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【ep.10】"らしさ" はきっと、未来の自分が輝かせてくれる

「自分らしくいれば、いつか未来の自分が褒めてくれるよ。『僕を守ってくれてありがとう』って」
ドラマ『初恋の悪魔』より

これは、2022年7月期に放送されたドラマ『初恋の悪魔』に出てきた台詞。脚本家・坂元裕二さんが手がける作品は、空っぽな心で見ていたって言葉一つ一つが粒立って、存在感を示してくれる。

誰かにバカにされても、誰にも見向きされなくても、自分を貫くこと。それには相当な覚悟がいる。

それでも心のどこかで「自分らしさ」を守り続けていたら、いつかそれをバッチリ表現できるくらい成長するかもしれない。「らしさ」がそのまま受け入れられて、誰かを救えるかもしれない。

そうなれた瞬間は、それまでの苦しさを吹き飛ばすくらいきらめいていて、「ありがとう」が心から染み出してくるんだって。今たしかに感じている。

私が私を表現できるようになるまで。ep.10にたどり着くまでは、こんなステップがあった。

【第1章】ひとり心の中で葛藤した日々

  • ep.1  自分の想いを言葉にできない

  • ep.2    伝えても届かない悲しさを味わう

  • ep.3    それでも本当は分かってほしい

  • ep.4    伝えるために生きよう

【第2章】歌うために奮闘した日々

  • ep.5    届ける活動を始める

  • ep.6    届ける怖さを乗り越える決意

  • ep.7    努力しても届かない苦しさ

  • ep.8    他人軸じゃなく自分軸で生きていく

  • ep.9    表現してきた意味を知る

できなくて悲しくて、それでも決意して、やっぱり怖くて悩んで、もう一度立ち上がって…。そんなふうに私は、「自分を表現する」という点でマイナスからのスタートだったし、低空飛行を繰り返している。

シンガーソングライターをやってみたものの、ファンがたくさんできたわけでもないし、大きな大会で賞を獲れたわけでもない。結果だけを見るなら、何も残せなかったのかもしれない。

だけど私は、自分を押し殺して「らしさ」を見失ったところから、必死に自分と向き合い続けて、怖くてもステージに立ち続けて、やっと「私」を見つけることができた。これまでの日々は、きっとそこに価値があるのではないかと思う。

私がこのシリーズを書こうと思った理由は3つ。1つ目はep.6で語ったように、この経験が同じように悩む誰かの希望になったらいいな…と思ったこと。2つ目は、これからやろうとしていることの背景を説明するために、この物語が必要だと思ったこと。

そしてもう1つは、"私の人生" という軸でこれまでの自分を評価してあげたかったから。だって「こんなに頑張ったのに、何も得てないじゃん」と思ってしまう夜も、正直ある。私の場合、他人軸じゃなく自分軸で、マイナスからの飛躍分まで考えてあげなきゃ、頑張ってきた意味が霞んでしまうのだ。

「歌うために生きよう」と決めた高3のあの夜から、私はまず「歌う」とは何かを考えていた。音楽サークルに入って歌い、「自分で作った歌じゃなきゃ意味がない」とシンガーソングライターを始め…。〈歌う=オリジナル曲をライブで歌うこと〉になっていった。

そのためにはライブを続けないと。ライブをするにはお客さんが必要だからといろんな場所で歌い、「気に入ってもらわなきゃ意味がない」と作る歌もパフォーマンスも変え始めた。

いつしか、目的が「目の前のお客さんの気に入ってもらうこと」にすり替わっていて。でもそのままじゃ私は、うまく呼吸ができなかったんだ。

ライブ活動から離れて、余計なものを削ぎ落として、それでも残ったのは「私らしい表現の追求をやめないでいたい」という切実な気持ちだった。きっと私にとって表現とは、「わたしを生きる」ということ。だから表現の追求は、私の人生そのもので。生きている限り、終わらないのだと思う。

だから私は、誰のためでもなく私のために、表現し続けていたい。

「私らしい表現を追求する」。それを目的にしたとき初めて、歌じゃなくてもいいなと思った。私が好きなのは音と言葉の表現。だから歌だけじゃなく、純粋に音だけの表現や言葉だけで綴るエッセーなんかも楽しんでみよう。「言葉と音の創作家」になろう。

少し前、たまたま出会った人たちが、"なってほしい世界" を目標に掲げていた。「優しい人が損をしない世界」「対話が日常に溢れる世界」…なんだかそれがすごくかっこよく見えて。

世界は変わらないままだから、私が世界に合わせなきゃいけない、と今まで思っていた。でも別に望んだっていいんだ。理想の世界は、自分で作ればいいんだ。

そう気づいたとき私は「誰もが安心して自分を表現できる世界」を作りたいと思った。それは音楽や絵など芸術に携わる人を増やすことじゃなくて、自分らしく生きられる人を増やすということ。

そのためには「自分を否定することなく、ありのままの自分と向き合える環境」、そして「表現したものを優しく受け取ってくれる相手」が必要だと思っていて。そういう場所を作る活動を《cankoto》と名付けた。

安心して表現できる世界は、私がこれまでずっと必要としていたものだから、その世界を目指す活動をすること自体「わたしを生きる」ことだと思う。そしてそんな世界になれば、追求し続けている「私らしい表現」をもっと安心して届けられる。

これが今の私の、新しい軸。今までの紆余曲折なんて何の意味があったんだろうと嘆いた日もあったけど、この結論に出会えてようやく「ありがとう」と思えた。

「自分らしさを守り続ければ、いつか未来の自分が感謝してくれるよ」。
今なら自信を持ってそう言える。

***

「私が私を表現できるようになるまで」の物語集。ep.10まで読んでくださったみなさん、ありがとうございました(まだの方は良ければep.1から順番にご覧ください!)

この物語集に私のすべては載せられていないだろうけど、これを言語化できたことは「言葉と音の創作家」の大きな第一歩になったと思います。

なぜ歌い始めて、何に苦しんで、何を目指して、そしてなぜ歌うのをやめたのか…。少しでも伝わったでしょうか?読んでくれたあなた自身の "らしさ" への気づきや、自分軸で自分の頑張りを認めてあげるきっかけに繋げてもらえたら嬉しいです。

表現するのが怖い自分のこと、今はそのまま受け入れているけど、実はこの物語を書いていてちょっと悔しくなってきました。

「表現しても届かない」という絶望感から、いい加減抜け出してやりたい。「表現しても大丈夫だよ」だけじゃなく、次は「ちゃんと届くよ」って誰かの背中を押せるようになりたい。それがたぶん次の目標なのかな?

これからも「わたしを生きる」ために、自分自身の表現の追求とcankotoの活動を楽しんで進めていきます。この物語の続きができたら、また更新しますね。

今後もnoteや他のSNSの更新を続けていきますので、ep.11〜のおはなしも見守っていてもらえると嬉しいです^^

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このお話をテーマにした動画を作りました。
テーマはオリジナルの、「Expression」。

物語編・歌編と2つアップするので、ぜひあわせてお楽しみください!

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