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水の空の物語 第3章 蓮峯山の小さな楽土

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空の上に湧く泉の噂を聞いた風花たち。 蓮峯山という山で、ふしぎな野原を見つけます。
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記事一覧

水の空の物語 第3章 第1話

第三章 蓮峯山の小さな楽土  ……日本の洪水伝説。  洪水伝説とは、世界中の諸伝説に多く…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第2話

 今日の飛雨は、人が変わったようだった。人なつこい笑顔で、友達のように接してくる。  鋭…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第3話

「えーっとね、蓮峯山の山々の間にある湖には、竜が住んでいる。池に大蛇が住んでいる」 「い…

近江結衣
1年前
6

水の空の物語 第3章 第4話

 不老不死……。 「え? 不老不死って、あの吸血鬼とかの?」 「オレは化け物じゃないぞ」 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第5話

 聞いても楽しくないぞと、飛雨はつぶやいた。  飛雨は、戦国武将の家臣の家の出身で、生ま…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第6話

「……ここまでにしよう」  長い沈黙が続いたあと、ふいに飛雨がいった。窓にもたれていた体…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第7話

「おい、風花」  しばらく黙っていた飛雨が、急に言葉を投げてきた。 「お前、今度、霊力の訓練してみるか?」  窓の外を見て、風花に背を向けたまま冷たく続ける。  車窓の風景は、いつの間にか植物でいっぱいになっていた。  まばらにあった人家もなくなり、木々の間を山中特有のカーブばかり描いて、道は伸びている。  まだ春の初めなので、葉を落としたままの朽葉色の木々が多いが、まばらに常緑樹の深緑が目に映る。  山を優しく包むようで、風花の心を和ませた。 「え、霊力?」

水の空の物語 第3章 第8話

 少女は中学生くらいだった。  かわいらしいという表現がぴったりの子だ。かなり華奢で、長…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第9話

 飛雨が降りたのは、木々の間に点在する岩の中で、一番大きな岩だった。  彼は『重かったー…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第10話

 一本杉は、木々がまばらになった笹原の中にあった。  まだ若葉をつけていない木々の中で、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第11話

 風花たちは、森の東を目指していた。  飛雨は忍者のように、枝にぶら下がったり、幹を蹴っ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第12話

ふしぎそうに見つめる風花たちに、彼女は黙って微笑む。  ……この仔は親からはぐれた仔です…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第13話

 空気が痛い……。  風花たちは、山頂に続く坂道を歩いていた。  さっきまでは、笹原や枝…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第14話

「この鳥も、引き取って欲しいってことでしょ。今回は例外ってことでいいじゃない」  スーフィアは優しい瞳をして、にわとりのくちばしを撫でた。 「あの、だいじょうぶよ、飛雨くん」  風花は身を乗り出した。 「さっきもいったけど、うちのパパは獣医なの。パパの職場か、それがだめでも、わたしの家で引き取れるから。あの子は精霊に引き取ってもらいたいみたいだけど、パパの職場なら仲間のうさぎもいるし」 「それも他力本願だろ」  飛雨は眉を寄せる。 「風花の力じゃないだろが。無責任