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月森乙@「弁当男子の白石くん」文芸社刊
2024年2月26日 22:51
当時、私たちは某国に住んでいました。 ダンナの祖国の基地の近くに住んでいたので、つきあう方々はおおむね、ダンナの祖国の方々でした。 私のダンナは士官ではありませんでしたが、運悪く士官の奥様方と交流する機会に多く恵まれました。 彼女たちのマウンティングはすさまじく、派閥争いも相まって、目の前でバチバチと火花が散るようなありさまでした。 もちろん、士官の妻でもない私などは、虫けら程度の扱
2024年2月12日 11:05
実はうちには息子もいます。 本を読むのはきらいだし、隙を見てはズルをしようとします。私が隠していたお菓子を食べて、食べかすを放置しています。「食べたでしょ」 と言ったら、「食べてない」 と言います。証拠の食べかすを提示したら、「だって、ち〇ち〇がそうしろって言うから」 男性の神秘です。 運動が嫌いですが、家でゲーム中継ばかり見せるのもどうかと思い、サッカーチームに入れました
2024年2月14日 10:05
某国の某州に住んでいるとき、近所のご夫婦からキャンプに誘われました。私はキャンプなど行ったことがなかったので、二つ返事で「行く」と返事をしました。 近所のご夫妻もうちもまだ子供がいない時でした。 そのキャンプ場は車で一時間ほどのところにある山の中でした。 途中で道路にコオロギの大群が現れ、道路を真っ黒に埋めていました。近づくごとに形を変えて蠢くその黒いものを、ザリザリと音を立てて車の
2024年2月18日 12:05
母親にとって、出産は幸せの瞬間だと思います。 私もそうでした。……ただし、ある一点をのぞいては。 娘を取り出した直後、先生が私のお腹の上に、娘をうつぶせにおいてくれました。娘はぱっちり目を開け、不思議そうに周囲を見回していました。 なんてかわいらしいんでしょう。 感動した瞬間でした。 娘は一通り周囲を見回した後、私を見ました。バチっと音を立てて目が合いました。どういうわけか、
2024年2月11日 12:15
少し前、某国では人種差別のことを話すのがとてもはやっていたそうです。ただ、「差別をしてきた人たち」に「差別をされた人たち」の気持ちはわかりません。だって、今まで「面白い」と思って差別したりバカにしてきたりしていたのですから。 というわけで、かなり面白いことになっています。 うちの娘は、見方によってはラテン系にも中東系にもアジア系にも見えます。というわけで。 ある日、クラスの誰かが、
2024年2月11日 02:08
追いかける、といえば。 昔、昔の話です。まだ、子供はいませんでした。 ダンナは某国人で、別の某国のあたりの某国基地の近くに住んでいました。 ダンナの鼻の中に大きなポリープがたくさんできていました。そのせいで、顔の形まで変わっていました。医者はそれを、「白いぶどうをぎゅっ、ぎゅっと詰め込んだ感じ」と表現しました。 わたしたちは遠いところに住んでいたので、手術をするのに片道四時間かけ
2024年1月27日 05:32
ちょっと昔。長女は十歳でした。とある国に行きました。その地域に、「シュネバル」というお菓子がありました。スノーボール。雪玉、という名前らしいです。 中世の結婚式の時に供されてきた伝統的なお菓子で、リボン状に切ったクッキーをぐちゃぐちゃに丸めて揚げ、表面にたっぷり粉砂糖をかけたものでした。娘の顔くらいある、その大きなボール状のものを買いました。 娘がかじりつこうと大口を開けたら、口に