友人宅にて

たしか小学校の5か6年生の頃に、友人宅に遊びに行った時の話です。放課後にお菓子を持って集まり、当時流行っていたぷよぷよで遊ぶというのが日課だったのですが、その日は短縮授業のため普段より少し早く集まることができたのを覚えています。
しばらくゲームをしているとトイレに行きたくなったので、友人に場所を聞いて家の奥にお邪魔しました。その友人の家は今思えばかなり広く、2階建ての8部屋くらいの規模がありました。いつも2階の彼の部屋で遊んでたんですね。
トイレは一階なので、電気のついていない廊下を恐る恐る歩きます。彼の両親は共働きで日中は家におらず、小学生の門限、つまり僕らが各々の家に帰るまでは職場におられたようです。そのため仲良くしてもらっている割に、彼の両親の顔を知る者は、僕たちのグループにはいませんでした(授業参観はきてたらしい)

廊下の電気はつけていいよと言われたんですが、人の家の照明をぱちぱち触るのは何となく引け目があったので、壁に沿って進みます。と、そのとき
ぱちっ、っと音を立てて廊下の電気がつきました。
友達が来たのか？？と思って前後を見ると、僕の後ろの部屋、その扉に半分隠れるようなかたちでおばあちゃんがスイッチを入れてくれたのが分かりました。急なことだったのでびっくりしたのと、階下に人がいるとは聞いていなかったのでテンパってしまい、小さな声でお礼をいってからそのままトイレに向かいました。

2階に戻り、「でんきつけた？」と聞く友人に、おばあちゃんにつけてもらったわ〜〜今日は早めに来たからいてはったんかな？と答えると、友人は怪訝そうな顔で
「うち、家族4人で住んでるって言わんかったっけ？おらんで、他の人は」
と答えました。
僕はかなりショックでしたが、当の友人は淡々とゲームに向き直り、あまりに普段通り遊び始めたので、それ以上何も言えなくなってしまい、僕もいつものようにゲームをしてから17時に帰路につきました。

彼の態度から何となく蒸し返すのを躊躇ってしまいましたが、結局僕が見たのはなんだったのか、友人はなぜ気にもとめなかったのかはいまだ分かりません。

帰り際、廊下に電気がついていたかどうかだけでも確認しておけばよかったと思っています。