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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻)

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王朝物語『我身にたどる姫君』の現代語訳です。
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2022年6月の記事一覧

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その31)

 このような状況のため、女三宮への思いは少しも冷めてはいなかったものの、少しでも動こうも…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その30)

 女房などが近くにいるときはさすがに態度に出さないものの、二人で添い伏しているときに少し…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その29)

 奥ゆかしく自尊心のある高貴な女性であろうと、身分の低い山賤《やまがつ》のような女性であ…

たま
2年前
4

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その28)

 しかし、少し見慣れて落ち着いてくると、これほどの身分の者では聞いたことのない、興醒《き…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その27)

 とても子どもっぽい性格で、内気で引っ込み思案なところはない。持ち合わせた分別や常識も申…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その26)

 女四宮と顔を合わせているだけで、権中納言は日頃の鬱屈《うっくつ》とした思いが慰められた…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その25)

 中宮と連携し、密《ひそ》かに婚儀の準備を進めていた関白は、今回の結果にすっかり満足した。初めから吉日を選んであり、三日後の夜に露顕《ところあらわし》の儀(披露の宴《うたげ》)を執り行った。皇女の降嫁は特例であるため、女四宮の婿取りに批判的な者も少なくはなかったが、中宮と良好な関係を築いている関白が熱心に取り仕切ったことなので、人々は素直に従った。 (続く) ★  権中納言と女四宮との結婚が正式にお披露目となりました。  臣籍降嫁(皇女が皇族の地位を離れて臣下と結婚する

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その24)

 権中納言は「我が物顔で朝遅くまで寝ているのは失礼に当たる」と言い訳をしつつ、深夜の時分…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その23)

 強行することになったものの、権中納言は関白の嫡子《ちゃくし》であるため、二条宮へと向か…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その22)

 中宮は婚儀の件をおくびにも出さず、少し体調を崩したことを理由に女四宮を二条宮に移した。…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その21)

 程なく月が変わった。女三宮は神事のためにいったん里に下がるはずだったが、寂しく感じた帝…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その20)

 女四宮との結婚に関する中宮からの圧力が少し弱まったため、権中納言は気になっていた内裏《…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その19)

  のぼりけむ今は限りの煙ともかすめぬ空の恨めしきかな  (母が煙になって天に昇った際に…

たま
2年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その18)

  夕暮れの花橘《はなたちばな》によそへてもいづれの空の雲と眺めむ  (夕暮れの橘《たちばな》の花にことよせて母を思い出そうとしても、火葬の煙がどの雲になったのか分からないままなので、途方に暮れています)  目を奪われるほどの筆跡・墨継《すみつ》ぎで、しかも、恋い焦がれている女三宮と非常に似ており、紙を手放すことができない。姫君はさらに困惑して扇で顔を隠したが、その仕草《しぐさ》は筆舌に尽くし難かった。文字が見分けられないだけでなく容姿まで瓜《うり》二つなため、権中納言はじ