ひとすじ

50年以上1つの仕事を続けた方々の写真集「ひとすじ」。2024年秋に刊行予定。都内で展…

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50年以上1つの仕事を続けた方々の写真集「ひとすじ」。2024年秋に刊行予定。都内で展示も。 仕事風景やポートレートをフィルムカメラで撮影。 noteでは50年ひとすじお仕事をされた方のこれまでの人生や仕事観に関するインタビューを読めます!

最近の記事

『ひとすじ』のいきさつ

こんにちは。ひとすじメンバーの後藤です。 今回はインタビュー記事はおやすみ、プロジェクトのヒストリー編です。 (前回のヒストリー編:「ひとすじ」を一人ではなく、チームでやる理由) なぜ『ひとすじ』というタイトルに辿り着いたのか、その裏側を書いてみたいと思います。 言葉や名前の説明をすることは、時に野暮だったりします。 名前って、その名前がついた瞬間から、何故だかはじめからそれ以外なかったみたいに思えてくるからです。 『ひとすじ』も、今となってはある意味そういう言葉のよう

    • 100歳の現役薬剤師「今日も街のみんなの元気のために」

      板橋区小豆沢(あずさわ)、周辺にいくつかの薬局が立ち並ぶエリアに、薬局としては珍しく暖簾を出し、不思議で温かな雰囲気が目を引く「ヒルマ薬局小豆沢店」。 2018年に世界最高齢の現役薬剤師としてギネス記録にも認定された(2024年現在は別の方が記録を更新)、比留間栄子さんは、今もこの薬局で働いています。 日々お客様の体調や様子に耳を傾け、心と体を癒す薬剤師であろうと努力を続ける栄子さん。 戦争・貧困、厳しい時代を息抜き、今も生かされている命と新しい毎日に感謝しながら前向きに日

      • 「苦しみは、目だけでは見えない」神父に憧れたパン屋生まれの少年

        晴れた冬の日曜日。福岡県・博多駅は、年末の雰囲気を帯びて、いつにも増して賑わっていました。 そこからタクシーで10分あまりの、街角にそびえる品の良い建物。美野島司牧センターです。 神父のコース・マルセルさんは、この仕事を始めて52年。日本での活動も50年になります。 「日曜にはミサがあります。取材も兼ねてぜひご参加ください」とお声掛けいただき、ひとすじチームは5名でお伺いしました。 約1時間のミサは、そのほとんどがスペイン語。ライターの後藤にとって、馴染みのない言語で行われ

        • 塗装技術の染みついた身体と、あふれ出る人情深さ

          京都府京都市にある「徳岡塗装」で青色の作業車を磨くのは、社長であり塗装工の徳岡 秋男さん。 インタビュー中も、車を磨いたり部品をはめたり。そのスムーズな動きは、まさに身体に染み込んでいるようで、ついつい見惚れてしまうくらい。 飲みの席の知り合いや、勤めていた会社の従業員、お孫さん、97歳のお姉さんなどなど、徳岡さんの口からは、本当にたくさんの人の名前が出てきます。照れたように笑い、そっけなく話す徳岡さんですが、人に対する義理堅い一面が垣間見えます。 周りの人と支え合いな

        『ひとすじ』のいきさつ

          ちりめんからお守りへ。神仏の魂と機織屋の伝統を宿したものづくり

          これまでに、6万1千種類ものお守りの絵柄を織る「松尾織物」。 ちりめんで有名な京都府京丹後市に位置する機織屋(はたおり・や)では、今日も織機(しょっき)が大きな音を立て、忙しなく動いている。自身の体よりもひとまわり大きいその機械を操るのが、この道63年の松尾 信行さん。 百年以上続く、家業である織物業を続けてきた秘訣。ヒントは、自身を新しい物好きだと語る松尾さんの、先を見据え、軌道を調整し続ける姿勢にありました。 ちりめんで知られる丹後ー 松尾さんは、いつお仕事に就かれ

          ちりめんからお守りへ。神仏の魂と機織屋の伝統を宿したものづくり

          「りんごは自分の子ども。」やさしい味の秘密とは?

          宮城県気仙沼市。 カツオやサメの水揚げが日本一、昔から漁業のまちとして知られています。 漁港から車で20分弱、太平洋に面した唐桑半島には、58年前は麦畑だった場所に、100本の木を植えたりんご農家があります。 宮城県の農林水産大臣賞を3回も受賞したりんごを作っているのは、戸羽貫の千葉貫三さん、89才。 「長年りんご農家をやっていると、りんごの気持ちがわかるようになる」と語る大ベテランに、なぜ宮城県でりんごを始めたのか、農家として仕事をしていて大変だったこと、りんごの気持

          「りんごは自分の子ども。」やさしい味の秘密とは?

          山奥に植物園を。「夢を見ながら終わる人生は幸せである」 信念をこめた地域づくり

          徳島県神山町にある四国山岳植物園「岳人の森」(がくじんのもり。) 四季色とりどりの草花を鑑賞できる山の植物園でありながら、オートキャンプ場やレストランも併設されています。 23歳で、何もない岩山で「岳人の森」を開発し始めたのが、山田勲さん。「こんなところに人が来るわけない」と地域の人や友人、家族にさえも期待されていなかったと言います。 植物を植えて順調にいっていても、ある時急に枯れてしまうことも。現在のビジネスにおける高速なPDCAサイクルではなく、数年経たないと結果がわ

          山奥に植物園を。「夢を見ながら終わる人生は幸せである」 信念をこめた地域づくり

          届け先のわからない手紙、預かります。小さな島の郵便局長。

          香川県三豊市、本土から船で15分のところに浮かぶ小さな島・粟島。 そこに、「漂流郵便局」という一風変わった郵便局があります。 ここには様々な事情で直接相手に届けることのできない手紙たちが寄せられ、いつか宛先不明の存在に届くその日まで、手紙たちを漂わせて預かっているそう。 そんな不思議な郵便局で局長を務めるのが、中田勝久(なかた・かつひさ)さん。 行き先を失い漂う手紙とそこに込められた思いを、広くしなやかな心で受け止め、送り先の人たちの心の拠り所となる、そんな大きな人です。

          届け先のわからない手紙、預かります。小さな島の郵便局長。

          「ひとすじ」を一人ではなく、チームでやる理由

          「一匹狼」 自分のこれまでのフリーランス人生、4年弱を振り返ると、とてもいいことだとは思えないけど、このフレーズに表されてしまう。 もちろん映像制作という仕事柄、クライアントさんはいて、時にはチームで動くし、決して自分だけで完結するわけではないけれど、企画・撮影・編集をできるビデオグラファーの職種も相まって、基本的に一人で動くことが多かった。 そもそも一人っ子で、兄弟もいない人生を歩んできたから、一人に居心地の良さを覚えるのは当然なのかもしれない。喧嘩もないし、マイペー

          「ひとすじ」を一人ではなく、チームでやる理由

          自転車という魔物にとり憑かれて。

          東京・上野に店舗を構えるスポーツ自転車専門店「横尾双輪館」。外観は新しく、2階にはカフェスペースも併設されているが、実は創業98年の老舗。店内には昔の名選手の自転車も飾られています。 以前の記事で取り上げた、ときわ台のおもちゃ屋フジヤの藤田さんが、横尾双輪館のオーナーである横尾さんを紹介してくださり、今回の取材に繋がった。 人生で一番嬉しかったことを聞くと、口を開けて大きく笑いながら話してくださった横尾さん。 1964年の東京五輪に競技委員として参加した横尾さんは、自転車

          自転車という魔物にとり憑かれて。

          サーフィン界のレジェンドが歩んだ、「波」瀾万丈の人生

          私、ライター野澤が茅ヶ崎に引っ越す直前、「出没! アド街ック天国」の茅ヶ崎特集で初めて目にした、サーフィン界のレジェンド。その名も、サーフショップ「GODDESS」社長、鈴木 正さん。 茅ヶ崎の地に住むからには、一度はお会いしたいと思っていた方に、取材をさせていただくことができました。 鈴木さんの人生は、一言で言うならば”波瀾万丈”。人生のあらゆる波に乗ったり、時には巻かれたりしながら、それでも前を向いてひたすらに突き進む。痺れるほど格好よく、ドラマチックな、鈴木さんの人生

          サーフィン界のレジェンドが歩んだ、「波」瀾万丈の人生

          町と人に寄り添う、おもちゃ屋の名物オヤジ

          初めて降り立ったのに、なぜか懐かしい気持ちになってしまう町、ときわ台。 その町の中でもひときわノスタルジーを感じさせる佇まいの「ホビーストア フジヤ」。 長い間ときわ台の町とそこに暮らす人々を見守るこの店で、今日も真剣な眼差しでおもちゃ・模型作りに向き合うのが、この店の店主・藤田宏さん。 おもちゃと町を愛し、全力で人生を楽しむ”ときわ台の名物オヤジ”の熱い思いを聞かせてもらいました。 長年愛され続ける”町のおもちゃ屋さん”ー 昔懐かしいおもちゃ屋さん、という感じでなんだ

          町と人に寄り添う、おもちゃ屋の名物オヤジ

          ハングリーを貫いた62年 女将をささえたもの

          奥州三名湯こと鳴子温泉に佇む旅館大沼。女将の大沼安希子(おおぬま・あきこ)さん(85)は、今日もハングリーに、ひたむきに働いています。 唐突ですが、みなさん今の仕事を楽しんでいますか? 楽しいと心から思えた人、悲観的に思った方、パッと答えが浮かばない人。 人生いろいろ、働き方もいろいろだと思います。 そのいろいろを経験した人生の大先輩から教わるものは多いものです。 淡い芽吹き時ーいい季節ですね。 安希子さん:今はね、本当に淡い彩の景色。緑も薄緑、若緑、桜色とかね。芽吹き

          ハングリーを貫いた62年 女将をささえたもの

          「今が一番楽しい」 倒れても働いた日々が作った今日

          駄菓子屋「菊地商店」にようこそ! 入場料は笑顔。みなさんの元気な姿が、店に立つ特効薬です。 菊地さんは、毎日欠かさず薬を飲んでいます。営業中に一度倒れてしまい、引退もよぎりましたが、それでも店頭に立ち続ける理由は「ここにいる時間が一番楽しいから」。実は私ライター増田の祖母も自営業をやっていたので、彼女の姿はどこか祖母に重なります。無理のない範囲でショーマストゴーオンしてほしいですね。 大森駅近くのお菓子の森。大人も気づけば子どもになっちゃう?買いすぎにはご注意を(笑) そ

          「今が一番楽しい」 倒れても働いた日々が作った今日

          船乗りを夢見た少年が見つけた天職

          大衆居酒屋が立ち並ぶ横浜・野毛の地で、戦後間もない頃から多くのお客さんに愛されてきた「もみぢ菓子司舗」。 店頭には、甘くてふわふわの名物・どら焼きや、色とりどりの練り切り、大粒のみたらし団子などが立ち並び、どれを買おうか迷ってしまう。 そんな「もみぢ」を共同経営という形で切り盛りする、店主の西村さん。 その朗らかな雰囲気とチャーミングな笑顔に、なんだかほっとして、何度でも会いにきたくなる。 西村さんと「もみぢ」の、これまでの歩みを聞かせてもらいました。 本当は船乗りにな

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          シェイクベイベー!アポロに恋して

          鎌倉街道の曙町に佇むパブレストラン『アポロ』。ギリシャ神話の太陽神アポロンからその名をもらったそう。マスターのチャンさんにとって、アポロは恋人。 開業から60年以上経つ今も、週6で働くこのお店のマスター、チャンさんは、仕事が楽しい一方、まだまだ勉強不足といいます。 「シェイクベイベー!」今日も元気に営業中。 1964年、26歳で開業ー 失礼ながら、今おいくつなんですか? チャンさん:85歳。このお店は26歳からやっているよ。若い時にこういう商売かじっていたから、自分の店

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