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スクラップ&ビルド(私たちは創造し、そして破壊する生き物)。

人間というのは、不思議なもので一時行動を変えたとしても、そこに絶えず意識を向け、力をかけ続けなければ、又すぐに元の状態に戻ってしまう。伸ばしたゴムが、手を離した瞬間に元に戻るのと状況は全く同じ。

何かを言われて、その時は直したとしても、それは又すぐに元に戻る。

こうした人間ってものを観察していると、自分に絶えず力をかけ続け、その行動を意識し続けるという事が、いかに難しい事であるのか?を思い知らされる。

何でもそうだが、少し慣れてくると人間ってのは、すぐに力を抜く。そうすると、エントロピーの増大と同じ原理で、せっかく綺麗な形で維持出来ていたものが、すぐに崩れていく。崩れると、なんだか居心地が良くないのか?それとも気分が上がらないのか?又人間は、何かを意識して形作ろうとする。でもって、その形が出来ると、安心したかの様にその形を再び壊す。まさにスクラップ&ビルド。

私たち人間ってのは、この命が尽きるまで、こうした事を常に繰り返していく。なんとなく一つの形に収まってきた。なんとなく形になってきた。後もう少しで完全なる形になる!という所まで来て、何故だか安心してしまうのか?面倒臭くなってしまうのかわからないが、それを自分で壊してしまう。

作ったり、壊したりの繰り返しで、人生とは進んでいく。でも、そうなると、私たちは、この人生において何も残せない事になる。

この人生において何かを残す事が出来る人間というのは、この常に創造し、常に破壊するというこの無限ループの中にはいない気がする。彼らはいつも何をするにも、意識する事を止めない。意識し続ける事を止めない。つまり、何をするにもいつも意識し、気を抜かない。だから、そこにしっかりとした形を作り、それを維持する事が出来る。1つの形を維持し続ける為に、彼らは、一切気を抜かない。気を抜かずに、その形になったものを常に意識して捉え続けるその力があるから、彼らは形あるものを残す事が出来るんじゃないだろうか?

人間ってのは、本当に不思議なもので、意識し続ける事が出来なければ、いとも簡単にそこに創造されたものは消えてなくなってしまう。意識し、常に、その事について考え続ける。これが出来なければ、人間というのは、何も残す事など出来ないのかも知れない。

人間というのは、色々なものを創り出す事には長けているかも知れない。でも、それを長く維持させる事は出来ていない。そんな気がする。長くのこり続けるものとは、そのものに対してずっと意識を持ち続けた人達によって残されてきたものなのかもしれない。

意識し、それを常に継続する力がなければ、私たちは、この世界に何も残す事など出来ないのかも知れない。私たちは、毎日たくさんのすぐに割れて消えてなくなってしまうシャボン玉の様なものを産み出しているに過ぎない。

生まれては消え、又生まれては消え。こうしたものをただ毎日意味もなく生み出しているのが私たち。それらは、毎日生まれてはただ消えていくだけ。何の形にもならない。創造とは、形になって初めて、それを創造と呼ぶことが出来るのではないだろうか?

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