによって主張されるのですね。そこらへんも重要なキーポイントになっていきます。

ちなみに、
生き残り文明は、数少ない初期メンバーが毎度おなじみ冷凍睡眠でしのいでます。たまに起きてくると社会の変化が進みすぎていることがあります。そのうち話が通じないとかいうレベルではなくなってきて、技術は次々と失われ、あまつさえ社会は退行していきます。

コロナ前に書かれたはずなのに、パンデミックの話も出てきます。
親近感を感じちゃいますよね。

生き残り文明側ではハリウッドドラマみたいな展開が続く一方(詳しくは控えます)

ハエトリグモ文明では、雅な王朝文化というとこから察してしまうかもしれませんが、歴史もの、大河ドラマ的な話が続いていくことになります。
歴オタには美味しい。
異星人の歴史を主題に書いた作品って、そうそう見たことないです。異星人の歴史っていつもさらっと説明されるだけですよね。しかもハエトリグモですよ。
私はここが理由で買いました。

そうそう、個々のハエトリグモの名前は、シェイクスピア劇にちなんだ襲名性を取っており、時代ごとに同じ名前のクモ物(人物)たちが、違う立場と違う関係性になるというものになってます。
例えば主人公の名前はポーシャ、相方はビアンカ、オス役はフェイビアン、
違う時代にも同じ名前で出てきますが、関係性が少し異なっています。
ソウルメイトってやつですかね。

そしてふたつの文明は、生きていけるたったひとつの世界を占有するために、生きるか死ぬかのクライマックスへと突入していきます。
ああ、やめてくれ。もうこの時点では両方ともに感情移入しちゃってるんだよなー。
共存とかできないのかよー。
そんな読者の悲鳴とともにクライマックスに突入してくわけですが、さて・・・・・・

テックレベルや超科学要素は、そんなについていけない、という感じではありません。
むしろ宇宙戦争マニアからすると、レトロフューチャーな戦闘展開に突っ込みたくなる場面もあるかもしれません。私は突っ込みました。でも仕方ないんです。文明がいちど失われてるんですから、戦術が原始的なのもむべなるかな。21世紀の人が突っ込むのはおやめください。

総じて難しい話ではないです。エンタメです。バランス感覚も良い。ネットフリックスでドラマ化されててもおかしくない。(ハエトリグモをどう描くか・・・)
読後感でも、もにょることはないでしょう。
そこが物足りない方には物足りないですよ。いいじゃないですか。
10代の頃に読んだ、とかそんな要素がなければ、そのうち忘れていってしまうかもしれない。逆に10代の頃に読めばSF文学の代表作と感じられるかもしれません。

やはりハエトリグモについては語らないとね。

それでは今回も、っつぁした。
(客先の上司にあいさつを一音節にまとめてしまわれる方がいて、その、すごい優秀なんですけど)

ちゃんとしたレビューを読まれたい方は下をどうぞ。



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