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【ep.8】"いい子ちゃん" はもうやめる

「もえかちゃんは "いい子ちゃん" をやめれば、もっといいアーティストになれるよ」

尊敬する先輩アーティストからの核心を突く言葉に、内心よろけながらも。「やっぱり、そうですよね〜」とすぐ返すくらいには、納得していた。

自分の想いを表現して届けるため、歌い続けてきたはずなのに。まだどこかで "守っている自分" がいる気がしていたんだ。

2019年にワンマンライブを終えた後、「企画する」楽しさに目覚めた私は、企画イベントに力を入れ始めた。

それまで主に出演していたライブは、「ブッキングライブ」というライブハウスが数人アーティストを呼んで行うイベント。

他のアーティストや新しいお客さんと繋がれる可能性はあるけれど、チケットノルマで赤字になることも(最初の頃はほとんどお金を払って出ていたなぁ)。

それにイベント自体のチケットも2000円〜だったりして、同世代は呼びづらく、お客さんは二回り以上歳上の男性の方が多かった。

もちろんいろんな人に届けられるのはいいことだけど。その環境で頑張れば頑張るほど、どこか私の本来の想いとは離れていく気がして…。

何かが違う、と思いながらも、この活動を辞める=音楽を諦めることのように思えて、なかなかやり方を変えられなかった。

一方企画ライブは、来てほしい人に喜んでもらえるよう、たっぷりこだわり抜ける!

興味を惹く告知画像になるようデザインを工夫したり、絵の個展をしているカフェで投げ銭ライブをしたり…自分も行きたいと思えるイベントになるよう頭をひねったけれど。

やっぱり集客は苦戦したし、何より「私の歌のために来てもらう」ことにどうしても気が引けてしまっていた。

そんな2020年、世界の状況が一変する。イベントができなくなり、決まっていたブッキングライブはほとんど中止や延期に。

あんなにやりたかったライブができないのに、私は心のどこかでホッとしていた。無理矢理今までの世界と切り離されることで、客観的に見つめ直すチャンスをもらえたから。

「生き方テラコヤ」というオンラインスクールを知ったのも、ちょうどそんな時期。名前に惹かれてイベントに参加すると、初めて「対話」というコミュニケーション法に出会えた。

今まで私がやりたかったのは、こんなコミュニケーションなのかもしれない…!

対話の場では、お互いの想いを優しく受け取り合えて、深め合える。それは私が無意識にやってきたものだったし、みんなもそうならいいのにと何度も嘆いてきた話し方・聴き方だった。

生き方テラコヤで対話の場やコーチングを体感していくうち、もう一つ気づけたことがある。

それは「全然自分のこと分かってなかったなぁ」ということ。

これまであんなに、やりたいことや好きなこと、何につらいと感じ、何に喜びを感じるのか…、ひたすら自分と向き合ってきたつもりだったのに。

これくらいで苦しいと思っちゃいけない
やるからにはあそこを目指さないと

そんなふうにやっぱり他人軸が邪魔して、自分をそのままには受け止められていなかったのだ。

「良くも悪くも人任せ」先輩の言葉がよぎる。「人に判断を委ねるのは無責任だよ」って。そう思うと、自分軸を持つことにもっと自信を持てる気がした。

昔から口癖のように「どうしたらいいの?」と、頭の中でよくつぶやいてしまう。これって典型的な他人軸だなと、気づいたときは笑っちゃった。それからは「私はどうしたい?」に置き換えるよう意識し続けている。

そんな12月のある日、気分転換に嵐山へ出かけた。紅葉で色鮮やかな山々を見ながら、ノートを広げ、ゆっくり自分と向き合う時間。

ーーまだどこかで "守っている自分" がいる

だからこそ、音楽に自分を出しきれなくて、挑戦に躊躇してしまって悩んできた。だけどね。それはただの弱さじゃなかったのかもしれない。

私は子どもの頃から繊細で、人一倍傷つきやすかった。だから心が壊れてしまわないように、私の一部が文字通り "守ろう" としてくれてたんじゃないかって。

100%自分を出した表現を否定されたら?
やる!って宣言してできなかったら?

心を壊さないように傷つけないように、先回りして守るため、"恐怖心" が生まれていたのだろう。そう思うと、今まで敵視し続けていた恐怖心に、感謝の気持ちが溢れてきた。

今まで弱い私を守ろうとしてくれて、ありがとう。でも、もう大丈夫。ちょっとは強くなれたはずだから。壊さないように進んでいくから。

…だからもう少しだけ
私らしく生きることを応援してくれないかな?

「嫌われてからが始まりだよ」と笑う先輩の姿はかっこよすぎて。そんなに強くはなれないかもしれないけど。

私は誰かのために "いい子ちゃん" でいるのは、もうやめる。

***

「私が私を表現できるようになるまで」の物語集。ep.8は、自分軸で生きる大事さを再認識した2020年のおはなし。

会社員をやめて、たくさんライブして、周囲の人からは「楽しそう」「好きなことできていいね」とよく言われていました。だから「いやまだ自分らしくなかったんかい!」とツッコミたくなりますね(?笑)

もちろんそうできる環境には、心から感謝しているけれど、「自分らしく」はそんな単純な話じゃないんですよ(私の場合)。

対話と出会って、コーチングしてもらって、やっと自分と対等に話せるようになった気がする。自分軸と他人軸を分けて考えるトレーニングを重ねてやっと、本来の私の姿も見えてきました。まだまだ練習中だけどね!

次回は第2章ラストのお話です。もうちょっと続くので、最後まで見守っていてください^^

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このお話をテーマにした動画を作りました。
テーマ曲は、「うつくしい人/moumoon」。

物語編歌編と2つアップしているので、ぜひあわせてお楽しみください!


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