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現代語訳『我身にたどる姫君』(第一巻)

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王朝物語『我身にたどる姫君』の現代語訳です。
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2018年9月の記事一覧

現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その20)

 さて、三位中将《さんみのちゅうじょう》は年が明けると権中納言《ごんちゅうなごん》に昇進…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その21)

 権中納言《ごんちゅうなごん》は妹君の琴《こと》を絶賛し、誇りに思っていたが、この演奏は…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その22)

 しばらくすると、奥から人がやって来て女房たちと何やら話をした後に簾《すだれ》を下ろし、…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その23)

「このまま帰ることはできない」と思い乱れる権中納言は、以前に使った戸口に立って咳《せき》…

たま
5年前
7

現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その24)

「それにしても、主《あるじ》殿とは浅くはない縁のはずですので、わたしを親類の一人として数…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その25)

 権中納言は当たり障りのない世間話をこまごまとし続け、夜が更けても帰ろうとはしなかった。…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その26)

 上手《うま》く辿《たど》り当てた縁だと喜ぶ権中納言はこれにかこつけて、不慣れな恋心でひたすら気持ちがままならないことをほのめかしながらひどく嘆いた。  相手の態度に尼君は当惑した。 「確かに世間から隠し続けるのは難しいと思っていたものの、人目の少ない、巌《いわお》に囲まれた場所だから大丈夫だと安心しきっていた。そもそも最後まで隠しおおすのは無理な話で、見苦しいやり方だったかもしれない。それにわたし自身、姫君が何者なのか知りたいと思っている。いずれにしても、素性が明らかになれ

現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その27)

 あの日、ひどくつらそうに思い詰める姫君の母上が不憫《ふびん》で、我が命に替えてでもと尼…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その28)

 まだ大将だった頃の関白は言葉で言い表せないほどの浮気性で、世間に惑わされぬ女はいなかっ…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その29)

 今の帝と関白は、歴代の人々の中でも世の例《ためし》として光り輝くばかりの容姿や学才、限…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その30)

 皇后宮《こうごうのみや》は、風の噂で自分の居場所が相手に知られることもきまりが悪く、つ…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その31)

 夜とて何年も安眠できぬまま、心ならずもこの世に生き永らえてしまったが、ただどうにかして…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その32)

 かつて手引きをした宮の内侍《ないし》も、皇后宮《こうごうのみや》の不興を買って居づらく…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その33)

 このような事情のため、関白は一人娘の東宮《とうぐう》への入内《じゅだい》をためらい、「皇后宮《こうごうのみや》から一言でも声を聞くことができたら」と心待ちにしていたが、中宮にしてみれば何とも無情な宿世《すくせ》であった。  皇后宮は日頃から遠慮深く、身近な人にさえ心の内を打ち明けることがないので、まして関白に対しては、どんな折であろうと気持ちを漏らすことはない。ただおおらかに振る舞う皇后宮の様は、関白にとってはまったく甲斐《かい》がなかった。 (続く)