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読書日記・目くそ鼻くそを笑う

5月7日(日)

連休中にずっと一緒にいた娘と息子は、朝から何やら不穏な空気をかもしだしていてこれはケンカになりそうだなぁと思いつつも、なんとかやり過ごしてもうすぐ一日が終わる!と思った夕方にド派手な姉弟ケンカが勃発してしまう。どんなに大事な存在であっても5日間もべったりと一緒にいれば、相手の嫌な部分が気に障って仕方がなくなる、というのはよくわかる。娘も息子も、どちらも相手が悪いんだ!!!と大声でののしり合っていて、これが「目くそ鼻くそを笑う」ということなんだろうなと思ったりした。

読んでいたのは、戸谷洋志さんの『SNSの哲学』

この本を読んで、「いいね!」とか「スキ」の評価を気にしている自分がアホらしくなったので、とても良かった。自分の投稿に「いいね!」がつけば嬉しいし、だからもっと頑張って投稿しよう!と思うことだってあった。しかしそれもある時からしんどいなと思いやめてしまった。「いいね!」の評価を気にしてしまえば、いくら好きでやっていることでもしんどくなる。そして「いいね!」の数を気にするようになると、「いいね!」が少なかった時はとても落ち込んでしまうし、何がいけなかったのかと自問自答する日が続いてしまう。そんなことはしなくてもいい。「いいね!」をして欲しいから「いいね!」をしている人もいるんだと本にあって、それならば「いいね!」が自分の評価につながっているわけではないし、もうそういうのはどうでもいいから好きにやっていこうよ、という気持ちになって救われたのでとても良かった。


5月8日(月)

息子が最近ハマっていた公園の遊具が撤去されることを知る。やっと遊び方を知り、楽しさを覚えたところだったのに!!と私は猛烈にショックを受けたのだけど、息子に遊具の撤去の話をしたら「この前たくさん遊んでおいて良かったね」と、前向きな発言をするのでめちゃくちゃビックリした。それは超絶ネガティブおばけの私から生まれたとは思えない発言だったこともあるし、ありのままで着飾ることもなくポロっと発した言葉がポジティブにな人って世の中にいるんだ!!という驚きもあった。このポジティブさ見習いたい、と夫に話したら鼻で笑われた。ネガティブが染みついている私には、ポジティブになるなんて到底無理だろうと言う夫。それこそネガティブな発想なのでは?と思った私も結構イジワルであり、これもまた「目くそ鼻くそを笑う」なのかもしれないと思った。似た者夫婦、似た者親子ってことか。

読んでいたのは、西加奈子さんの『くもをさがす』

ここ最近、自分自身を見つめる作品に惹かれている。土門蘭さん、植本一子さんの本もとても良かったし、自分の内面を見つめて文章に出来る人に強く憧れてもいた。西さんの『くもをさがす』も、乳がんという病気を通して自分の内面を見つめた作品(だと勝手に思っている)で、とても良かった。本当に素晴らしい作品を読ませてもらえた。

乳がんになった西さんの状況は、同じ女性として他人事とは思えないもなにも昨年は義母、今年は母が同じ病気になり、私にとってがんはかなり身近な存在になっていて、だからがん治療が心に響きまくってあやうくメンタルがやられそうになったんだけど(がんは死と隣り合わせだと感じてしまうため)、それでも読み進めていたら、がんの世界だけじゃなくて、生きていくということ、日本人であるということ、自由ってなんだっけ、人生って何だっけ、という壮大なテーマを考えさせられそうになったものの、私の頭で考えるには限界があって、だから西さんがどんな風に世界を眺めているのかを知りたくてページをめくるんだけど、西さんの見えている世界を私も同じように見ることができるわけじゃないから、それが何だかもどかしくて、でも新たな視点や気づきをもらえて嬉しくもあり、結局何が言いたいのかよくわからない感想になった。読んだ本がとても良かったので興奮したまま本の感想を書くといつもこうなる。何とかしたい(いったん落ち着けば良いのでは)。

とにかくこの本はとても良くて、でもその良さを表現する術がどうも私の中に無いので、この辺で終わりにしようと思う。本当に素敵な本だった。最近、本当に素敵な本にばかり出会えていて、人生の運をすべてつかっているのではないかと不安になるあたり、私は超絶ネガティブおばけだなと思った。こういう時は「素敵な本に出会えて幸せだ」とシンプルに思っていればそれで良いんだ。そうだそうだ。

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