美とは不要不急である。
皆さんこんにちは。
今日は美の進化について考察していきたいと思います。
というのも、先日ジャレドダイアモンド博士の本に面白いことが書いてあったのです。
人間の肌の色や目の色は環境に選択されてきた、つまり自然選択されてきたのではなく、趣味嗜好が反映された結果なのではないか?つまり性選択されてきたのではないか、というものです。
自然選択とは、以前僕の記事でも書いたことがあるのですが、環境に適応した個体が多くの遺伝子を残すことで進化していく、生命進化の基本的なメカニズムです。
一方、性選択とは、有性生物が異性を巡る競争によって進化していく、進化のメカニズムです。
代表的な例は、クジャクやライオンの雄です。クジャクやライオンは立派な羽やたてがみは俺は立派だぞ!という証明になり、メスを引き付けることができるのです。
*やっぱり凛々しいね、ライオン
ただし、クジャクのでかすぎてド派手な羽はどう考えても、生存には有利に働きそうにありません。つまり自然選択されそうにないのです。
恐らく、クジャクの羽は派手になり始めたころは実際に生存に有利だったのでしょう。ですが、その派手な遺伝子が選択され続けたどこかのタイミングで性選択圧が自然選択圧を超えたのではないでしょうか。
*どう考えてもはしゃぎすぎたクジャク氏
この性選択説は、ランナウェイ説やハンディキャップ説など諸説ありますがそれはまた別の記事で書きたいと思います。
ようは進化していく過程で、生存確率を高めたり環境に適していない、非効率的な特性が選ばれる可能性があるのです。
肌の色の多様化は最初は機能性だったが、そこからはどちらかと言えばそれぞれの地域の好みによって分かれていったのではないか?というのがダイアモンド博士の主張です。
このメカニズムによって美が生まれたのです。もちろん美的感性も含まれています。男の身長や女のくびれなどを美しいと感じるのは、性選択によって選択されてきた美的感覚です。そしてこれは主観に基づいたものなので多様性が高いです。もちろん主観は文化や環境の影響を受けますが。
色んなアベックがあるな。
実際、ホッテントットと呼ばれる民族ではお尻に脂肪を蓄えるのが美しい、つまり性的に魅力があるとされていて、そこにいる女性はお尻がめちゃくちゃ大きくて、僕たちが見ると驚きます。
美の進化は生存には不利な場合もある。
僕たちはそれでも愛するのです。
(卑猥かもしれないが、巨乳も巨根も生物学的にはコスパは悪いです)
これが真理だ!!
生物学的なことだけではありません。文化もそうです。
ファッションや音楽などは、元々は身を守ったりコミュニケーションをとるために生まれたものですが、今ではどう見ても裸よりもつらいだろと思うパリコレのランウェイや一生かけても演奏できないほど難しいカンパネラなどが僕たちの心をつかむのです。
世界的モードファッションブランドのリックオウエンスの2016s/s。僕にはこのオシャレさがまだわからない
何が書いているのかわからない、もはや楽譜なのかもわからない。
更に最近ではエスニックが日本でも欧米でも流行ったりしていることを考えると、生物学的制約のない文化はどんどん変化していくのです。
個人的にエスニックファッションはめちゃくちゃ好き。
性選択は自然選択よりも圧倒的に速い速度で進化しますので、インターネットによって美的感覚も更に多様化していくこの激動の時代でどんな美が形成されていくのか楽しみです。
美は意味のないことを突き詰めていくことで生まれるのだが、愛すべきものなのです。
環境問題や、グローバル社会にも美は必要でしょう。
5年後の僕のイケてるは一体なんなんだろう。
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