一緒に過ごす時間を、しっかり味わう。日々のすべてが子育ての醍醐味かもしれない。|#127
「あっ!あれ、シリウスだよね?!」
娘(4)が南の空、少し低い位置を指して声を上げる。
「シリウスっておおいぬ座だっけ?」
「じゃあ、あれはオリオン座?」
図鑑とDVDとipadのアプリ、さらにプラネタリムまで駆使して仕入れた知識を披露してくれる。
最近「宇宙」興味津々の彼女、「知識」が「現実」と結びつく時間は、きっととんでもなく知的好奇心を満たしてくれる体験に違いない。
*
今夜は、娘の発案『夜のおさんぽ』に乗っかって外に出てきた。夕食とお風呂の間の”自由時間”。
家の周りを1周だけして帰るつもりだったのに(寒いし!)、星を探しながら歩いてたら随分来てしまった。
地方住まいとはいえ、国道近くに住んでいると夜でも明かりはかなり多い。少しでも暗いところ、明かりが少ないところを求めて、もうちょっと行ってみようか、あっちに行ってみようか……。
*
歩きながら思いつくままにお互いにおしゃべりする。
暖かくなったら、山に星を見に行こうか。
それまでに天体望遠鏡を買おうか。
そうだ、夏になったらホタルも見に行こう!
虫網持ってく?
そうそう、カブトムシも捕まえにいかないと!
今年はセミに触れるようになるといいねぇ。
4歳になると「記憶」していることも増えてくる。
去年はああだったこうだった、こんなこともしたね、だから今年はこんなこともしたいね。
過去や未来とつながった話ができるようになったことに、成長を感じながら歩く。
暗さに目が慣れてきた。
見える星も増えてきた。
あぁ、「冬の大三角」が見える。シリウス、ペテルギウス、プロキシオンだっけ。
その左に2つ並んだのは、きっとふたご座だ。
「ママ、”はくちょう座 エックスワン”は見える?」
それは見えないね、夏の星座だし「エックスワン」ってブラックホールでしょ。まあ、言葉の響きが気に入ってるだけだよね。
「ママぁ、なんか疲れちゃったなぁ」
散歩に行こうと言い出した張本人が甘えてくる。
え。
仕方ないなあ。
おんぶする?
「うん!おんぶ、するー!」
よいしょっと。
娘が背中に張り付いてくる。
苦しいくるしい、首を絞めつけないで!
おんぶをすると、私の耳と娘の口が急に近づく。
おんぶしてもらって上機嫌の娘は耳元で喋り続けている。
ずいぶん重くなったなあ。
おしゃべりを聞きながら、そんなことを思う。
4歳、そろそろ20キロ。
おんぶって、何歳ごろまでするんだろう?
その前に私の腰は、何キロまでおんぶ可能なようにできているんだろう?
もしかして残りの「おんぶ券」、少なくなってきてる?
あと何回おんぶするだろう
させてくれるだろう
できるだろう……
成長は嬉しい。
そして過ぎた時間は、決して戻らない。
おんぶして、と甘えてくる時間もあとどれくらいあるかはわからないけれど、無限ではないことは確か。
「1年って、はやいねぇ」なんて、大人びた口をきくようになった4歳。
本当だね、本当にはやいね。あと2年で小学生だもんね。
*
星空を楽しんでいるうちに、すっかり身体が冷えてしまった。まだまだ寒い信州の夜。体感気温、0℃。
帰宅、即お湯をためてお風呂に入る。
取るものもとりあえず湯船に浸かる。ああ、至福。
遅れて娘が入ってくる。
お風呂はもうしばらく一緒に入れそうだ。
だんだん湯船が狭くなるけれど、それも一興。かな。
一緒に楽しみながら高め合える方と沢山繋がりたいと思っています!もしよろしければ感想をコメントしていただけると、とっても嬉しいです。それだけで十分です!コメントには必ずお返事します。