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大河ドラマ「光る君へ」第10話~道長の和歌を考察する

こんばんは、もちまるです。

今日は、大河ドラマ「光る君へ」第10話の感想です。

今回は、主に道長がまひろに宛てた和歌について考察していきます。
大学で勉強した知識、WEBサイト、書籍を参考に自分なりに考察していくので良ければ覗いていってくださいね。


大学時代に和歌の勉強もしていたこともあって和歌が出てくるととても嬉しくなります。

今回も道長がまひろに宛てた歌はどれもドキドキしてしまう恋の歌。

今回は、『古今和歌集』という和歌集から和歌が引用される形でした。

『古今和歌集』は、平安時代の歌集です。様々な作品に影響を与えていることも多く、平安時代の古典文学を勉強しているとしばしば、お会いすることの多い和歌集になっています。

では、まず道長が引用した1首目の和歌。

思ふには 忍ぶることぞ まけにける 色にはいでじと 思ひしものを

 503番 読み人しらず 笠間文庫『古今和歌集』より

あの人を思う気持ちに、堪え忍ぼうと思う気持ちが負けてしまった。表には出すまいと思っていたものを。

笠間文庫『古今和歌集』より

この和歌は、『古今和歌集』の恋歌一という場所に収載されています。
恋歌一というのは、いわば和歌集の和歌の分類の一つです。

『古今和歌集』では、恋歌一から恋歌五までの分類があり、
数字が進むごとに恋が進展していきやがて終焉へと向かう様相を表しています。

今回の和歌は、恋歌一の和歌なので、恋し始めた気持ちを表した和歌ともいえます。

まひろへの恋心が募っていく様子が何ともキュンとしますね。

続いての和歌。


死ぬる命 生きもやすると こころみに 玉の緒ばかり あはむといはなむ

568番 藤原興風 笠間文庫『古今和歌集』より

あなたを恋い慕うことの苦しさに死にそうになる我が命が、ひょっとしたら生き延びることが出来るかも知れないと考えて、試しにでも「少しだけでも逢おう」とおっしゃっていただきたいものです。

笠間文庫『古今和歌集』より

この和歌…なんて情熱的なのでしょう。

恋い慕う苦しさ故に死にそうになる我が命…とても強く相手を恋い慕う気持ちが表れています。
それとともに、道長からのまひろに会いたいという切実な気持ち。

現代では、LINEでデートのお誘いをするのに、ここまで情熱的なやり取りはしませんよね。
そう思うと、とても激しい恋心の表現に思えるこの和歌です。

この和歌は、『古今和歌集』の分類が「恋歌二」になります。
より恋心が募っていく様子が見て取れるのではないでしょうか。

そして続いての和歌。

命やは なにそは露の あだものを 逢ふにしかへば をしからなくに

615番 紀友則 笠間文庫『古今和歌集』より

命は大切であろうか、いやそうではない。その大切なものは何だろうか。どうせ命は露と同じく消えやすいものだよなあ。だから逢うことと取り換えることが出来るなら惜しくはないよ。

笠間文庫『古今和歌集』より

あなたに会えるのなら、自分の命と交換することになっても惜しくはない!

なんてことでしょう!

とても激しい恋心。
これほどまでにまひろを恋い慕う道長。
和歌を見るたびにドキドキしてしまいます。

この和歌は、恋歌二の和歌の中で一番最後に収載されています。

この次の和歌からは、「恋歌三」へと移ります。

「恋歌三」の和歌は、一番恋が高まる時の和歌。

恋歌二の最後の和歌を引用している、というのが、まさにこれからの恋の盛りを表しているようで、とてもロマンチックな演出だなと思いました。

その後の二人の展開をまるで、暗示しているかのようなこの和歌。

解釈すれば解釈するほど、この和歌がドラマにより奥深さを出しているようで、平安時代の和歌の世界観にうっとりとしてしまいます。

以上、3つの和歌を考察してきました。
どれも情熱的な和歌ばかりで考察していても胸がドキドキしました。
(ドラマを見ている時もドキドキ…)

中々一筋縄では結ばれない恋というものは、より一層深みを生むものだなぁと思います。

そして、ドラマの中で、数多くある古今和歌集の和歌の中で、
これらの3首の和歌がなぜ引用されるのに至ったのか、それを考えるのがとても楽しかったです。

それぞれの和歌のやり取りは、ほんの少しの場面にしかなりませんが、
短いあの和歌の中には、雄大な世界が見え隠れしているように思えて、
やはり胸がときめくものです✨

考察にあたっては、以下のWEBサイトを参考にしました。


こちらの記事を拝読するだけで、十分に和歌のことは理解出来るのですが、
私は「自分で体感し、解釈する」ということを大切にしています。

自分なりに和歌を再解釈することで、ただサイトを読むだけでは分からなかった事も理解出来るということもあり、やはり自分で調べるという事は大事だなと思っています。

それが私の大学時代の勉強方法であり、今の生き方にも何がしか影響を与えているような気がします。

また、参考文献として以下の書籍を参考にしました。
片桐洋一著『古今和歌集』(笠間書院、2005年)

片桐先生は、大学の時もよくお名前を拝見し、お世話になった先生。
またこうして先生のご本を読む機会が出来て嬉しいです。

(この記事を書くために図書館に行く時間がなくて、図書館の電子書籍サービスでこの本を借りて電子上にて読む事が出来ました。現代の図書館すごい…!)

和歌については、以前もnoteにて考察したことがあります。
良ければ見てみてくださいね。

これ以外にも書きたい事はたくさんありますが、ずいぶん長くなってしまったので今日はここまでにします。

大好きな平安時代の和歌をたくさん勉強出来てとても楽しかったです😊

最後までお読みいただきありがとうございました。



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