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うつ病で会社員からフリーのイラストレーターになった、私らしいはたらき方

イラストレーターになるまでの、はたらき方

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私は現在、フリーのイラストレーターをしております。
主にインスタグラムでイラストを投稿し、それを見た一般のお客様から似顔絵やウェルカムボードのご依頼をいただいてイラストを制作する。という仕事をしております。

イラストレーターになったのは、2021年3月。

それまでは、新入社員から住宅の設計事務所で設計士として働いてきました。
子供の頃から建築に憧れ、建築士だけを目指してまっすぐに人生を歩んできました。即戦力になりたくて住宅デザイン科のある専門学校に通い、2017年に迷うことなく住宅の設計事務所に入社しました。

早く住宅の設計がしたくて二人の先輩設計士を見ながらたくさん学び、同年12月頃には初の物件を担当させていただきました。

私が入社した会社は、設計士が営業もします。お客様と直接お話しをしてご要望をお伺いし、設計図に落とし込み、自分が設計した間取りをプレゼンする。そんな会社でした。
私はそんな会社に憧れて入社しました。だって、通常の住宅会社って営業マンがいて設計士がいてインテリアコーディネーターがいて、現場監督がいて、アフターメンテナンス担当がいるのがほとんどかともいます。いわゆる「分業制」というものです。

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分業制の良さは、「効率的に生産できる」という点が大きいでしょう。
さまざまなことを学んで全てを担当するよりも、1つの部署で専門性を磨いた方が最終的に到達する技術レベルは高くなります。
適正や学ぶ意欲にも関与しますが、同じ部署で経験を積み重ねる方がその分野の習熟度は高くなるはずです。

なぜ私が分業制ではない、設計営業という職に憧れていたのか。単純なことで、お客様と一緒に最初から最後までお家を作り上げていきたいという思いが強かったからです。

少し話を戻します。

12月ごろ、初の物件を担当します。
「新入社員で、しかも21歳の設計担当者はなかなか受注は取れないよ」と最初からずっと言われていました。
舐められたり、安心感がなかったり、信頼できなかったり、いろんな要因で受注はできないだろうと言われていました。

しかし、1年目から5件連続で受注をいただくことができました。
運が良かったのか、頑張りが伝わったのかはそのお客さまにしかわかりませんが、私自身も社内も驚きと嬉しさで溢れていました。

「すごい!」「楽しい!」「嬉しい!」そんな感情が湧いてきました。

それからもたくさん頑張りました。

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着工に向けてお客様と一緒に打ち合わせを重ねました。間取りを決め、ドアや床の仕様を細かく決め、内装を決め、契約金額を確定させ・・・
慌ただしくも楽しく充実した期間でした。

それから最初の物件が着工に入りました。
そこからがとっても大変でした。。。

2件目も、1件目の1ヶ月後には着工、3件目がその1ヶ月に着工、と連続してしまいました。
また、着工の次は「上棟」があります。

上棟とは、住宅の建築において、柱や針など建物の基本構造が完成し、家の最上部まで屋根を支える棟木(むなぎ)と呼ばれる木材をを取り付けることを指します。

着工から上棟までの間もたくさん準備することがあります。

この3ヶ月間が人生で一番忙しかったかもしれません。いや、絶対そうです。
休む日もなく3ヶ月ずっとはたらき詰めでした。

でも、楽しかったんです。

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子供の頃から憧れた建築士。やっと、自分が設計したお家が建てられるんです。楽しみしかありませんでした。
もちろん楽しみだけで仕事してたわけではありません。これからそのお家でお住まいされるお客様のお家。これからの人生やいのちまでかかっているようなものです。

ものすごい責任感を抱えながら仕事をしていました。
だって、経験がないから。

何が正解かわからないし、わからないことが分からないし不安だし・・・
でもやるしかないし、頑張りたい!

しかしその3ヶ月を終える頃、2018年12月に仕事中に涙が止まらなくなり、病院に行くことになりました。

「過剰適応」と診断されました。



・・・ん?2018年?

はい、休みませんでした。

だって、自分が担当している物件です。分業制ではないので、自分が一番この物件のことを知っていて、責任は自分にある。自分にしかこの物件のことはわからない。自分がここで休んだら工事が止まってしまう!

そんなことがぐるぐる回って、休むなんてできませんでした。

ただ、運が良いことに年末年始の休みが来たので1週間休むことができました。

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休み明け。その日は日曜日でした。
日曜日の誰もいない現場に足を運びました。

そこでゆっくり、建物の中を見てまわりました。
まだ工事中の床に座って、じっとお家を眺めました。

「あぁ、このお家は、私が設計したんだな」

そうしっかりと認識することができました。

もっと1件1件に目を向けることができていれば、着工時、上棟時に「感動」があったかと思います。
そんなことを感じる間もなく次々と仕事に追われてしまっていました。

年末年始の休み明けのこの認識から、また元気が湧いてきて、しっかりと仕事をすることができるようになりました。

適応障害からの1年

診断されてからは会社にも相談をしました。
ちょっと担当物件を少なくしよう、ということになり仕事量を調節していただきました。

怒涛の3件も引渡しが終わり、安定して残りの2件の工事も進めることができました。安定してきてからはまた通常通り仕事量を戻しました。

それから、異変が起き始めました。

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私は元々、人の顔やお名前を覚えることが得意でした。
メモしたことは忘れないし、道も事前に覚えてナビを見ずに目的地に行ったりということができていました。

しかし、人の名前も顔も覚えることができなくなっていました。

また、メモをしても覚えられなくてタスク管理がしっかりできないし、時間の管理もうまくできない。
会議にも集中できないし、何を話しているのかわからない。なんだかそわそわする。
お客様との打ち合わせの後の疲れがひどくてその後仕事にならない。話せない。

など、いろんな症状が出てきました。

対策はもちろんしていました。
覚えられないからメモは必ずとるし、タスク管理もメモも同じノートにまとめて日付ごとにページを変えてごちゃごちゃにならないようにしたり。
会社には症状を伝えた上で、会議や打ち合わせにしっかり集中するために、会議後は少し睡眠を許可いただいたり。

でもそんな日常には限界がありました。

おかしいと感じた決定的な出来事

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2020年1月。出張からの帰り、自分の住み慣れた街に帰ってきた時に外の景色を見て「ここはどこだろう?」となりました。

いや、分かって入るんです。
スーパーの名前も、帰り道もわかります。

でも、感覚的にどこかわからなかったんです。

とても不安でした。

自宅に到着し、玄関を開けても「ここはどこだろう」
当時同棲をしていた彼氏(現在の主人)は誰だろう?

もう何もわからなくて不安で不安で仕方ありませんでした。

次の日も仕事でしたが、みんなとなんの話をしたらいいんだろう?
何したらいいんだろう?

と、訳のわからない感覚でした。

その日の夜、仕事終わりに買い物に出かけた時、急に心臓が飛び跳ねるような感覚になり、とても苦しくなりました。
頑張って買い物をすませ、車に乗った瞬間涙が止まらなくなりました。

20分ほど泣いた後、「とにかく帰らないと」と思い運転をしますが、自宅に到着したらまた涙が溢れてきて・・・

頑張って車から降りて自宅に入るも「ここはどこだろう」という感覚。

やっぱり彼氏が誰かわからないし、ここには居場所がないと感じました。そこで、実家に戻るか?とも考えましたが、両親も誰かわからない。居場所がない!となり、とりあえずその当時は使っていなかった部屋に籠り、とにかく泣いていました。

2時間くらい泣いてから、ふと我に戻りました。

感覚が戻りました。彼氏がわかるし、両親もわかる。ここがどこだかわかる。全部わかる。

とりあえず、通常の感覚には戻ることができました。

病院へ。

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そこから数日後、この出来事を会社に相談し、病院に行こうとなりました。病院に行き、最初はパニック障害と診断されました。

ですが、次はどんどん歩けなくなっていきました。
つまずいたり、こけたり、階段が登れなかったり、話せなくなったり、やるべき事の順序がわからなくなったり。ついには布団から起き上がれない日ができ、仕事に行くことができなくなりました。

そこから、うつ病へと診断が変わりました。

うつ病と診断されてから、休むための準備として、2ヶ月かけて仕事の引き継ぎをしました。2ヶ月かかりました。
無事に3月上旬に仕事の引き継ぎができ、しばらく社内ニートのような状態を過ごしたのち、完全に動けなくなり会社を休職するに至りました。

きっかけは、うつ病

仕事を休んでから3ヶ月は全く動けずに過ごしました。
窓を開けて外の音を聞きながら、「あぁ、これが日常か・・・」なんて感じたりしながら過ごしました。

2020年6月からYouTubeやインスタグラムを見るようになりました

その中で、イラストを描いて投稿している人がいることを知りました。

「私もイラストを描きたい」

それから、ヤフオクで2016年版のiPad Pro 9.7インチを格安で購入し、7月末からイラストを投稿し始めました。

最初こそ反応はなかったものの、絵を描くのが楽しくて楽しくて、絵を描くことで「うつ病であることを忘れる」ことができました。

苦しさを忘れることが嬉しくて癖になり、本当に毎日ずっと絵を描いていました。
それからはどんどん元気になっていきました。

理由は、達成感が大きかったからかと思います。

1日あたり、多い時で5枚ほどイラストを描いていました。
住宅の仕事は達成感を得られるのに、数ヶ月〜1年の年月を要します。そのため、1日で達成感を何度も味わえることに、嬉しさを覚えました。

達成感って、自己肯定感を上げてくれるんです!

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絵は苦手という方でも、作業を始めてから達成感を感じるまでの期間が短いものだと効果が出るかと思います。
楽しさや嬉しさを感じる日々を送ってみたくなりませんか?

素直に楽しいと感じることや、できた!と喜ぶことは恥ずかしいことではありません。
ゆっくり休んで、少し気力が出てきて、やってみたいと思えるようになったら試してみてください。

復職し、副業も始める

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休職に入ってから約半年後、仕事復帰をしました。
といっても週2日の3時間勤務でしたが・・・。

パートとしての復職になったので、お給料はもちろんかなり下がりました。
また、傷病手当金ももちろんもらえなくなったので、さらに金欠に・・・。

そんな状態の中、イラストを描いて欲しいというお声をいただけるようになりました。

最初の2週間程度は無料で受けていたのですが、
無料と知った方がどんどん依頼をしてくださり、スケジュールがパンパンになってしまいました。

とてもありがたいことだったのですが、無料での受注は2週間で廃止しました。

だって、こんなに時間を使ってるんです。
で、イラスト活動も活動資金がタダという訳ではありません。

また、無料での依頼だと、正直な話、少し非常識な方も多くいらっしゃいました。
うつ病になって、せっかく元気になってきたのにそういった方に頭を悩ませるのもよくないと思い、有料での受注に切り替えました。

これが、副業として始めるまでの経緯です。

副業からフリーランスへ

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イラストでの収益は、1ヶ月目から3万円を突破しました。

その後、どんどん依頼も増えていき、価格調整もしつつ現在は月15万以上収益があった月もあります。
よくやってきたと思います・・・。

・副業としての収益は十分な金額。
・会社が新たな転換期に突入した。
・また環境が変わる。
・社内ルールも変わる。

そんな時期だったので、2021年の2月末に会社を退職し、フリーランスとしての活動を本格的に始めました。

新しい自分なりのはたらき方

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現在は大前提として、決して無理をしないことを忘れずに仕事をしています。

イラストを始めてからも、なかなかブレーキがかからない時もありました。ただ、うつ病になって学んだことはたくさんあります。

・他人に頼るということ
・一人で抱え込まなくてもいいということ
・できないことがあっても良い、完璧でなくて良いということ

などなど。
当たり前じゃんと感じる方もいるかと思いますが、私にはできないことばかりでした。

フリーで仕事をするようになってからは、無理せず仕事ができるよう、仕事量を自分で調節するようになりました。

また、自分一人で仕事をしているので、頑張りすぎないために仕組化と習慣化を頑張りました。

仕組化

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仕組化は、会社員時代に会社でできなかったことの一つです。
私が勤めていた会社は立ち上げて3年の会社でした。人数も少なく仕組化もあまりできていないと感じる点も多くありました。

設計士のみんなで仕組化のためにたくさん会議を重ねてきましたが、なかなか実現できずに終わったものも多くあります。

しかし、自分一人で仕事をしていると仕組みを作るのも自分自身になります。なので、会社員時代にできなかった仕組化を、どんどん組んで行っています。

自分にとっても、お客様にとってもストレスの少ない仕組化ができるよう日々検討・改善中です!

これからのはたらき方

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無理しないこと、仕組化、はこれからもずっと続けていきたいと思います。

うつ病になってから、無理をせず、自分の好きを仕事にする方法を模索しています。

無理しないために、ストレスを溜めないためにできることはたくさんあります。「わからないこと」が苦手なので、お客様も「わからない」が少なくなるように仕組化を進めています。

頑張らないために、頑張っていること

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まずはホームページの構築です。
ホームページを構築することで、お客様からの質問が少なくなるようにしました。
自分にとって当たり前と感じていることが、必ずしもお客様にとっては当たり前と感じるわけではありません。なので、自分の認識を形にしているようなイメージです。

・イラストの基本料金に含まれる範囲はどこまでなのか。
・イラストの使用方法に禁止事項はあるのか。
・料金はいくらくらいになるのか。
・サイズはどんなものがあるのか。
・印刷物にはどんなものがあるのか。

イラストをお願いしたいと思ってくださっているお客様にはいろんな疑問があります。
まず、「何がわからないのかもわからない」状態です。

なので、こちらから歩み寄り、イラストにはどんな仕様があるのか、どんな常識があるのか、などなどこちらから提示してあげます。

そして、私自身も認識できていないことももちろんあります。
そんな時、お客様から質問を受けることがあります。そして、調べてお答えいたします。

しかしそこで終わりではなく、質問があったことはホームページ内にわかりやすく記載します。
他にも同じことを感じている方がいるかもしれません。

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次に、日々見直しすることを習慣化するということです。

自分の仕事の仕方やホームページ、インスタグラムもよく見直しをしています。

・自分の仕事の仕方は本当に効率が良いだろうか?
・インスタグラムをより伸ばすために必要なことはなんだろう?
・ホームページは今のもので本当に見やすいだろうか?
イラストの依頼が少し落ち着いている間は仕事の見直し週間です。

今の自分が最適とは限りません。
自分の考えや時代、人の流れはどんどん変わるので、乗り遅れないように気をつけています。

見直しをするためにしていることは、リサーチです。

・インスタグラムで人気のイラストレーターさんはどんなハッシュタグをつけているだろう?
・あのイラストレーターさんはどんなホームページだろう?
・価格帯は今のままで問題ないだろうか?
・他のイラストレーターさんはどんなイラストを描いているだろう?

そんなことを日々考え、見直しています。

いつの間にか、ホームページがガラッと変わっていることもあります。。。

まとめ

うつ病になってから、無理をせず、自分の好きを仕事にする方法などをお話ししてきました。
自分の今までの価値観現在の仕事について語ると、とても長くなってしまいました^^;

私を知っている人も知らない人も、私の現在と過去を知っていただけるきっかけに。
うつ病の方が、こんな人もいるんだと勇気づけられるようなきっかけになれれば嬉しいなと思います。

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました!


#私らしいはたらき方


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