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アート、芸術を知るためのオススメ本 7冊と、+1

今年は芸術への理解を深めたいと思い、さまざまな芸術関連本を読み漁っています。
中でもオススメの本をいくつか紹介していきます。

ビジネスパーソンに特にオススメなのは、こちら。
新書という体裁もあり、ビジネス書として読んでも、とても面白いです。

自分の関わる業界と重ね合わせて読めるところが多々あると思います。

私の場合、
第五章 「科学」を武器に職人ギルドを征した王立アカデミー
を、昨今の漫画業界の動向と照らし合わせながら読み進めました。

また、
第七章 「ガラクタ」印象派の価値を爆上げした金ピカ額縁と猫足家具
に登場する
パリの画商にして、「印象派の父」と呼ばれるデュラン=リュエル
のエピソードは学ぶべきことが多数ありました。

これからの編集者には、デュラン=リュエル的な能力が必要になってくるかも、と思ったり。


『ビジネス戦略から読む美術史』が面白かった人にはこちらもオススメです。

西洋美術が生まれた西洋文明は、
「人間の感性などあてにならない。理性的でなければ」
というところから始まっている。

したがって、
現代の日本には「感性で美術を見る」という価値観がはびこっているけれど、
近代以前の西洋美術を感性で見ることなど不可能
と言い切っています。

とはいえ、
堅苦しい話が続くなんてことは全くなく、
重要なエッセンスだけを抽出してくれているので、楽しく読み進めることができます。

12〜13世紀のゴシック時代、
現代のような娯楽など一切なかったため、
教会でのミサは一大エンターテインメントだった
ーーなんて胸躍る記述が随所に飛び出してきます。


てっとり早く、ザザッと西洋美術を理解したい!
そんな人にはこちらがオススメ。

オールカラーで有名な絵もふんだんに入っているので、
肩肘張らずに読み進めることができます。

一つの芸術運動が興り、
それが成熟すると、
流れを破壊するかのような新たな芸術運動が興る…

西洋美術のダイナミズムがよく理解できます。

日本美術 →継承の歴史
西洋美術 →革命の歴史

このことを頭の片隅に置いておくと、
現代のさまざまな事象に対しても、ちょっと違う角度から捉えられるようになってきそうです。


正直、私は村上隆さんの作品は好きではないのですが、
彼の書いた本はどれも実に面白いです。

しかも、読めば読むほど、
「なぜ自分が村上隆さんの作品が好きでないか」
を論理的に理解できるようになってくるのです。
それってすごいことです。


漫画家やアニメーターなどになれなかった才能のない落ちこぼれが芸術家になる、
なんてことまで言い切っています。

芸術に関わる人たちはもちろん、
エンタメに関わる人たちにもヒントになることが山ほど書かれていると思います。

この先、漫画にはどんな可能性があるか、
その領域において、自分はどんなことができそうか、
熟考するきっかけとなりました。


アートプロジェクトとは、
現代美術を中心に、おもに1990年代以降に日本各地で展開されている共創的芸術活動です。

上に記した本たちとは趣きを変えて、
昨今、アートが社会とどう関わっているのか
を知るのに最適な一冊です。

芸術といえば、美術館で真剣な顔をしながら味わうもの、と思っている人にこそ読んでほしい一冊です。


こちらは美術ではなく、音楽をテーマにした本ですが、
芸術、アートへの理解・考察を深めるのには最適な一冊です。

そもそも
芸術とアートは何が違うのか?
というところを、ここまで明確に語っている本は珍しいように思います。
(私が知らないだけかもしれません。他にもっといい本があれば、是非教えてください)

西洋語の「アート」は、いま日本で捉えられているよりも、はるかに幅広い意味で使われてきた言葉だったそうです。


アートの世界での経済活動に公金を投入する必要はない。
そのかわり、文化としての芸術には、税金をふんだんに投入すべき。

これは非常に重要な提言だと思います。
この本に記されたことがもっと広がり、議論されていくべきだと考えます。


全国17大学の卒業・修了制作展のレポートを中心に、評論家・学芸員、画廊、編集部が注目する、気鋭の若手アーティストたちを紹介しています。

今の美術界の潮流みたいなものを
ざーっと俯瞰で眺めるのに適しているように思います。


最後の一冊になりますが、
すみません。
全くオススメではないです。

アートって、こんなつまんないものだっけ?
と思いました。

ふだんのForbesは結構好きなんで期待して読み始めた分、
がっかりも大きかったです。


巻末あたりのコラムで、深井厚志さんが記していた言葉が、とても良かったので、自戒も込めて記しておきます。


本来、アートの世界の価値基準はビジネスのそれとはまったく異なります。

これをビジネス界の論理で理解しようとすれば、きっとそのアートはただちに精彩を欠き、あなたもアートを取り扱おうと決めた当初の目的を見失うことでしょう。


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