ギガ理論 令和のメンタル処世術

みなさんは、「余裕」と聞くとどんなことを連想するでしょうか。

日々暮らしていけるだけの経済的な余裕。
はたまた人に優しくできるだけの心の余裕でしょうか。

どちらでも構わないのですが、
今日は後者の「心の余裕」について。

この余裕は、あればあるほど良いとされますね。

自分の心に余裕が、言い換えるならばゆとりがあれば、
他者に優しくすることができる。

余裕がある大人はカッコいい、とすら言われたりします。

先ほど経済的な余裕という言葉を挙げましたが、
お金に余裕があるからこそ心にも余裕が生まれる、と主張する方もおられるでしょう。

兎にも角にも、「余裕」はある方が是、とされるのが世の常でしょう。

さて、この余裕についてですが、今回はこの余裕をどのように獲得すればよいか、
1つの決まりきった正解など無いのですが、
何も特別なことをする必要は無いんだよ、というお話をしたいと思います。

ギガ理論。と銘打ちましたが、まずはその大まかな説明をしましょう。

現代人の皆さんのほとんどが、スマホをお持ちと思います。

そのスマホには、月々の「データ使用量」というものがあると思います。

1月5ギガ、10ギガ、20ギガ、無制限など、
契約形態は様々と思います。

この、自分が契約している月々のデータ使用量の上限を、
あなたの心の余裕、つまりは心の容量と見立てることから話は始まります。

きっと、契約のスタイルは人それぞれでしょう。
月々に膨大な通信量を要する人とそうでない人といるはすです。

しかし、共通点はあります。
上限があるということです。

そして、この上限、いわゆる限界の明確なラインが引かれているということが、この理論の肝にもなってきます。

具体例を挙げて考えてみましょう。

月々5ギガの通信量で契約している人と、
月々20ギガで契約している人。

契約している通信量自体には大きな差があります。

しかし、その人の使用する通信量次第で、余裕は変わってきますよね。

例えば今日、8/31の時点で、
上限は5ギガだけれども、現時点で2ギガしか使っていない人。

いっぽうで上限は20ギガだけれども、現時点で19ギガを使い切ってしまっている人。

月々に使える通信量には大差があれど、
いま現時点での余裕という視点で見てみると、
逆転現象が起こっているということがおわかりでしょうか。

上の例で言うと、20ギガの人の余裕は少なく、5ギガの人は余裕があると言えます。

これを人の心にも当てはめて考えてみましょう。

いくら生まれつきおおらかな性格であまりストレスを感じないような人でも、
無計画に「心のギガ」を浪費し続けていると、
ある日急に余裕が無くなったりするのです。

身内の不幸や急な病気、仕事でのミスなど…

いっぽうで、生まれつき心配性な性格で、気も小さく、細かいことを気にしてしまう小心者を自覚するそこのあなたでも、

考え、工夫すれば、あなたの生まれ持つその心の容量で、月々を余裕を持って乗り切ることは可能なわけです。

では、どうすれば心の容量が少ない人でも、
余裕を持って日々を暮らしていくことができるか。

難しいことは一切する必要はありません。

話を一度スマホに戻してみましょう。

あなたが月々5ギガで契約しているとしましょう。
あなたなら、どんな工夫をして1ヶ月を乗り切ろうとするでしょうか。

「動画再生は自宅などのWi-Fi環境下のみにする」
「不要なアプリ通知はオフにしておく」
「音楽を屋外で聴く際はあらかじめダウンロードしたものを再生する」

これらが代表的なものでしょうか。

これを人の心に当てはめてみましょう。

スマホのギガは、人で言うとモチベーション、気力、といった言葉に言い換えることも可能かと思いますが、

人のモチベーションや気力というものは、
常時固定されているものではなく、
日によって違ったりするでしょう。

2リットルの牛乳を買ったら毎回2リットル入ってるわけでは無い、といった感じでしょうか。

何が言いたいかというと、
傍から見て常時「メンタル強め」「モチベーション爆上げ」「気力に満ち溢れてる」
ように思える人でも、

そこには当人にしかわからない浮き沈みが必ずあるはずです。

そしてもちろん、いわゆる「メンヘラ」と言われるような人でも、
常時不安定なわけではないでしょう。

このように、人のメンタルやモチベーションなんてものは、
日々変化していくものであり、

放っておいても摩耗して減っていくものなのです。

全く運転していなくても車の維持費はかかりますよね。
心はそれと同時に、運転していなくてもガソリンまでも減っていくようなものです。

心にスマホに車?例えが乱雑しているように感じた方のためにここで一旦整理しましょう。

ここまでの内容を踏まえると、
心の容量=スマホのギガ=車のガソリンタンク

こういったイメージです。

このイメージでいくと、先ほど挙げたような、
契約しているギガの量が多くても、外でガンガン動画を見ていたらすぐに余裕が無くなるように、

ガソリンタンクが大きい車でも燃費が悪い車であればすぐにガソリンは無くなってしまいますね。

こうなると、「ギガ」と「ガソリン」は人の心で言うと「やる気」「モチベーション」「メンタル」などに置き換えられるとしても、

ではそれを減らしている、摩耗させている要因とはいったい何なのか?
となってきます。

それはズバリ、「選択」です。
そう、チョイスです。

人の気力はこの「選ぶこと」の連続ですり減っていきます。

カーディーラーは、車の購入が決まったあとにオプションのカーナビなどの追加購入の話を持ちかけるそうです。

ウエディングプランナーは、結婚式の大まかな段取りが決まってから、追加のプランの提案をするそうです。

ここに大きなヒントがあります。

人は何か大きな決断をした後には判断力が鈍ると言われています。

つまり、カーディーラーやウエディングプランナーは、その仕組みを上手く使った仕事をしているのです。

大きな決断を下してギガを大きく消費、長距離運転をしてガソリンが大きく減った、その瞬間を狙うわけです。

つまり、人の心はそうやって選択の大小やその頻度、質と量によって摩耗していくものなのです。

とすると、どうすれば心のギガが節約できるのか、すなわち心の余裕が確保できるのか、
答えが見えてきた人も多いのではないでしょうか。

「選択」を減らせばいいのです。

まずは自分が日常的に当たり前に行っている全ての選択を洗い出し、見直してみることからやってみると良いでしょう。

服を選ぶ。朝食を何にするか決める。
昼食、夕食を決める。

部屋着を決める。

そんな些細なことでもギガは減っていきます。
単位はメガバイトだとしてもチリツモです。

髪型を決める。
外食時にメニューを決める。

上げればきりがないので辞めておきますが、
人それぞれ思い当たることはあるはずです。

もちろん先ほどの車を買う、結婚式のプランを決めるのもそうです。

それがポジティブな選択だろうがネガティブなものだろうが、
心のギガが減っていくことには変わりはありません。

これらを洗い出したら次は、選択というプロセスを介さずに「オート」で行動できるものを探します。

例えば僕なら、毎日何を着ていくか選ぶのが面倒なので、
黒のシャツしか着ないと決めています。

髪型を選ぶのが嫌な人なら毎回決まった髪型にするとか、

買い物だってそうです。
食事だって決まったものを食べるなどできると思います。

工夫は無限大です。

しかしここで注意しておいて欲しいのが、
自分の好きなこと、「快」なものまでオート化してしまってはいけない、ということです。

毎日何を着ていくかを選択するのが楽しい、という方はそれを制限してしまうとかえって逆効果です。

毎日何を作るか楽しみな人が、作る料理をオート化してはいけません。

絶対に「億劫だな、面倒だな」と思うことのみをオート化してください。

さて、毎日の「選択」を洗い出し、
面倒なものを「オート化」することで、

だいぶあなたのスマホも軽くなってきたことでしょう。

最後のステップとして、1番大きな容量を占めるのがそう、
「人間関係」だと思います。

これは皆さんにとって大きな敵だと思います。

1番のストレス要因と言っていいでしょう。

これも先ほどの2ステップ目と考え方は同じです。

イメージが湧きにくいかもしれないので例を挙げてみます。

「この人と会う時はすっぴんでいいや」
「この人と話す時は家族並の気の緩み具合でいいや」

このような心構えを、あらかじめ決めておく。
いわば選択を先取りしておくことで、
人間関係の中で、選択する必要の無い人を作っておくのです。

この人は何をしてくるか、何を言ってくるか予測不能だから、
相当な心構えのもと、
大量のギガ消費を覚悟で会わなければならない、
という人は、
そこまで多くないのではないでしょうか。

その、「ギガ大量消費想定」の人物と、
「ある程度予測可能」な人物とを区別しておくことで、

人間関係におけるギガ消費量は、
格段に減るはずです。

心のギガを節約するための3ステップをまとめると、

①日常における全ての「選択」を洗い出す
②「オート化」可能な選択を絞って実行する
③人間関係をプログラミングする

こうなるでしょうか。

これらのステップを踏むことによって、
心のギガ、すなわち「心の余裕」が、きっと生まれてくるはずです。

とにかく出世してお金を稼ぎまくる、
瞑想やヨガをして心を整える、などを
気合を入れてする必要は無いのです。

もちろんそれらを否定しているわけではありません。
しかし、あくまで追加の、オマケ的要素のものだと思います。

基本の心構えを変えるような何かではないでしょう。

ギガで例えるならば、追加でギガを購入するようなものでしょう。

無理にお金を使ってギガを追加するよりも、
契約したギガの中で工夫して1月をやりくりするほうが、
賢いし健全で効率的でしょう。

どうか、僕の提唱するこの「ギガ理論」、そしてそれに基づく処世術。
お試ししてみてはいかがでしょうか。

小野トロ



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