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#渋沢栄一
【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#74
15 運命のひと(5)
聞多が東京にいるうちにまとめてしまおうということになり、婚礼の支度が至急行われた。近くにいる友人知人の出席のもと、聞多と武子が夫婦になったことを、知らしめるくらいでというものだった。
大隈の屋敷の広間に皆が集まり、いざ婚礼を始めようとした時、意外な人物がやってきた。これまで、薩摩に帰ったまま、連絡すらなかった中井弘が現れたのだ。
「大隈さん久しぶりじゃ。今日はなにかあ
【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#86
18 秩禄公債(3)
年が明けて、馨はオリエンタルバンク主催のパーティー出席した。
「ミスター井上、お越しいただきありがとうございます」
「ミスターロバートソン、こちらこそ、色々お世話になっております。中々のご盛況で」
「このように沢山の方々にお支えいただいて、成り立っています」
「我が国にとってこちらは海外への窓のような所です。今後ともよろしく願いたい」
「確かに、我々もご協力できるのはうれ