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脳から考える食事とダイエット~太りやすい人の頭の中を科学して改善方法を考える~

ダイエットにおいて、特に肥満で悩む人が痩せたいという場合で、特につらいのは食事の「我慢」です。

「ピザ、ラーメン、ケーキ、シュークリームをめいっぱい食べたい!ビールも飲みたい!でも痩せたいから我慢しなきゃいけない…」
「ダイエットで重要なのは、"食べないこと"じゃなくて"よりヘルシーな食事を選択すること"ということは分かっている。でも、そう割り切れない時がたくさんあって、結果欲求に負けてしまうんだ…」

そうやって、なかなか思うようなダイエットができないという人も多いでしょう。自分あるいは家族、友人、(トレーナーであれば)クライアントで、思い当たる人がいるかもしれません。こうした「肥満の人が感じている食欲や欲求は、どうやって生まれているのか」という疑問について、論文を頼りに脳機能的なアプローチで探ってみたいなと思います。

食欲を刺激するネットワークはどう構築されているのか

2006年に発表された論文は、過去の研究を頼りに、健常者と肥満者には、食欲の発生にどんな差があるのかがまとめられました。

通常、食べ物を見て「食べたい」と思い、実際にそれを摂取しようと決める要因には、食べ物の味、香り、視覚的な要素がかなり影響します。それがとても美味しい食べ物だと分かりつつも、「これを食べたら今日のカロリーがオーバーしてしまう」「ちょっと栄養バランスが悪そう」などの理性が働き、食欲を我慢するというのが、一般的な食生活改善の流れです。

しかし、こうした食べ物から情報によって、満腹信号が上書きされてしまうと、過食が促進されてしまいます。そして、食欲のコントロールに大きく左右するのは、前頭葉の眼窩領域、腹側線条体、扁桃体、中脳などの部位です。これらが、脳内ネットワークにおいて相互に関与し合うことで、食事行動が決定されています。

ヒトの場合、食欲に対する感受性にはかなり個人差があります。感受性が高い人は、頻繁に強烈な食欲を経験し太りやすく、過剰な食物摂取を起こす「摂食障害」を発症しやすいと言われています。

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