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秘密主義は苦手なんだけども

「一人での旅行は記憶となり、二人一緒なら思い出となる」
そんな文章を見かけて、感情が揺さぶられた。言葉の選びかたひとつで、心は動くんだということを改めて思い知らされた感じ。


私は言葉のチョイスがどうにもこうにも下手くそで、夫にもよく「ちょっと何言ってるかわからない」とサンドウィッチマンのようなツッコミをもらうことが頻繁にある。あれ?「ちょっと何言ってるかわからない」はボケだっけ?(そこはどうでもいい)

最近は伝えたいことがあっても単語が出てこないことが結構あって、これはきっと老化という面もあるのだろうけれど、言葉は使わないと表には出てこないという良い例でもあるような気がするのだ。

だったら色んな言葉をどんどん発していきたい!という気持ちが強まるのだけど、そのためには色んな言葉を知っている必要があるため、まずは日本語の勉強からスタートしなければいけないような気がして途方に暮れている。

普段使っている言語であっても、勉強しようと思えば無限にすることがありそうだし、「日本語は奥が深い」とか言われることもあるし、それって良いことのようだけど勉強する側にしてみたら、とてもややこしいんだろうなという気持ちが生み出されてしまい、これは手を出したら危険な香りがプンプンプンポンとするように思えて(ポンって何?)そんなことを考えていたら、すっかり勉強する意欲は消えてしまった。私の熱意よ、さようなら。

そんな最近の読書は『殺しへのライン』

ホーソーンシリーズの三作目。
ホーソーンは自分のことを語らない人なので、とても謎が多い人物なのだけど、でもそこが謎めいていて素敵♡なんてことにはならず、ただただ何でこんなに秘密主義なの!?と憤りながら読んでいるシリーズ。白黒はっきりしてもらいたい私にとって、ホーソーンの秘密主義はイライラとしてしまうようだった。私はどうしてこんなに憤るシリーズを読んでいるのだろうかと思いながらも、今回も手に取ってしまった。

しかし読んで正解だった。今回は少しだけホーソーンがどういう人なのかわかってきた面があり、徐々に明かされていく謎というのが大好物なため、今までの憤りは無かったことになってしまったようだった。

そして今後も新たな謎が待ち受けているようなので、いけ好かないけれどホーソーンの行く末を見届けたい気持ちも強まるし(シリーズ物って回を重ねるごとに、登場人物に肩入れしたくなりませんか?)、私はきっとこのシリーズを最後まで追いかけることになるだろうと確信した。謎がすべて明るみになるまで読み続けたい。


『殺しへのライン』の中で、ホーソーンが読書会のために読んでいる本があってそれが『エアーズ家の没落』だったのだけど、その本がとても面白いんだと書かれていて、今の私の心はサラ・ウォーターズに染まってしまっている。めちゃくちゃ読みたい。

サラ・ウォーターズといえば『半身』しか読んだことが無いのだけど、『半身』は10年以上前に読んだはずなのに、未だにあのいきなりどこかへ連れて行かれる感覚を忘れることができないでいる。それはとても強烈な体験で、私は『半身』以降のサラ・ウォーターズを手に取る勇気がなかったのだけど(と言いながらさっき読書メーターを調べたら、『荊の城』は読んでいた。自分の記憶なんてあてにならない)、年齢も重ねて経験も重ねてきた今ならいけるかも?!というよくわからない期待を自分に抱いていて、とにかくサラ・ウォーターズを読みたい気持ちが強まっているのだった。しかしどうも絶版っぽい。図書館で探してみよう。

読みたい本がどんどん増えていくのって、本当に幸せを感じる。まだまだ読める!という感覚があるのって、踊りだしたいぐらいに嬉しいことだ。

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