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中東で感じた日本文化

.سلام

明治時代を生きた私の高祖父は有名な俳人であったが、曽孫である私は「お〜い!お茶 新俳句大賞」に10年連続で応募しているものの、才能もご縁もなくラベルに載る日はまだ来ていないんだ。

イラン暦メフル月20日に当たる10月11日は、世界的に有名なイランの抒情詩人ハーフェズの生誕祭であったので、テヘラン市内の本屋で詩の朗読会が開かれた。

「YES YES!! Basho Matsuo!!」

本屋のおじさんは真面目で朴訥な方だったが、私が日本人だと分かると松尾芭蕉や与謝蕪村の俳句集をかき集め、詩の朗読会そっちのけで俳句への愛を語り始めた。
主催していた店主のおっちゃんは、たった17文字の中で、聴き手に情景までしっかり浮かばさせるその巧みさや、五・七・五の音の響き、リズムが好きだと言っていた。

別の場所では仕事の傍ら趣味で詩を書くお洒落なお姉さんに出会った。自身の詩は俳句から強く影響を受けていると言っていたので、私が好きな昭和の女流俳人 中村汀女を紹介すると、彼女はもう既にその俳句を知っていた。

俳句は、もう既に" Haiku "ではないか?

日本の短い詩としてではなく、"Haiku"として中東でも認知されていることを実感した。きっと世界的にそうなっているのかもね。

また別の日、友人の誕生日会で出会ったおじさんは若い頃、映画『北の国から』を観て"Sake"を知り、いつか飲むことができる日を楽しみにしていたそう。10年後、ジョージアで嗜んだ"Sake"は非常に美味しく、五郎がひょっこり現れないか気にして飲んだそうだ。

日本酒は"Sake"として認知されている。発音はサキに近かったが、間違いなく酒のこと。彼は而今から田酒、獺祭まで色々試したそうだ。なんといい日本酒ばかり、そりゃ美味しいよね。


"Haiku"に、"Sake" 。もちろん他にも数えきれない程の日本文化が世界に広まってきている。

自国の文化、言葉が、遠い世界でも生きているんだと知ることは嬉しい。またそれを好きでいてくれる人に出会うともっと感動する。

きっとハーフェズの朗読会で、本屋にいた他のイラン人たちも日本から来た私を見て同じ気持ちになっていてくれたのかもしれない。


高祖父よ、曽孫がこうして中東のど真ん中で日の丸を背負い、あなたが愛した日本文化を肌で感じていることを天から喜んではくれないか。そして、10年も経てば意地になる。私の俳句がどれかひとつでも伊藤園にヒットする日が訪れることを心待ちにしていてはくれないか。いつになるかは・・・分からないけれど。

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