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2022年1月15日「読める時、読めない時」

私は新しい本を読むとき、その本に慣れるまでの時間が結構かかる。本を開いて数行読んでも、気持ちが乗らずに本を閉じるといったことを、何度もくり返す。何度も本を開いて閉じてを繰り返し、ようやく何度目かに本を読めるようになるんだと、最近気づいた。

こんな人間なので、初めての本に出会うと、ワクワクする思いと「慣れるまでにどれぐらい時間がかかるだろうか」といった不安とで、ドキドキしてしまう。

そんな中で今日は『あなたを選んでくれるもの』を読んでみた。あっさりと半分まで読み進めることが出来てビックリした。

売りたいものをフリーペーパーの広告に出している人たちに、インタビューしていく内容なのだけど、何故だかこの本から目が離せなくて、寝落ちするまで読み進めてしまった。

「文章の良し悪しは、最初の文章で決まっている」といった話を見かけたことがある。最初の文章で「ダメだ」と思ったら、その文章の先を読み進める人はいないんだそうな。

それに対して「読み進めてしまう文章は、良い文章ということでしょうか」とコメントしている人が居た。文章の良し悪しなんて私にはさっぱり分からないのだけど、読みやすさ読みにくさというのは確かにあるのだろう。しかし、読みやすさを考えて生み出されたものが、必ずしも読みやすいとは限らず。

でもこの『あなたを選んでくれるもの』は、流れるように文章が入ってきて、あっという間に著者の世界に入り込むことが出来た。

これは著者のストーリーの組み立て方が面白いというのもあるのだろうけれど、翻訳されている岸本佐知子さんの文章が、とても読みやすいという部分も大きく影響しているのだろうと、勝手に結論付けた。

そして何よりも、読書には自分の精神状態が大いに関係すること、それを無視して文章を追いかけても、面白さを感じる心が失われているので楽しくないということを、改めて心に刻んだ。読めない時は読めないんだと、いさぎよく読書を手放せる人になりたい。

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