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読書記録 古宮昇『ほどよい距離が見つかる本』

心の境界線

前回のカウンセリングでカウンセラーさんに、過去のことを思い返して違った見方を見つけるのが生きづらさを解消する、というようなことを教えてもらいました。
でも、過去を思い返すと理不尽さへの憤りやら悲しみやらで興奮してしまって苦しく、何かもう少し一人で取り組んで負担のないものはないかなぁと探しているときにこの本を読みました。

具体的にセルフカウンセリングの方法が書いてあって、気持ちが安定したように思うので紹介します。


人との距離感

この本のテーマは、タイトルの通り、人とのほどよい距離を作ること。
例えばわたしは適切な距離がわからない典型だと思います。

・相手のいうことをつい聞いてしまう、断れない
・何も悪くないのに罪悪感を抱えてしまう、「ごめんね」が口癖
・依存、依頼心が強い人に振り回されがち/もしくは自分が強く依存するタイプ

…などなど。ほかにも特徴はたくさんありますが、人間関係で「生きづらいなぁ」と思っている方は人との距離感がうまく取れていないのかも知れません。

心の境界線

人との距離感がうまく取れない人は、えてして心の境界線が上手に引けていないことが多いそうです。
心の境界線について、本書での明言はないのですが、
わたしは読んでいて、自分の気持ちを区切るルールみたいなものかな、と思いました。
気持ちの線って目に見えないから難しいですよね。
自分がどこに立っているかもうまく自覚できていない時があるので、
わたしはその辺りからかな、と思っています。

境界線がうまく引けないと……

心の境界線がうまく引けている人は、人間関係も情緒も安定し、自分のやりたいことに取り組めるようになるそうです。
逆に、境界線がうまく引けないと…

・人に不信感を抱きやすい
・依存的な人間関係を築きやすい
・相手に服従しやすく、自己犠牲的な行動を取りがち

これも本当に一部ですが、本に書いてあって、わたしが正に困っていることです。本の中には「会社の上層部の決定や、派閥争いに振り回されやすい」とも書いてあって、うわ~コレだよコレ!と興奮しました。
わたしはめちゃめちゃに振り回されて、体を壊したり、ほとほと疲れ果てて2回、こういったことが原因で転職しています。

それから特に学生時代は、普通に何気なく友だちになった、本当にただの友だちが、束縛が強く、わたしが他の人と仲良く話すだけで不機嫌になり説教したり、わたしへのダメ出しをする、ということが1~2年に一人の割合でありました。
酷いときは、映画をひとりで観に行った、というだけで、
夜中に部屋までやってきてドアをどんどん叩いて大声で「出て来い!!」と怒鳴り続けたかと思えば、翌朝は「昨日はごめんね…」と涙を流す、という過激なドラマにただ翻弄されていたこともあります。(相手に恋人がいても同じようなことが起こります。)

そういうことに対して、わたしが自分を守る唯一の方法が「人間関係を断ち切ること」だったので、本当にわたしは友だちが少ないし、社会的な人間関係は本当に怖いです。

ただ、こういったことも境界線を上手に引けるようになると、自然と解決していくそうです。


本を読んでやってみたこと

この本には具体的なセルフカウンセリングの方法がいくつか載っていたので気になったものから少しずつ実践してみました。
ノートに書きながら進めたのですが、毎日少しずつやって読み終わるのに1週間ぐらいかかりました。

①境界線のルール作り

わたしの目標は、母や妹に対する恐怖をなくすこと。
なので初めに境界線を引くことにしました。
境界線には種類があります。

①人との境界線
②自分との境界線

この二つに分けて境界線づくりをしよう!とあったのですが、
わたしは②の自分との境界線の数が多くなってしまいました。
自分との境界線も、ルールみたいなものです。

・自分を正当化しようとがんばるのはやめる(正しくなくてもよい)
・家族の気持ちに責任は取らない
・過去の自分の至らない点も愛してあげる

…などです。
逆に①の人との境界線は「人の痛みを理解はしても同じようには感じない」など、とにかく共感しすぎないようにするルールをいくつか作りました。

過去の自分を愛してあげるキャンペーン

また、境界線がうまく引けない人は、自己無力感が強く、そのために自己犠牲的になったり、過剰な要求に応えようとしてしまうそうです。
なので、少しずつ思い返しては暗い気持ちになっていた過去の自分をめちゃくちゃに褒めてあげる、ということもやってみました。
過去の忘れられない出来事をノートに書きだして、それにコメントをつける、という方法にしました。

自己無力感が強い人は、「無価値な自分は愛されないと思い込んでいる」ともあったので、過去の自分に対して「愛おしいよ」「がんばってくれてありがとうね」という気持ちを中心にコメントを書いていくと、自然と涙が出ました。ただ、涙は出ましたが、過去を思い返すだけよりつらくはなく、日に日に気持ちが安定していくように感じます。

ディマティーニ・メソッド

最後に紹介するのはディマティーニ・メソッドです。
極端な知覚を防ぎ、心の境界線が引きやすくなるそうです。
こちらは即効性があるため、今すぐにでも苦痛から逃れたい、ピンポイントの事象でよい、という方におすすめと書いてありました。

【ディマティーニ・メソッドのやり方】
①人に対する「ネガティブな感情」を最も強く抱く行動を明確にする
(わたしを愛していない、などは×。具体的な行動・言動に注目を。しなかったことも含めてOK)
②プラスの点を見つける(倍以上、自分が納得できるまで見つける)

これだけだとわかりにくいので、ちょろりとネットで調べたところ、結構高額なセミナーなどもありビビりました。
わたしはひとりでコツコツやっています。
ただ、最初は「怒りを覚えた相手を謝られてもいないのにただ許す」作業に感じて、それって相手に都合よくない?とモヤモヤしました。
だって例えばですが

①父がわたしをあざができるほど叩いた。そのおかげで…
②友だちに心配してもらえた
 兄弟で支えあうことができた……などなど

と書き出し、「よかったこと」にするわけです。なんでだよ!とモヤモヤしたのですが、あくまでこれは人との境界線を引き、快適な人間関係を築けるようにするため、であり、対象を許すための作業ではない。あくまでも自分のため、と認識を改めることで素直に取り組めるようになりました。
でもやっぱり受け入れられないこともあるので、時間を置きながら、繰り返し取り組んでみたいと思っています。


感想

この本は、最後のほうに読み進むにつれて、「愛と感謝」の話になっていくのですが、
わたしはこの辺は正直ついていけませんでした。
いろんなことがあったからこそ、家族に「感謝」をするのは難しく、まだ心に抵抗があります。
この心の抵抗は、生きてきた中で受けたわたしの心の傷そのものなのかもしれません。この傷に一人で触れるのは本当に苦しいので、セルフカウンセリングにも取り組みながら、臨床心理士さんのカウンセリングも継続して受けていこうと思っています。

ただ、カウンセリング・セルフカウンセリングをこの2か月続けていて、少しずつですが、気持ちが落ち着き、明るくなるのを実感しています。
最初は「カウンセリングに高いお金を払って…」という自分を責める気持ちもあったのですが、今は、きちんと解消して、心が自由になったらどんな自分が現れるのか、少しわくわくしています。
少しずつ自分自身を信頼して、認めていけたらいいなと思います。

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