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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻)

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王朝物語『我身にたどる姫君』の現代語訳です。
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記事一覧

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その52)

 権中納言は姫君の髪に触れながら言葉を続けた。 「訳が分からないと思うのはもっともだと思…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その51)

 その物腰が音羽山の姫君とまるで同じだったため、権中納言は完全に分別を失った。   身に…

たま
1年前
5

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その50)

「月日が経《た》つにつれて、このまま生き永らえることはできないと思う気持ちが強くなり、現…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その49)

 そのまま姫君がいる対屋《たいのや》に赴くと、仕える女房たちが以前よりも増えて華やかな感…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その48)

 激しく時雨が降り、木の葉が先を争って散っていくある夕暮れ、女三宮への思いが募って耐え難…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その47)

 他に心を寄せる女性がいなくても、あまりにも嫉妬深い振る舞いは嫌われるものである。だが、…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その46)

 権中納言は女四宮を避けるような素振《そぶ》りを見せず、古歌で詠まれたような「衣片敷《ころもかたしき》」(衣の片袖を敷いた独り寝)のつらい夜もなかった。しかし、いつもひどく思い悩んだ様子で、気が塞《ふさ》いだようにぼんやりとしながら、時折、無意識に歌を口ずさむ権中納言の様に、女四宮は確信はなかったものの疑念が晴れなかった。 「いったいどこの女に心を奪われているのか」  女四宮は見当外れで些細《ささい》なことを疑い、恨みごとを言いながら涙を流した。 (続く) ★  権中納

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その45)

 そうはいっても、男女の関係が絡むと親子の情も薄れてしまうのだろうか。関白は次第に、いっ…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その44)

 関白は年配者ではあったものの三十八歳で、女三宮は二十歳未満だった。人々は二人の年齢差を…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その43)

 十月二十日、関白は密《ひそ》かに女三宮を寝殿に移し、人々を驚愕《きょうがく》させた。中…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その42)

 関白の北の方は、昔からあまり深い愛情を注がれていなかったため、女三宮が迎えられることに…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その41)

 あるのどやかな夕べのこと、院は三条宮《さんじょうのみや》にやって来た関白に、世話話のつ…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その40)

 こうして世の中は少しずつ落ち着きを取り戻していったが、院の心中は耐え難い悲しさに押し潰…

たま
1年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その39)

 八月末、尚侍《ないしのかみ》は参内《さんだい》して藤壺《ふじつぼ》を自分の局《つぼね》としたが、帝から寵愛《ちょうあい》された上に、他に並ぶ后妃《こうひ》もいなかったことから、何の張り合いもなかった。当初、姫君の入内《じゅだい》も同時に行われる予定だったが、二人が互いに競い合うのは具合が悪いため、少し時間をおいた十一月に延期することになった。また、即位の直後で慌ただしい時期のため、今回の大嘗会《だいじょうえ》は見送って来年に持ち越すことになった。 (続く) ★  関白