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こうあるべきだったかもしれない言葉

ここは神奈川県横浜市のKさん一家。
夫のk1は、中堅IT企業で管理職として働いている。仕事は忙しく、日夜PCを睨めつける日々だ。33歳で結婚してはや10年、気づけばもう40代だ。

妻のk5は専業主婦。息子のk8は小学校3年生になった。結婚してからもずっと仕事づくめの日々を繰り返した結果、家庭には問題が生じていた。
数年前から、妻との折り合いが悪い。日に日に小言は増え、顔を見るのも億劫になる。父親っ子だった息子も、最近は少しそっけない。

k1は、ふと結婚してからの10年間を振り返った。私は父親として十分なことをしてきただろうか。仕事の目的を見失っていたのではないか。家族のために働くのではなく、働くために家族を蔑ろにしていた。ああ、このままでは取り返しがつかなくなる。

これは社会的な問題であった。”自分のための自分”から、”家族のための自分”に移行できない、不器用な大人たち。特に父親に多い問題らしい。家庭内不和による熟年離婚の増加に歯止めがかからない。
政府は深刻に問題視しており、様々なプロモーション手法を活用して”家族サービスをする父親像”を発信している。流行語大賞にもなったそのキャッチフレーズは確か…。

「k5、k8、これまですまなかった。これからは3人で買い物や遊園地に行ったり、外で遊んだりしような。早速だが夕飯は焼肉にでも行こう! 今日は『パパ活』の日だ!」

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