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50年以上同じ仕事を続けた人を追うメディア「ひとすじ」

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2024年秋には写真集を刊行予定です。 50年間何かを続けるって、すごい。27年生きていて、呼吸以外で毎日欠かさずしているものってない気がするので、そんなすごい人たちに仕事や生き…
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#インタビュー

「アイヌ文化のおかげでお客さんがくる。こんなありがたい商売はない。」

「アイヌ文化のおかげでお客さんがくる。こんなありがたい商売はない。」

2024年3月下旬。都内は少し春の陽気を感じ始めたタイミングで釧路へ。
想像より雪がない釧路駅からバスに揺られること約2時間。真っ白になった阿寒湖を横目に、アイヌの村を意味する「アイヌコタン」に到着した。

「アイヌコタンにお越しの皆様へご案内します〜」という女性のアナウンス声やアイヌの楽器であるムックリの音が乾いた空気に響き、雪がしんしんと降り続ける、そんな場所だ。

今回はお店を始めて51年、

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「苦しみは、目だけでは見えない」神父に憧れたパン屋生まれの少年

「苦しみは、目だけでは見えない」神父に憧れたパン屋生まれの少年

晴れた冬の日曜日。福岡県・博多駅は、年末の雰囲気を帯びて、いつにも増して賑わっていました。
そこからタクシーで10分あまりの、街角にそびえる品の良い建物。美野島司牧センターです。
神父のコース・マルセルさんは、この仕事を始めて52年。日本での活動も50年になります。

「日曜にはミサがあります。取材も兼ねてぜひご参加ください」とお声掛けいただき、ひとすじチームは5名でお伺いしました。
約1時間のミ

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塗装技術の染みついた身体と、あふれ出る人情深さ

塗装技術の染みついた身体と、あふれ出る人情深さ

京都府京都市にある「徳岡塗装」で青色の作業車を磨くのは、社長であり塗装工の徳岡 秋男さん。

インタビュー中も、車を磨いたり部品をはめたり。そのスムーズな動きは、まさに身体に染み込んでいるようで、ついつい見惚れてしまうくらい。

飲みの席の知り合いや、勤めていた会社の従業員、お孫さん、97歳のお姉さんなどなど、徳岡さんの口からは、本当にたくさんの人の名前が出てきます。照れたように笑い、そっけなく話

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ちりめんからお守りへ。神仏の魂と機織屋の伝統を宿したものづくり

ちりめんからお守りへ。神仏の魂と機織屋の伝統を宿したものづくり

これまでに、6万1千種類ものお守りの絵柄を織る「松尾織物」。

ちりめんで有名な京都府京丹後市に位置する機織屋(はたおり・や)では、今日も織機(しょっき)が大きな音を立て、忙しなく動いている。自身の体よりもひとまわり大きいその機械を操るのが、この道63年の松尾 信行さん。

百年以上続く、家業である織物業を続けてきた秘訣。ヒントは、自身を新しい物好きだと語る松尾さんの、先を見据え、軌道を調整し続け

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シェイクベイベー!アポロに恋して

シェイクベイベー!アポロに恋して

鎌倉街道の曙町に佇むパブレストラン『アポロ』。ギリシャ神話の太陽神アポロンからその名をもらったそう。マスターのチャンさんにとって、アポロは恋人。

開業から60年以上経つ今も、週6で働くこのお店のマスター、チャンさんは、仕事が楽しい一方、まだまだ勉強不足といいます。

「シェイクベイベー!」今日も元気に営業中。

1964年、26歳で開業ー 失礼ながら、今おいくつなんですか?
チャンさん:85歳。

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