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現代語訳『我身にたどる姫君』(第一巻)

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王朝物語『我身にたどる姫君』の現代語訳です。
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記事一覧

KDP版『現代語訳 我身にたどる姫君(1)』の発売開始と各種キャンペーン

Amazonで『現代語訳 我身にたどる姫君(1)』が発売になりました。note版に加筆修正した内容にな…

たま
4年前
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現代語訳『我身にたどる姫君』(作品紹介)

今回から古典作品『我身《わがみ》にたどる姫君』の現代語訳をお届けします。 恐らくほとんど…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(参考文献)

 今回の「我身にたどる姫君」の現代語訳に当たり、わたしが使っている書籍をご紹介します。原…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その1)

 移ろいゆく四季折々の景色をつれづれと眺めるのが、姫君の心の慰めだった。  古歌のように…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その2)

 幼い頃の姫君は、何でもない花や紅葉を見ても特に自分の素性に思いを馳《は》せることはなか…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その3)

 かつてこの屋敷には姫君と親しく、いつも頼みにしていた弁《べん》の君という乳母がいたが、…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その4)

 姫君は右も左も分からなかった幼少期に、火影《ほかげ》の下で見た人の限りない美しさがいつまでも忘れられなかった。その面影は鏡に映る自分の姿と次第に重なり合い、容易に探し出せそうな気がするものの、そうはいってもすぐに見つかるとも思えない。 「どのような前世の報《むく》いで、自分一人がこのように苦しむ宿命なのだろう。雁書《がんしょ》の故事のように伝え聞いた話によると、どうやら自分の両親はいずれもごく普通の身分の者だったらしい。もしその通りの素性なら、どうしてわたしは二人に見捨てら

現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その5)

 月日を重ねるにつれて、姫君の容姿は光り輝くような美しさが増していった。  しかし、粗末…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その6)

 姫君には、弁《べん》の君の次女で侍従《じじゅう》の君という女房が片時も離れずに仕えてい…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その7)

 姫君たちが暮らしている屋敷は、音羽山《おとわやま》の麓にある。  庭に引き込まれた水も…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その8)

 ある激しい吹雪の夜更けのことである。  いつもとは異なる人の気配に続き、門戸を叩《たた…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その9)

 曇ってはいるものの、雪と月光が混じり合いながら降ってくる風情のある空の下、簀子《すのこ…

たま
4年前
8

現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その10)

 次第に明けゆく空の景色に、雪も小やみになったようである。  三位中将《さんみのちゅうじ…

たま
4年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第一巻 その11)

 この尼君は宮の中納言という人の北の方だった。宮の中納言の妹こそが三位中将《さんみのちゅうじょう》の母親なので二人は縁者だったが、疎遠にならざるを得ない複雑な事情があった。  尼君は夫が死去した後に出家し、生きているとも分からないまま、都から離れた音羽山《おとわやま》でひっそりと暮らし始めた。世を捨てた後も、姉妹である麗景殿《れいけいでん》の女御《にょご》とはとりわけ仲がよく、心を通わせた間柄だった。この麗景殿の女御は今の皇后宮《こうごうのみや》の母親であり、女御が亡くなって