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『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 SHINE ON』感想戦!

もし「声」が自分から奪われたら
一体どんな気持ちになるだろうか。
なんというか、想像を絶するものがある。

人よりも声が綺麗だという自負が私の中にはあって、何ならその声を自分の一番の取り柄として今を生きているぐらいだ。そんな感覚でいるだけに、仮にこの声帯がちぎれたり無理やりもぎ取られたりしたら、間違いなく神様を死んでも恨むと思う。


5年ぶりに東京ドームにライブを見に行った。「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 SHINE ON」。咽頭がんの治療と療養によりライブ活動が停止していたイエモンが「2度目の復活」を掲げ、聖地東京ドームに一夜限りで戻ってきた。

「大ヒット曲のオンパレード」と冒頭で宣言した通り、1曲目の「バラ色の日々」を皮切りに全年代の代表曲を総浚いする豪華なセットリスト。声、歓声、拍手が完璧な形で戻り、まさに「本来のイエモン」の形を取り戻すその熱量に溢れた一夜となった。

この療養期間中に本格的にファンになった私からすれば、全てが初体験。もうどの曲を演奏してくれてもひっくり返るほど泣いて喜ぶぐらいのテンションだった。「SPARK」「悲しきASIAN BOY」「ALRIGHT」「天道虫」。片っ端からボコボコにやられまくった。

私が今まで好いてきたアーティストの中では一番と言っていいほどアバンギャルドで性の香りを孕んだバンドなだけに、全てが異色な空気感。でもそれが堪らなく味わい深い。この時点でも既に「イエモンが帰ってきてくれてよかった」と十分過ぎるぐらい実感していた。


ライブの後半。
唐突にドキュメント映像が流れ出す。

この公演に向けたリハーサルの様子。そして、さらに遡って声帯の異常が発見された当時の様子が流れていく。喉に鋭く尖ったポリープの様子が分かる写真まで出し、吉井氏に訪れた突然の病魔が克明に開示されていく。さらに、手術後、喉に残る痛々しい手術痕も大きなスクリーンに映し出された。

思わずうっと目を背けたくなるほど、
リアルで、痛みを感じる瞬間だった。

途中本当に不安になるシーンはあった。声がしゃがれてきて出るかどうか、というよりも途中でストップがかからないか、というところまで頭に過ぎる。もちろんこれが吉井氏の完全形でないことも理解していたし、病魔の後のコンディションの調整がどれだけ難しいかだって、想像するに容易い。

しかし私の心配を他所に結局そこから大きく息を吹き返す。急遽のWアンコールにまで雪崩れ込み完全燃焼。駆け抜けるようにライブは幕を閉じた。

正直、凄い物を見たという自負がある。活動休止前最後の東京ドーム、ラスト1曲の演出をなぞるかのように「我がイエローモンキーは永久に不滅です」の言葉。死ぬほど痺れた。ファーストコンタクトでこんなライブを見られたなんて自分は運が良すぎるよと帰りの新幹線の中でしみじみ感じた。


命ある限り、見たいものを見て、行きたいところに行き、やりたいことをやり続ける。私にとって20〜24歳は「命」や「人生」についてひたすらに向き合い、悩み、苦しむようなそんな時期だった。そしてそれを総括して代弁するかのようなステージが、このビッグエッグだったと思う。

イエモンと比べたら自分の人生なんて、まだまだ何もかも足りない、走り足りない人生だ。もっと駆け抜けるように、燃えるように、生きていたい。それが今の素直な気持ちだ。



おしまい。



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