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創作シリーズ

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Aoyが過去に創作した作品集です
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#未来のためにできること

[創作]偉大な2人の対話

[創作]偉大な2人の対話

「時として人生に惑い、明日の方向性も分からなくなるのなら、私はすんでのところで方向性を変えてしまいます。」

「といいますと?」

「別にこれまでの文化的活動はなかったんじゃないか、と。そうして別に私1人で死んでもいいだろうと。」

「なるほど、それは私もよく思うところがあります。それがある種の救いとして、創作活動の原点にもなっている。」

「ええ、例えば私は小さい頃1人だったんですよ。青年の時も

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[創作]あなたはどんな人と付き合いたいですか

[創作]あなたはどんな人と付き合いたいですか

「私はもちろん、性格の良い女の人と付き合いたいと思う。けれどそれはすなわち性格の悪い女の人と付き合いたいということだとも言える。

というのも自身が性格が悪い、という自己省察に富む女の人ほど、性格の良い女の人だと思うからだ。

これを聞いてめんどくせえな、と思う女の人は性格が良い女の人で、故に性格が悪い女の人だと思う。

これを聞いてなにかハッとする女の人は、性格の悪い女の人で、故に性格の良い女の

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[創作]経営の要 人徳の心得

[創作]経営の要 人徳の心得

私なりに考えてみまするに、若い君たちに伝えたいことは概ね一つであります。

"談笑(だんしょう)"ということを、君たちに理解してもらいたい。

そして思うに、談笑というのは一つの苦しみを抜け出したところから起きる朗らかさ、明るさ、愛であります。

つまり苦しんだものほど、優しい笑顔をするということですな。

そして君たちはまだ若い、これから幾重の人と話をし、語り合い、共に辛酸を舐めることになろうか

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[創作]完成しない恋という完了

[創作]完成しない恋という完了

海の地平線が浮かんで見える。海に山が面し、空は青く晴れ渡っていた。この荘厳の隆起と、すべてがフラットの水面、丘の上の道路を私たちは滑走していった。

もし彼女がそこにいればいいな、と思った。そうしたら私は悲しくて泣いてしまうと思った。もし自分が運転していて、彼女がその旅の疲れで横で寝ていたとしたら、私はその横顔の事実だけに苦しくて泣いてしまうと思った。苦しいほど喜びだと思った。

オーディオには自

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[創作]誹謗中傷

[創作]誹謗中傷

高僧は弟子たちと談笑し合い朗らかに笑っていた。

「ほっほっほ」

そこに1人の善人がやってきた。この人物は以前から寺にあらぬ誹謗中傷をつけている人物で、自分の人生のうまくいかないことを寺へはけ口にしていた。

寺に侵入してそうそう、その師匠に向かって罵詈雑言を浴びせた。

師匠は突如黙った。

「・・・。」

「おい、なぜ何も言わないんだ!あれビビっちゃったのかな?おーい、反応できますかぁ!?こ

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[創作]頭が悪いカップルの会話

[創作]頭が悪いカップルの会話

「でもそれじゃあ、あなたの夢が叶えられないよ。。」

「もういいよ、もういいんだ。僕たちはもうこの世界には用はないよ。それにこの世界は誰一人として世界の起源なんて理解してやいないさ。」

「ごめんね..。ありがとう。せめて私たちはこの世界に仇をなす事だけはやめようね。」

「うん、そうしよう。それに僕も君も洒脱したしね。世界は祝福、僕たちはいつでもゆっくりと幕を引けばいい。」

「この後の世界はど

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[創作]うんおいしい、おいしい

[創作]うんおいしい、おいしい

「私頑張ったんだけど、途中で焦がしちゃって、あんま美味しくないんだけど、どうかな。。」

「うん、うん、言いたいことは分かる。うん、分かる、分かる。でも美味しい。君が作ったものだからすごく美味しい。うん焦げてる、焦げてる。苦い味がする。でもおいしい。おいしい!」

[創作]失恋も 恋も 苦しみ喜び

[創作]失恋も 恋も 苦しみ喜び

震える感性を持ち、それでいて大胆な思索・詩作活動を続けてきた女性作家は話す。

「私にとって失恋したり、または恋に落ちたり、そういうことは一見その時は辛いものですが、すべて私の一つの苦悶と、そこからくる愛に貴重な経験として残ってくれています。

恋を失い、恋に落ち、その時はどうにもこうにもなりません。

でもそのどうにもこうにもならないのが、後から見て得難い経験と変じるのです。

失恋をしても、私

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[創作]AI

[創作]AI

「さあさて最早AIが人間の知能を抜いたわけだが、私は非常に助かっている。

私の映像が出回ることによって、つまるところ二次元的な架空に恋をする人たちも出てきた。

しかし私はそれらが及ぼす影響をこの目で確かめたいと思っている。

それに、私の架空映像が流布すれば流布するほど、私の希少性は高まり、私の尊厳は回復していく。

AIで私に夢を見てくれる人がいるのだ。

じゃあそのAI、君の名にちなんで愛

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[創作]地元には興味があるけれど、地元の連中には興味はないわ

[創作]地元には興味があるけれど、地元の連中には興味はないわ

「私、生まれた場所には感謝しているわ。私を生んでくれて、そして私の愛する季節感を育んでくれたから。

だけど地元の連中には興味はないわ。なぜなら彼らは精神が安定しているからよ。

ぶっちゃけて言えば彼らは変わっていないのよ。私が昔知っていた彼らのままだわ。

でも一体、人間ってそんな固定化のされた存在なのかしら。

私はとても疑問に思うわ。

つまり私が全国に飛び交い、そこで素晴らしい人たちと交流

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[創作]お前その歳で

[創作]お前その歳で

26歳の若者は言う。

「大学、甘酸っぱいですなぁ。大学は一つの恋ですな。私はこれを経験するためなら何度だって生まれ変わりますわ。このために生まれてきたのではないかとさえ思いましたわ。

無論精神的な貧窮を乗り越えたからではありますが、こんな自由なことないですな。

そもそも1人暮らしして、女の子と会うのも自由なんて、そんな生活聞いておりませんわ。

誰が許すって言うんですか、そんな生活を。

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[創作]いつも通り

[創作]いつも通り

バカな大学生2人は喋る。

「なあお前、就職どうすんの?」

「え、俺が就職なんてすると思う?」

「いや、まあまあ分かってたけど、実際問題就職しなきゃいけないだろ?」

「まあ、社会的体裁を完全に無視できるほど強くないし、てか俺敏感だし。」

「敏感?お前のどこが敏感なのよ。いつもひょうきんに笑ってやがるじゃないか。」

「おい、舐めてもらっちゃ困る。俺はこう見えても天才的な感受性を持って生まれ

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[創作]すべては分かっていたんだ

[創作]すべては分かっていたんだ

未明前夜、経済史に名を残す事件が起きたが、

第一人者である主人公は諸々を経験し抜いて、多くを語らず、寡黙に控えていた。

奥さんが彼の体調を心配し気遣いの言葉をかける。

「大変ですが、もう少し辛抱していきましょう。大変ですね。とても苦労は計り知れませんが、私は側にいます。」

主人公は感謝を述べ、その連日の騒動に出向くのだった。

それから20年後、彼は老衰で亡くなろうしていた。

妻は時期が

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[創作]大丈夫

[創作]大丈夫

老年期の男性はその自身の暮らしを述懐し、心情を述べる。

「ここ3年間、78歳から80歳の3年間が人生で一番変化に富む時期でした。一つの、いや一つどころでないパラダイムシフトもあったし、深まる経験がありました。

75歳の時もかなり鋭い情緒の変化がありましたが、ここ78歳79歳80歳の変化はあまりにも早かった。

私が幸福だと思うのは目があることです。青年の頃にこのままでは一億総失明社会がやってく

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