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【水鳥の歌と生活】2023年9月24日日曜〜9月30日土曜


 九月二十四日日曜

 夜の間に大きく気温が下がり、布団一枚では寒くて朝方は何度も覚醒する。

  明け方の寒さで秋の訪れを信じていいか真昼まで待つ。

 朝、radikoで「オードリーのオールナイトニッポン」を聴く。

  幼少の頃に遊んだギョロミーバなるスライムの鼻より出づる。

 仕事のBGMはCornelius『夢中夢』にする。
 昼食時にTVerで見た「バナナマンの早起きせっかくグルメ!!」で筋子納豆が紹介されていた。以前別のアカウントでnoteに投稿した太宰治と味の素についての文章を思い出し、手直しをして投稿し直す。太宰の小説「HUMAN LOST」には筋子納豆が登場し、そこに味の素をふりかけ、青のりとからしがあればあとは何も要らないと書かれている。

 夜はセブンイレブンで買い物をして家で晩酌をする。コールスローサラダ、ベーコンペッパーマカロニサラダ、スモークタン、ベビーチーズを食べて、マルエフビール350ml缶一本と炭酸水で割った赤ワインをグラス二杯飲む。

  昨日まで仕事のあとに咽喉を喜ばせてたビールが寒い。
  初夏も過ぎ夏も過ぎても暑いまま、まんまと彼岸明けに冷え込む。
  酒を飲み深夜になって、ふと迷い込んだ気持ちで部屋を見回す。
  寝ればもう明日になってしまうからバースツールで項垂れている。

 九月二十五日月曜

  寝苦しい夏を乗り切り秋が来れば冷え込む朝に眠れずにいる。

 朝がまたさらに冷えるようになり、寝たり起きたりで睡眠不足気味になる。そろそろ布団や部屋着を変えなければ。今部屋着は旅館風の浴衣にしているが、寝ている間に着崩れて胸から下が大きくはだけてしまう。ちゃんと体を包むような服に変えなければ。
 Podcastで「髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオ」「トムブラウンのニッポン放送圧縮計画」「芸人お試しラジオ『デドコロ』チャンス大城」を聴く。
 仕事のBGMはKeifer『It’s OK, B U』にする。Apple Musicのインディーズカテゴリの新着コーナーで見つけたアルバム。ラウンジミュージックっぽいピアノ中心のエレクトロミュージックで、まさにBGMに適した音楽。落ち着いた大人の音楽という感じ。
 夜はセブンイレブンで買い物をして家で晩酌をする。冷凍のナポリタンと冷製仕立ての揚げささみのレモンソース和えを食べて、炭酸で割った赤ワインをグラス二杯飲む。
 飲み終わってISHIYA『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史』を読み、読み終える。私はハードコアパンクが好きだが、私が聴いてきたのはHi-Standardが主催していたフェス「Air Jam」に出ていたようなバンド以降で、時代的にも、ムーブメント的にもこの本でとりあげられているような、いわゆるジャパコアのバンドはほとんど聴いてこなかった。80年代のジャパニーズハードコアバンドやライブハウスの暴力と危険に満ちたイメージは、もはや伝説のように語り継がれている話を読んだり聞いたりしたことがあるくらいで、この本は当事者たちの証言としてとても貴重な資料だと思う。恐ろしくて、でも惹かれずにはいられないあの頃のジャパニーズハードコアパンクの空気を垣間見せてもらえただけでもとても楽しかった。

 九月二十六日火曜

 シーツと部屋着を変えたら大分寝やすくなった。
 radikoで「伊集院光 深夜の馬鹿力」「空気階段の踊り場」を聴く。
 午前中はコインランドリーへ。待ち時間にミスタードーナツに行く。ハロウィンメニューのストロベリーフランケンとアイスコーヒーを注文。ISHIYA『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史 番外編 右手を失くしたカリスマ MASAMI伝』を読む。
 仕事のBGMはKeifer『It’s OK, B U』にする。
 午後は、仕事が無く、かといって他に何かする気にもならず、ダラダラと過ごす。せめて本を読んでいれば良かった。こんな日がある。
 夜は近所の焼き鳥屋へ。枝豆、焼き鳥(ねぎま、にんにくま、とりかわ、ぼんじり、つくね)、焼き豚(しろ)を食べて、生ビールの大ジョッキを一杯飲む。

  何も無い日にこそ酒は何者で無くても良いと教えてくれる。
  夕方から夜までかかる散歩には途中で酒が挟まれている。
  常連と店主が話すのを聞いて飲む、常連は歯が無いけれど。
  馬鹿にしているようだけど弱者とも仲間だったと笑う老齢。

 帰宅して、ISHIYA『右手を失くしたカリスマ MASAMI伝』を読む。

  自分でもできることから堂々とやってみろよとパンクスの言う。

 九月二十七日水曜

 朝、radikoで「爆笑問題カーボーイ」を聴く。
 仕事のBGMはsickufo『sickufo2』にする。Apple Musicのオルタナティブカテゴリの新着コーナーで見つけたアルバム。音数の少ない、空間のある演奏と浮遊感のある低温の歌がいい塩梅だ。

  白鷺が首をすくめて冷え固まる朝の空気を凝視している。
  冷房が要らなくなって開けた窓の外では鳶が鳴き交わしてる。
  田は稲を刈り終えてまだ何かしら落ちているのか烏が集う。

 午前中はISHIYA『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史 番外編 右手を失くしたカリスマ MASAMI伝』を読む。読み始めたらおもしろくて一気に読んでしまった。前著ISHIYA『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史』もおもしろかったが、知らなかったバンドやメンバーの名前が沢山出てくるので読み進めるのに時間がかかった。今回はMASAMIという人物の生涯を追うという明確なストーリーがあり、またその人物が規格外のどえらい個性的な人物だったため、ひとつの明快な興味によって読み進めることができた。私は小説も昭和の私小説ばかり読んでいるので、とどのつまり人間に興味があるということなのかもしれない。それも私のような凡夫にある肉体や思考による限界を軽々と超えていってしまえる人間についての興味が。その点でMASAMIは申し分ない。過酷な幼少期は彼を孤独にしたが、孤独に育った人間の中には自分の中の純粋な感覚が矯正されずにそのまま残されていることがある。文学者にもこのタイプが多い気がする。純粋で、愛情に飢えていて、おおらかなようで敵とみなした相手には容赦しない。そのような人間に対する評価というのは極端に分かれがちだと思う。迷惑をかけられたと感じた人にとっては名前も聞きたくないほど憎らしいだろう。適切な人間関係と能力を発揮できる居場所が見つかれば伸び伸びと才能を発揮することもあるだろうし、近しい人には細やかな気遣いも見せるだろう。MASAMIにハードコアパンクという表現と仲間が居て良かった。今更そんなことを考えても仕方がないが、できれば体の不調を感じ始めた段階ですぐに医療に繋がってほしかった。ただそのことで活動が停滞するかもしれないという危惧があっただろうし、死に向かうならそのまま死にたいという厭世的な考えもあったかもしれない。太宰治の晩年が少しだけ重なった。
 仕事を早めに切り上げて予約していたホテルへ。ここは職場から一時間もかからない距離だが、一泊二食で食べ飲み放題が付くプランが秋のキャンペーンで安くなっており、この値段ならいつも休日前に飲みに出掛けて二軒で使う金額と変わらないと思い、泊まりに行くことにした。
 チェックインを済ませ、風呂に入り、サッポロ黒ラベル350ml缶を飲みながらISHIYA『Laugh Til You Die 笑って死ねたら最高さ!』を読み始める。連続で読んできたISHIYAの著作だが、この本が一番ページ数が多く、文字も小さい。それでも、GG ALLINが住んでいたアパートを訪れた時のことを書いた書き出しから、この本も楽しめるだろうことが即座にわかった。じっくり楽しもう。
 夕食はバイキング形式で、唐揚げ、タンドリーチキン、ローストポーク、ビーフシチュー、南蛮漬け、高野豆腐の煮物、刺身(鮪、海老、しめ鯖)、キムチ、寿司(蒸し海老、小肌、烏賊)、もつ煮を少しずつ食べ、ビールを飲む。ビールはグラスで五杯ほど飲んだだろうか。食後にそれぞれ小型のチーズケーキ、ロールケーキ、シュークリームを食べ、ホットコーヒーを飲む。
 食べ終わったところでまだ二十時前だったので、外に出てみる。食事はもういいので、駅近くの一帯に密集しているスナックの一軒に入ってみる。黒霧島のボトルを入れて水割りで飲みながら、店員さんや後から来たお客さんと音楽の話などで盛り上がる。店内のモニターにはマキシマムザホルモンのライブDVDが映し出され、カラオケでは電気グルーヴを歌う。居心地が良くて四時間ほども滞在して、気がつけば閉店時間の二時に。もう少しどこかで飲みたい気もしたが、我慢して水を飲みながらホテルに戻る。

 九月二十八日木曜

 朝食の時間に間に合わせて起床する。幸い二日酔いではなさそうだ。朝食もバイキング形式で、今度はウインナー、オムレツ、マッシュポテト、茄子味噌炒め、肉団子、焼売、焼き鯖、卵焼き、こんにゃく煮物を少しずつと、味噌汁、白米を食べ、牛乳と食後にホットコーヒーを飲む。昔はホテルの朝食のバイキングは調子に乗って全種類の料理を食べ、白米もおかわりをし、朝から苦しくなるほど食べていたが、無理に食べることは無くなった。少しは大人になっているらしい。
 風呂に入って着替えてからホテルをチェックアウトし、小諸懐古園へ。
 動物園は遺跡発掘中でスペースが削られていて、ペンギンも奥に引っ込んでいて一匹も居ない。なんだか寂しい展示内容になっていた。飼育員に挨拶をしても無視され、悲しい気分に。良かったことといえば、ホンドタヌキが人懐こいのか好奇心が強いのか、積極的に目の前まで来てくれたのが可愛かった。
 懐古園を歩き、共通券で入ることができる小山敬三美術館に入る。戦前から戦後に活動していた画家で、自らも画家を目指したことがある島崎藤村に励まされ、フランス留学に行ったことが本格的な画家としての活動の始まりだったらしい。そのフランスでフランス語を教えてくれたり個展の開催などに尽力してくれたマリー・ルイズ・ド・モントルイユと結婚もしている。小山の絵は線が太く、色彩も印象もどっしりと重厚だ。特に建物や自然を描いた絵はデフォルメも強く施されていて、余計にどっしりとした量感がある。対して人物を描いた絵はもう少し繊細で写実的で、その描き分けはにはどのような意図があったのだろうか、と興味が湧く。
 一通り見て、いい絵だと思ったのでプリントされたB4サイズの絵二枚と額縁を購入する。丁寧に梱包してくれて、B4サイズの絵を一枚とポストカードも二枚、おまけで入れてくれた。その流れで藤村記念館にも入る。『千曲川のスケッチ』など改めて読みたくなる。
 昼食は懐古園内の蕎麦屋「山城館」へ。冷たい出汁に浸かったもりそば「出汁そば」を食べる。出汁だけで、塩をかけて、蕎麦つゆでそれぞれ食べるとそれぞれに美味しい。サラダと、茗荷の浅漬けもついていて、口の中をリセットしながら食べ方を変えつつ食べていく。

  肌を焼く夏の名残のような日に古跡の茶屋でもり蕎麦を食う。

 懐古園を出て、布引観音付近の千曲川に降りて河原を歩く。小山敬三の絵や島崎藤村の詩や小説に出てくる千曲川をじっくり見てみたかった。岩から岩を伝うように遡ると、何か建造物の残骸がある。あとで調べてみたところ、かつて布引電気鉄道という路線があり、その鉄道橋の橋台だったものが橋自体は洪水で流され、橋台一本のみが残っているということらしい。河原の大きな岩に腰をかけて、その橋台や川の向こう岸にある滝を眺めながらしばらく休む。夏に戻ったような暑さだが、川を渡る風は涼しい。意外と短歌は浮かばない。ただぼうっと川の流れを見て、水の流れる音を聞いていたくなる。
 家に帰って少し昼寝をすると夕方になっていたので、歩いて外に出る。無性に瓶ビールが飲みたくなったので、歩いて行ける距離の中華料理へ。まだ外が明るいうちに飲み始める。麻婆豆腐、棒棒鶏、ニンニク炒飯を食べて、生ビール一杯、アサヒビールの中瓶二本を飲む。飲みながら、ISHIYA『Laugh Til You Die 笑って死ねたら最高さ!』を読む。
 家に帰り、YouTubeで「ウエストランドのぶちラジ」を聴いているうちに寝落ちする。運転中や歩いている際には、radikoで「山里亮太の不毛な議論」「ほら!ここがオズワルドさんち!」を聴いていた。

 九月二十九日金曜

 朝、radikoで「おぎやはぎのメガネびいき」を聴く。
 仕事のBGMはcesco『The Natural Diet』にする。職場に昨日買った小山敬三の絵から「御牧原より浅間を望む」を飾る。
 夜はツルヤで買い物をして家で晩酌をする。鶏肉とネギと豆腐の鍋、切り干し大根の煮物を食べて、酎ハイをジョッキ二杯と、果実酢と宝焼酎を半々で割ったものをグラス一杯飲む。

 九月三十日土曜

 朝、radikoで「バナナマンのバナナムーンGold」を聴く。chelmicoをゲストに迎え、来年二月に開催される赤えんぴつの武道館公演のセットリストについての話などをする。二時間の公演で曲が中心ならこれまで作った曲の半分以上はやることになりそうだが、どのようなセットリストになるのか。想像することも当日までの楽しみになりそうだ。チケットは販売になるのか抽選になるのかわからないが挑戦はしたい。
 仕事のBGMはWeezer『OK Human』にする。アナログ機材とアコースティック楽器を中心にして制作されたアルバム。Radioheadの『OK Computer』の逆をいく発想は、コロナウィルスの流行や、デジタルデバイスにより個々が繋がっているようで同じ場所にいてもそれぞれが別の方向を向いているような現代に対する批評的な視点からくるものらしい。個人的にはそんなことよりもアナログ機材とアコースティック楽器を使って現代的な表現を試みていたり、それによってメロディの美しさが際立っているところがとても好きだ。何度も聴き返しているアルバム。

  中秋の翌日だって丸い月

 普段千葉に住んでいて帰省してきている友人が釣り堀で釣ったニジマスをお裾分けしに来てくれる。友人の娘がその釣り堀を気に入って、帰省のたびに行っては食べきれないニジマスを私にお裾分けしてくれる慣わしになっている。
 夜はニジマスをくれた友人と、地元の友人と三人で自宅で酒を飲む。セブンイレブンで買ったつくねや砂肝ポン酢、タコとブロッコリーのバジルサラダ、キャンディーチーズ、ポテトチップスなどを食べて、バドワイザーとハイネケンをそれぞれ350ml缶で一本、マルエフビール500ml缶を一本飲む。話が弾み、一時間程度と言っていたのが四時間くらい飲んでいた。

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