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帰りたくないなぁ・・・って思う瞬間に、私はカメラを向ける

家がキライとか、日常から逃げたいとかいう話じゃないんです。
ましてや、あなたを引きとめてハニートラップに・・・なんて、これっぽっちも思ってやしませんから、安心して。

これ、旅に出た帰りに、私がいつも思うことなんです。
出張のときは不思議と感じないから、プライベートの旅限定の話だけれど。

最後の朝、荷物をスーツケースに詰めているときに、それは始まります。
あぁ、終わっちゃうんだな。
もう、帰っちゃうんだな。

チェックアウトを済ませて歩きだした途端、淋しくなっちゃって。
帰りたくないなぁ・・・って思うんです。
このまま、旅が続いていたらいいのに。
このまま、どこかへ行けたらいいのに。

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あまりにも旅が楽しくて、その非日常のなかに、ずっと身をひたしていたくなる。
そんなとき、夕陽が空をオレンジに染めていたり、宵の明星が光りだしたり、飛行機が飛んでいったり、インターチェンジのオレンジのライトが灯ったりすると、胸がぎゅっとします。

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こんなの、そのときだけの感傷だって、わかってる。
明日になれば、普通に仕事に行くんだし。

でも私は、その一瞬の心の動きさえ、覚えていたい。
通りすぎてしまえば、一瞬の感傷はその旅の楽しさと一緒に、石の中できらきらひかる雲母になるのだから。

旅の終わりの、そのすべてを心に刻みたくて、私はシャッターを切るのです。

その瞬間、すべてが永遠になる。

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