見山メモ200628 「美術館女子」炎上問題

AKB48メンバーが、国内各地の美術館を巡り、アートの魅力をアピールする企画「美術館女子」が炎上の末、読売新聞オンラインでの公開を終了してしまったらしい。

そもそもこの企画意図は

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「美術館女子」の企画意図について、読売新聞と美連協は6月15日時点で次のように回答している。「地域に根ざした公立美術館の隠れた魅力やアートに触れる楽しさを再発見していくことを目的として、読売新聞社と美術館連絡協議会が始めたものです。新型コロナウイルスの影響で国内の美術館が一時休館を余儀なくされましたが、アート作品だけでなく、建物を含めた美術館の多様な楽しみ方を提示し、多くの方に美術館へ足を運ぶきっかけにしていただきたいと考えました」。

※美術手帖のウェブサイトから引用https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/22231#.XvgAjmQ4aCs.twitter

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とのこと。

作品と一緒に撮影されたAKB48メンバーの写真が、ウェブサイトで公開されていたそうで、写真をざっと見る限り、確かにアイドルが主役で作品が脇役であるかの様な印象を受け、ちょっと嫌な気分になったのだが(笑)、「まぁ、好きにやって下さい」ぐらいの気持ちでいたので、正直、炎上してウェブサイト公開を終了するとは思わなかった。炎上の内容としては、

・ジェンダーバランスの公平性

・美術館を「映え」の道具として使っている点

などらしいのだが、要は「女性軽視・アート作品軽視」という点で炎上している様子。


今回の炎上騒動で気になる点が2点

1点目はシンプルにキャスティングミスだったのでは?

2点目はアート界・美術界側の問題。

まず、「美術館女子」にキャスティングされた女の子が、AKB48ではなく、同年代の実力派若手女優だったならば、風当たりはここまで強くなかったのでは?と。AKB48が劣っているという事ではなく、今回の企画にAKB48はちょっとミスマッチだったような気がする。アートを身近に感じて欲しい企画ではあったのだが、AKB48は身近過ぎて、幼過ぎて、軽すぎる。「実力派」の冠のついた同年代の若手女優だったならば、ここまで騒動にはならなかったかもしれない。

そして2点目。おそらく、アーティストや愛好家などのアート界・美術界の多くの人間は「もっとアートを身近に感じて欲しい。気軽にアートに触れて欲しい。」と言うでしょう。僕もそう。にもかかわらず、作品に関する小難しい事を語る人間もいるだろうし、アートに対する熱い思いが人を寄せ付けなくし、敷居の高いものにしている所もあると思う。アートを身近に感じて欲しいけれども、「あなた方がアート界・美術界の土俵に上がってきてね」とか「アートを理解できる自分ってすごいだろ」という心理がどこかにあるのではと思う。いくら「この作品はこうこうこういう意図で作られて、こういう魅力があって、こういうところに注目してほしいんですよね・・・うんぬんかんぬん・・・」と熱く語った所で、作品を観る側はそこまで汲み取れないのは当然。アートを身近に感じてもらいたいのであれば、作品を観た方々の「素敵だね」の一言で良しとするスタンスが、アート界・美術界には必要な気がする。それが嫌なのであれば、「身近に感じて欲しい」という欲張りな考えは捨てたほうが良いと思う。

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