【試し読み】コロナ禍の町中華(中華料理 新三陽 根津店・マスターへのインタビュー)
美味しいもんを食べたいとか楽しい酒を飲みたいっていう気持ちは前と一緒なんだよね。でもいまは我慢。みんな一緒だよ。
地下鉄千代田線根津駅から徒歩2分。かつては国内外からの観光客であふれていた街角で30年間営業を続ける中華料理「新三陽」。昔ながらの中華料理とマスターの飾らない人柄に惹かれ、毎日地元の人々や近くの大学生で賑わってきた。そんなこのお店も、今年(2020年)は厳しい営業が続いているという。いよいよ秋らしくなってきた9月下旬、マスターにお話を伺った。
ーこの状況に対して率直にどう感じていますか?
いやぁ、こんなになるとは思っていなかったね。こういう風に世界的に広がるとは思っていなかったし、ここまで商売がダメになるってまったく想像できなかったよ。
ーいつごろからコロナの影響を感じはじめましたか?
4月だよね。緊急事態宣言のちょっと手前。テレビとかの報道が物々しくなってきて「うわ、こんなことになっちゃうんだ」って思ったね。
ー実際のお客さんの変化はありますか?
まず団体のお客さんが減って、次に家族連れでくるお客さんが減った。あと根津のつつじ祭り、近くの大学の祭り、地域のお祭りがすべてキャンセルになったから、それに関する打ち上げとか集まりとか出前がなくなった。イベントがないとそういう集まりが一切ないから、たまには食べにきたりする人もこなくなったよね。最初は大丈夫かなって思ってたけど、みんな来なくなってくると、ボディブローのように効いてきて「やべぇやべぇやべぇ」ってね(笑)。
だけど、そのころはそんなに売り上げ自体は減らなかったな。だってみんなご飯食べないわけにはいかないじゃん。ただ食べに来るだけの建設業とかサラリーマンの人とかは来てたから、最初のうちは急激に売り上げが減るようなことはなかったね。だから思うに、宴会だけの店とかは厳しかったんじゃない?逆に「いつもの8割か7割の売り上げだから、たいしたことないな」って思ってたけど、いまは半分ぐらい。緊急事態宣言中より、むしろいまの方が売り上げが落ちているね。
ー現在の売り上げは、去年のの何割くらいですか?
6割くらいじゃないかな?5割まではいってないけど、ほんとにさっき言っていたようにいろんなものがなくなった。毎月やってたような宴会も今年からゼロだからね。例えば、よく町会で日曜日の昼間に消防団の訓練とかがあると、終わってから7、8人で飲んで行ってくれていたし。いまはそういうのがまったくないからね。いま売り上げが3、4割減の中でほんとは危機感持たなくちゃいけないのが、給付金とかそういうのでちょっと金に関しては甘えてるのかもね。
(以下、記事に続く)
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