静かな雨★1【10冊読むまで帰れま10・7月③】文体に馴染めず撃沈
「静かな雨」宮下奈都【評価★1】
※評価は独断と偏見、5段階
気分転換にと、女性作家の宮下奈都さんの一冊を手に取った。薄いし、サクッと読めるだろうと期待したのだが、サッパリ進まなかった。本企画初の★1です、ごめんなさい。
人間ですから、文体の好みって絶対あるよね??
僕は沢木耕太郎氏のノンフィクションで頭をぶん殴られて以来、シックで落ち着いた文章が好きだ。
宮下奈都氏の文体は、ふわふわしてつかみどころがないのが、読書には受けたのではないか、と想像する。
悔しいけど、この手の文体ははっきり言って苦手だ。女性作家特有のというと断言し過ぎで僻遠としてしまうが、この違和感、「これじゃない感」は吉本ばなな氏の著作を初めて読んだときと重なる。それでも、最後はしっかりと順応できたけど、今回は…。
文体がひっかかって、プロットがまるで頭に入ってこない。
宮下奈都のデビュー作である本作は「静かな雨」と「日をつなぐ」の二本立て。
文学賞受賞作品の「静かな雨」は設定に違和感があって、そこが気になってダメだった。
たい焼き屋の女性経営者が交通事故にあって、新しい記憶を留めておくことができない状態になったまでは分かる。でも、そっから男性と一緒に住むって、リスクしかないんじゃないの?とまずツッコミ。
あと、この手の短期記憶がストックされない症状で言えば、映画「メメント」が同じ設定で、主人公は自分の体に記憶すべきことを書いていく、というストーリーに衝撃を受けていただけに、僕からすると首を捻ってしまう展開。
作中では、一緒に住む男性がブロッコリー嫌いという設定なのに、何度も女性がブロッコリーを茹でてしまう、というくだりで、同じようなプロットがあった。そもそも、退院時点でこの手の症状は散見されたわけで。男性と一緒に住んだ時点で、このような展開は予想できたのではないか。もし女性がそこをケアできなくても、男性が冷蔵庫にブロッコリー✖︎みたいな張り紙してやれば、いいだけの話じゃないのと思ってしまった。
穿った見方で読んでしまった自分に反省しつつも、小説はリアリティが重要だと再認識。もっと自分の間口も広げないと、と襟を正した次第であります!
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