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コロロギ岳から木星トロヤへ(著:小川一水)【まずコロロギ岳ってどこだよ? こうして読書紹介が行方不明になってから3週間が経過した】

小川一水のSF小説。読み切り長編です。

時空の流れを自由に漂う生物が、
ちょっと狭苦しいところに入り込んで、
ひっかかって出れなくなってしまった。

頭は21世紀のコロロギ岳天文台に。
お尻は木星トロヤ軍の戦艦の中に(2?世紀)

頭の方では、男女二人の研究員と、
宇宙生物が会話を行い、出る方法を模索してもらいます。
この出る方法なんですが。

宇宙生物は未来の失敗例が分かるために、
手続きを行いさえすれば、未来情報を教えてくれます。
たいてい未来は悲惨なことになってるそうですが。
手続きさえ行えば、正しい未来を教えてくれる。

お尻の方では、少年2人が放射能に満ちた艦内からなんとか脱出を図っています。
トロヤ群は別の星に侵略されたばかりでして、
過去のトロヤ群の遺産である戦艦をどうにか再発見して、
独立運動をやろうとしてるんですが、閉じ込められた。

こちら側では会話できません。意思表示器官がないんですね。
しかし状況が分かるので、過去の天文台チームに連絡して、
こういう法律を作っておいてくれ、みたいなやり方で危機を脱出していきます。

天文台側が過去ですからね。
迂遠ですけどコミュニュケーションはできる。

まあ宇宙生物は力づくで脱出することもできるのですが、
そうすると20世紀とトロヤ群は吹き飛んでしまいます。
掟としてくさびを大事にしなければならない宇宙生物は、無下なことができません。

そんな感じで、
3つの視点で進んでいくパラレル進行SF。

☆★

宇宙生物は時の流れを泳ぐ生き物なので、
何かするたびに歴史が変わっていく。
世界がどんどん切り替わっていくので、
最終的には地球人には何の記憶も残らない。
(前世の記憶的にぼんやり残る場合はあるみたいですが)

この小説のみどころはパラレルワールドでしたね。
宇宙生物視点があるので、上記のように、
パラレルワールドを横断的に楽しめます。
こういうスタイルの物語もあるんですね。
今まで有りそうで無かった発想かも。

読後感も良く、ほとんどの読者が納得のいく結末でした。
つまり・・・・・・・

万人にお勧めできる作品ということです!

↑ 過去に紹介した小川先生作品たち。
時砂は同じくタイムパラドックスもの。

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