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休日怪談6 「つめはがし」
首都圏などでは話題にならなかったためあまり有名ではないが、夕方過ぎの住宅街には爪剥がしというものが出るらしい。人によって目撃情報には差があるが、灰色(ベージュとも)のコートを羽織っており、ニット帽を目深に被りマスクもつけている。夏でもコートを…というわけではなく、目撃されるのは冬周りでコートが不自然でない時期のみだそうだ。衣服にはバラつきがあるが、初め黒い手袋をはめているのは共通している。
夕方過
休日怪談5「卒業生」
これは高校時代、友人が経験した話です。
彼女は当時文章創作系の部活…正確には同好会に入っていました。大雑把に言えば文藝部ですね。そこで短い小説を書いたり、人によっては自作の詩にイラストをつけたりといった活動をしていたようです。
部室は本校舎から少し離れた一つの棟にありました。創作サークルと手芸部、アンサンブル部といった文化系の部室と、運動部の倉庫がまとまっている棟になっていました。
いつも授業が終
休日怪談4「タカサキショウゴ」
自己暗示というのは結構効果のあるものらしく、プロのアスリートの方でも声を出して自身を鼓舞する、なんてことはあるそうです。家庭でもよく褒められた子どもは自己肯定感が高くなるということは知られていますし、言葉を繰り返し言い聞かせる、というのには大きな力があるのでしょう。
少し前から、鏡に向かって「お前は誰だ?」と唱え続けると、数か月たつ頃には本当に自分が誰だかわからなくなってしまい、これまで築いてきた
休日怪談3「鬼門の人形」
鬼門という言葉を耳にしたことはおありでしょうか。
霊の出入り口とされる方角であり、一般的には北東を指します。日本ではかなり古くから重要視されてきた考え方のようですね。この鬼門なんですが、決まった方角だけではなく、個人個人に「行かないほうがよい方角」があるとする考えもあるらしいです。今回は、ある友人が知らずに赴いた「鬼門」での話です。
友人(Sとします)が大学3年生の夏のことです。Sは理学部化学系
休日怪談「ビル内の声」
怪談を一つ話させていただければ。
動物霊や怨恨霊はまた違うと思うんですが、幽霊側が見つかったときどんな気持ちになるかご存じですか?
答えは「うれしい」です。
死者の姿は基本的に見えませんから、誰かに認識してもらえると嬉しくて仕方ないんでしょう。想像してください。あなたは誰とも話せず、物にも触れられず、じーっと毎日過ごしていた。そんな時あなたを見てわっ!と声をあげた人がいる。そりゃあ嬉しいと思いま