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世界に一つだけの花

小さい花や大きな花
一つとして同じものはないから
NO.1
にならなくてもいい
もともと特別なOnly one
SMAP   「世界に一つだけの花」〜

このタイトルは皆さんご存知の通り、SMAPの代表曲の一つだ。
この歌詞は今でもグッとくるものがある。
ただ、待って欲しい。
世界に同じ花があるわけがない。
同じく、人間も同じ人間がいるわけがない。
こんな当たり前のこと誰でも分かっている。
べつにこの歌を批判するつもりは全くない。
ただ、この歌が日本中で大ヒットして、国民的な歌にまでなった理由はなんだろう。
国民的アイドルのSMAPが歌ったから?
もちろんそれもあるだろう。
だが、それだけではないと思う。
この曲は2002に発売された。
ちょうど冷戦が終わり、グローバリゼーションが進んできた時だ。
グローバリゼーションによって、資本主義社会が発展し、資本は自己増殖の速度を高めた。
グローバリゼーションによって巨大化した資本は社会をどんどん効率化させて、個人ごと社会に取り込んでいった。
つまり、公と私の区別が曖昧になり、資本が効率的に増殖できるかどうかで、判断されるようになってきたということだ。
機能化社会と言ったりもする。
社会的に価値のある、つまり相対的に、勉強ができたり、地頭が良かったり、コミュニケーション能力が高かったりする人が公私ともに評価される。
そして、競争は激化していくため、求められる能力はより高くなり、公私ともに必要とされない人間が出てくる。
SMAPの世界に一つだけの花がこの時代に流行ったのは偶然ではないだろう。
グローバリゼーション、資本主義の個性を抑圧する側面に対しての不満を栄養に、あの歌が咲いたのだ。
実際それは今も変わらない。
多様性と言いながら、社会、特に都市部は同化が進んでいる。
そりゃ、もともと特別なオンリーワンとも言いたくなる。
20年前大流行したあの歌が、もう古いよねと言える社会を真剣に考えたい。

人間は一人一人なんと違うことだろう、そして育つ環境や境遇もなんとさまざまなことだろう!政府は自らが保護する学生たちのそうした違いを公平かつ徹底的に、一種の精神的なユニフォームやお仕着せによって平均化してしまうのである。
~ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』~

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